背が小柄な三二郎(さんじろう)は、長身の女性が好きだった。友花三二郎は三十歳で、地方都市の公務員だ。身長は百五十八センチ、体重六十三キロの小太りな体型は、女にもてるわけがない。
きっちりと五時には終わる職場にも女性はいるが、必要以上に彼は見向きもされなかった。
だが、彼にも性欲はたまっていった。それに引きずられて行動したら、いつの間にか出会い系サイトに入ってしまっていた。
プロフィールに顔写真も載せられないし、職業も素直には書きにくい。それで、フリーの写真家と偽って職業を記入するとメールが来た。
撮られる事が好きなモデル、二十一歳です。ひまだから、遊んでください。
やったー、と三二郎は心の中で叫んだ。今まで、女からメールさえもらった事がないのだった。しかもモデル、背は高いのが普通だ。その女性のハンドルネームはリリ、だった。
三二郎のハンドルネームは撮太郎だ。
さっそく返信する。
ぼくもひまだから、遊びましょう。どこで会いますか?
午後六時頃に出したが、夜の十一時、寝る前に携帯電話をチェックするとリリから返信が来ていた。
美術館前が、いいな。わたし、背は百六十五センチで、赤のハンドバッグを肩にさげています。
三二郎は寝るのを伸ばして、携帯電話に打ち込む。
わかりました。ぼくは茶色の上着に黒のズボン、背は百五十八です。
と書いて、送信した後で(身長は書かなかった方が、よかったかもしれない)と思ってしまった。
翌朝、起きた時すぐに携帯電話をチェックしたが、画面には新着のメールは来ていなかった。
(もしかしたら、身長の低さに呆れてリリからの返信はなくなるのかも、しれない。)
と思いに沈みつつ、テーブルの上の置時計を見ると部屋を出る時間に近づきつつあった。三二郎は福岡市の中心部に近いところのマンションに入居している。1LDKで、一人暮らしなのも公務員なら先行きの心配もないから、入居の際も問題はなかった。近年、福岡市でも、_九州の福岡県福岡市_、家賃未納が続くために大家が困るという事態がかなりあるらしく部屋を借りる際も入居のための人物審査は厳しくなっていたりするのだ。
リリは背が百六十五なので、それほど高くはないが痩せていて、しかも豊満な乳房と尻を持っていた。髪は長く、肩まで垂れて三二郎とシティホテルに入ってくれた。
モデルなので均整が取れていて、白い肌はすべすべとしていた。三二郎は立って抱き合っても、自分の眼は彼女の唇のところにくる。自分の唇はリリの首の辺りだから、彼は彼女の首筋を舐めまわした。
リリは眼を閉じて、頭をのけ反らせると長い髪が三二郎の肩にかかった。
膝を曲げて彼女の胸に顔を近づけると、巨乳の乳首はピンク色で硬直している。三二郎は左手でリリの尻を抱き、彼女の右の乳房の乳首をしゃぶり、右手は彼女の左の乳房の乳首を指でつまんで、いじった。
「いいわ。」
という彼女の色っぽい声が三二郎の頭の上で聞こえた・・・・
(今のは夢か。)
三二郎は通勤電車の中で立っていた。自分の息子も立っていたのだ。大勢降車する駅で人に押されて、眼を醒ましたのだった。彼が降りるのは、あと一駅先だ。ゆるゆると自分の息子が小さくなっていくのを三二郎は感じた。
それにしても鮮明な夢で、美人モデルの白い裸体、しかも巨乳と横幅のある尻には思い出しただけで勃起しそうだ。彼女の陰毛は濃かった。しかも逆毛のように波打って縮れていた。その陰毛を思い出すと彼の息子は硬直してしまった。
もうすぐ降りる駅だ。ズボンは膨らんでいる。だけど忙しいサラリーマンなど彼を見もしないだろう。ましてや背の低い彼の股間などは。
でも、元に戻さなくては、と三二郎は思い同僚の男性、丸目徳雄の四角い顔を思い出した。彼は、その顔の割には女にモテル。背は百六十五だが筋肉質で眼は細く、唇が厚い。髪は角刈りにしている。福岡市環境衛生課の主任だ。あまりに男臭い顔ともいえよう。
歳は同じだが、丸目徳雄は主任、三二郎はヒラだ。
時々、仕事で一緒に行動しなければいけない。丸目も独身では、あった。
(ほ、なんとかチンコが元に戻った。)
三二郎は、降りる駅で電車が停車して透明なガラスが開いた時に、そう思った。
(リリのマンコを早く見たい。)
とも思ったのだ。夢の中では濃い陰毛に隠れていたからである。
勤めは面白くなくても、真面目に三二郎は、やった。帰りの満員の電車は井尻駅に着き、彼は人混みと共に駅を出ると五分位歩いて帰宅する。それまでにコンビ二に寄り道して弁当を買った。部屋でそれを食べると眠くなり、うとうととした。
いつの間にか、三二郎は風呂にいた。リリも、すぐ近くにいる。彼女も全裸だ。上から彼女の声がした。
「浴槽に腰掛けて。」
三二郎は、彼女の方を向いて腰掛ける。足はすぐに閉じてしまった。
「だめよ。足は開いて。おちんちんが見えるようにしてよ。」
叱るような甘えるような声で、リリは言う。
三二郎は恥ずかしながらも、足を広げて半分立っているモノを彼女に見せた。リリは、いきなり跪くと彼女の顔は三二郎の半立ちのペニスをじっと見る。三二郎は気恥ずかしくて上を向いていると、きゅっきゅっという感覚と共に自分のモノが縛られているのを感じた。
驚いて下を見ると、リリは自分の長い髪で三二郎の半立ちペニスを縛っていたのだ。
リリは、ふふふ、と含み笑いをすると上体を後ろにそらした。三二郎は、ああっ、と小さく叫んで浴槽から降りた。そうしないとチンコが引きちぎられそうだったからだ。
リリの裸の柔らかい両肩に三二郎は両手をつくと、
「ひどいなー。こんなことして。」
「だってあなたはM男なんでしょ?軽くいじめたのよ。嬉しくないかしら?」
そういえば、三二郎の身体の中に今までと違った刺激の感覚が芽生えているのに彼は気づいた。リリリリー、と携帯電話が鳴った。
気がつくと、眼が醒めた。白夜夢とでもいうべきもの、だったのだ。
テーブルの上の茶色の携帯電話を三二郎は手に取ると、
「もしもし。」
「よう、友花。」
丸目徳雄からだった。丸目は続ける。
「明日、日曜はひまなんだろう。」
「いや、明日ちょっと用事があるから、お付き合いはできないです。」
「ふうん。女か。」
「いやその、まだ会ったことない女性ですよ。」
「まあ、頑張れよ。」
「はい、それでは。」
三二郎は急いで携帯電話を切った。丸目は一緒にソープランドに行こう、とか過去に誘ってきた事がある。その時は、一緒につきあったのだが。福岡市の中心部に近いところに中洲という地名がある、そこにというか、その中洲の一部にソープランドは密集している。福岡市のソープランドは、そこだけしか許可されていない。福岡市へ出張、宿泊するビジネスマンも行っているかどうかは、わからないが参考までに。
返信がないかと思ったリリからは、一日置いて、
遅くなってごめんなさい。東京に仕事に行ってたの。あなたを見つけるのは簡単なようだわ。わたし、男の人の背の高さは気にしません。
それでは、日曜日がいいわ。
三二郎は、トントントンと返信した。
日曜の午後一時に県立美術館前で。
すると、すぐ返信が来た。
県立美術館は、いいけど、お昼ご飯も一緒にしましょう。
三二郎は、それを見てニヤついた。携帯電話から返信するのは面倒なのでパソコンから出会い系サイトにログインして、返信した。
では、十二時にしましょう。待ってます。
すると、またすぐに返信が来た。
待ってますわ。わたし、派手だから目立ちます。すぐ、わかると思います。
県立美術館の北側には福岡ボートがあるという環境だ。ただし、車道を渡る必要はある。隣接はしていない。
福岡ボートは、もちろんギャンブルのモーターボートのレース場だ。
三二郎は南側から来るので、ボート場の方は通らない。赤のハンドバッグを肩から下げた女性が一人だけ、美術館の前に立っていた。
三二郎は近づいて、
「リリさんですか?」
「ええ、そうよ。撮太郎さん、よね。」
「そうです。」
彼女の顔は夢で見たものとは違っていた。当然かもしれない。肌の色は薄い黄色で、眼は丸くて睫毛は長い。眉毛も濃い。顔の中で目の面積が広い。
いかにもモデルの顔だ。
髪の毛が長いのは夢で見たとおりだった。すらりとした姿態はコートを着ているので、胸と尻の厚みは分からなかった。
紅色の唇を開いてリリが話しかけた。
「お食事に連れて行って、くださいませんか。」
「いいですよ。どんな所がいいですか。」
「三風蘭(さんぷうらん)に行ってみたいと、思ってました。」
「三風蘭って、聞いた事あるけど行った事ないな。」
リリは微笑むと、人差し指で方向を示した。
「この近くなんです。ラーメン屋ですけど、個室があるのね。」
「個室が、いいですか。」
三二郎は、喜ぶ気持ちを抑えて聞いた。
「個室に入ると、したい放題何でもできるのよ。」
リリは髪をなびかせて、答えた。
「じゃあ、連れて行ってください。当然、ぼくのおごりでいいですから。」
美しきモデル、リリはうなずくと、
「いらっしゃいよ。連れて行くわ。」
と鈴を振る音の声で誘うと、三二郎の先に歩き出した。目立つリリは通行人が見て行く位だ。
意外にも歩いて五分、福岡税務署の近くに三風蘭は、あった。赤の下地に紫の文字で「三風蘭」と店の入り口の上に看板が出ている。リリが自動扉の触れて開くところを軽く触ると、スーと店の入り口は開いた。
若い男女の声が、
「いらっしゃいませ。」
と出迎える。紫の服を着た男女の若い店員だ。
リリは、
「個室にしたいの。ある?」
と、さりげなく聞くと、ねじり鉢巻をした男子店員が、
「ありますよ。ご案内します。」
と答えて、二階に上りだした。鉄筋の建物だ。床も壁も白い。ドアを開けて通された部屋も壁は防音されているようだ。
椅子も二つずつ、テーブルをはさんで全部で四つある。窓はない。
窓があるべき場所の下側に広めの長いソファがあった。そこが、男女が腰掛けられるし、寝れる広さ。しかも色はピンクときている。二人が椅子に座ると、男子店員は、
「ご注文は、インターホンで、どうぞ。」
と言うが早いか、部屋の外に出て防音扉を閉めていった。
なるほどテーブルの端にインターホンがあった。リリは分厚いメニュー表を取り上げると、パラパラとめくり、
「ジャンボラーメンにしましょう。いいわね。」
「ああ、それにしよう。」
三二郎は、もじもじしながら答えた。女性と食事するなど、三二郎は生まれて初めてだ。天井を見上げると巨大な扇風機みたいな羽がゆっくりと回っていた。
リリは細長い指でインターホンを押すと、
「ジャンボラーメン、ふたつ。」
と注文した。
リリは、まじまじと三二郎を見た。二分ほど無言の状態で丸い大きな眼で三二郎を観察していたが、
「撮太郎さんって、お固そうね。職業は真面目な仕事?」
と柔らかな声で尋ねた。
「ええ、そうですね。」
公務員とは、言いにくい。
「だけど、そんな人に限って裏の顔があるのよね。マゾだったりとかね。」
三二郎はドキリとした。そういえば、そう思われるところもあるのかもしれない。
三二郎は初恋が大学三年生で、同じクラスの泉森武子(いずみもり・たけこ)という自分より背の高い快活な女の子を好きになった。
思い切って三二郎は授業が終わって、校門を出る時に武子に告白した。
「泉森さん、一緒に帰ろう。好きなんだ。」
三二郎より五センチは背が高い武子は顔を赤らめながらも、
「いいよ。帰りましょ。」
と答えた。
二人は同じ道を歩いていた。三二郎は、
「泉森さん、空手できるらしいね。」
人の噂で聞いたのだ。
「ええ、三歳の時から始めたの。」
二人の歩くすぐ横に、広い公園があった。高い木が立ち並んでいる。緑の多い公園だ。ベンチには大学生と思われる男女が横並びに座って、キスをしていた。二人の絡めあう舌が武子の目にも入った。やがて男子学生は女子学生の豊かな胸を、服の上から揉みしだき始める。男の右手は女子大生の開いた足の間からショーツ(パンティ)に届き、ぷっくりと膨らんだ女子大生の縦スジをなぞっているようだ。彼女は、
「いやん。」
と声を出すと、男子学生のジーパンの股間をたまらなさそうに掴んだ。
「うっ。」
と男は、声を出す。
三二郎と武子は並んで歩道から、そのカップルの痴態を見ていた。二人の視線に気がつかないのか、大学生男女は互いの性器に手を伸ばして、弄り回し、キスをし続けて舌をねっとりと絡ませあう。
それでも公園は広い。三二郎は、
「公園の中で空手を見せてほしいな。」
と武子に話すと、
「いいよ。すごいね、あの二人。」
カップルから三二郎たちまで、十メートルはあった。女子大生の股間は大きく開き、男がなぞるマンコのすじのところはショーツにも染みができていた。
「あー。ぼくたちもやりたいな。」
三二郎が言うと、武子は
「まだ、早いわ、わたし達。」
「ここじゃなくて、公園に入ろう。」
「ええ。いいわよ。」
二人は幅広い入り口から土を踏みしめた。やりまくっているカップルまで七メートルほどだ。
武子は仁王立ちになると、
「女の子は、簡単に男の人のちんちんを入れてはいけないって、お父さんが言ったの。」
「そういうことか。じゃあ、あのベンチの人はちんちんを入れるのかな。」
武子は二人の方を向くと、
「たぶんね。それに、あの男の人のちんちんは立っているのよ。」
「立っているのか。ちんこって、あんな場所で立つのかな。」
「友花君のちんこは、こんな場所では大きくならないんでしょ。ここで立つって、ちんちんが立派なのよ。」
「ふーん。」
三二郎は男子大学生の股間を見たが、やはりそこは盛り上がっていた。武子に眼を戻すと、
「泉森さん。空手見せてよ。」
二人を見ていた武子は三二郎に振り向くと、
「え、空手ね。いいわ。型があるから。」
と話して、両拳を握り締め腰を落とした。武子はスカートを履いていた。
「ナイハンチ」
彼女は声に出して型の名前を言った。素早く左右を見ると、足を踏み出した。その時に、男子大学生は女子大生を抱き上げてベンチから立ち上がっていた。彼の右手は人差し指から小指までを女子大生の尻の上のショーツに当てて、親指は彼女のマンコの入り口からズブリと中へめりこませていた。
そういう細部は武子には見えなかったが、女子大生の尻は男に抱き上げられても淫らに前後に揺れていた。
「アッ、感じる。生垣の影なら見えないわ。そこで、ちんこ入れてよ。」
と尻を振りながら女子大生が言うと、
「よし、いこうか。」
男のジーンズの股間は破れそうなほど、張り切っていた。
武子の左目は、その光景を見てしまった。
ふらり、とふらつく武子。
三二郎は、
「大丈夫かあ。」
と声を上げると、武子に近づいた。体勢を取り直した武子は前のめりになりそうになると、右足を上げて体勢を整えようとする。
がし、と音を立てて武子の右足の甲は三二郎の股間、きんたまに直撃していた。
「うおーっ。」
と、突然、雄たけびを三二郎はあげて、きんたまを両手で押さえつつ、そのへんを飛び跳ねて回った。
お椀を伏せた形の半円形の緑の生垣の近くまで飛び跳ねていった三二郎は、その緑の内側から、
「ああっ、すっごく太いわ。」
「昨日、ペニス増大器を使ってトレーニングしたからな。うひひ、おまえのマンコも締りがいいぜ。」
三二郎は、きんたまの痛みをこらえつつ、男女の大学生の青姦を見ていた。男の尻は日に焼けて黒く、尻の割れ目は眼につきにくい。それが、くいくいと浮き沈みして、女の白いすねが男の腰の動きに合わせて揺れていた。
「わたしもマンコのトレーニングしてるの。就職活動のとき、担当の人とシティホテルに行けば採用されたって、先輩から聞いたわ。ああーん、まんこが、とろけそうよー。」
「おまえも担当者とするのか。おれと結婚するって、この前、会った時、言ったじゃないか。」
男は腰の動きを早めた。
「あああ、まんこ、よすぎて気持ちいいわっ。セックスと結婚は別よ。あなたと結婚してからは、あなただけ。それで、いいでしょ。あっ、あああ。」
「しょうがないか。それまでは、おれが食わせてやってるわけでも、ないしな。おまえも就職したら貯金するよな。おっ、締めるね、グッドマンコだ。いい。」
「八百万円は最低でもする。子供の大学費は、わたしが払うわ。気持ちいい、でしょ。」
「あおう、締るよ。すごいな。結婚したら、朝と晩にしてやれる自信あるよ。」
「うれしい。草食じゃないのね。」
「あれは、関東の男の話らしいさ。おれは雑食系。」
「ああっ、いい。ちんこ、子宮まで、ね。」
女子大生は肩までの髪を揺らせて、喘いでいる。
三二郎には何の話か分からなかったが、きんたまの痛みは少しずつ引いていった。武子が近寄ってきて、
「友花君、大丈夫?」
と心配そうに声をかけて、三二郎の股間に眼をやる。
「ああ、もう痛みは、なんとかなった。」
「男の子って、股の間を蹴られると痛いのね。睾丸ってあるのは、知ってるけど。」
「それそれ。きんたま、だよ。丸い玉が、ふたつ袋に入っている。」
「ふ―ん。面白いね。そういえば、空手でも危ない男から身を守るためには股間を蹴る事を習ったなー。でも、さっきのは偶然。ごめんね。」
「いいよ。気にしないから。」
三二郎は、好きな女の子にきんたまを蹴られて、それが精神的にも快感をもたらすものだと気づいたのだった。
だから、
今、目の前にいるリリにも何とかして欲しい、と思っていた。リリは空手はしていないようだけど。
ドアが開いて、
「ジャンボラーメン、お待たせしました。」
ラーメン屋が出前に持っていく木箱から、男子店員が二つの大きな丼のような鉢を取り出した。
普通のラーメン三人前、だそうだ。
店員はドアを閉める前に、
「よろしかったら、中から鍵をかけてください。ドアを閉めるだけで在室中の表示は出ますけど。」
と注意していった。
リリは目の前の巨大なラーメンを見ると、
「おいしそうね。いただきまーす。」
箸も長い割り箸が上等な紙の袋に包まれて、それぞれ一膳ずつ置いてあった。三二郎はリリの胸元に眼が吸い寄せられた。ノーブラらしく、くっきりと二つの乳房の境が見えている。
リリは三二郎より早く箸を置いた。コートを脱いだリリは意外と豊かな胸だった。
リリはラーメン一人前は、残していた。
「多くて食べられなかったから、撮太郎さん、食べてくださいな。」
リリはドアとは反対の位置にDVDプレーヤーと百枚ほどのDVDが並べてあるのに気づいて、
「DVD、見てもいい?」
「ああ、いいんだろう。」
もぐもぐと口を動かしながら三二郎は答えた。リリは一枚のDVDを手にすると、
「現役女性空手家、上京してAV初出演、か。アダルトみたいだけど。」
悪戯っぽい眼をしてリリは聞く。膝を突いた姿の尻のラインが、色っぽい。大きな尻らしい。三二郎は彼女の尻を見ながら、
「別に大丈夫だから、かけてみてごらん。」
「うん、そうする。」
彼女はディスクをプレーヤーに入れて、回した。
画面に現れたのは、ネットカフェの部屋だ。そこで、男女がラーメンを食べている。女の顔が大写しにされた。
「あっ」
三二郎は小さく叫んだ。その女性は泉森武子だ。彼女とは高校まで同じだった。十八の武子の顔と違いはない。ただ、三十路の顔になっているけれども。
「どうしたのよ?」
リリが聞いてくる。
「ぼくの同級生の女の子だ、多分ね。」
リリは黙って、うなずいた。
泉森武子で出るわけはない。許斐色々(このみ・いろいろ)という女優名だ。画面の二人も大盛りのラーメンを食べている。
相手の男も体格のいい身体で、許斐色々も肩幅が広い。
三二郎は彼女とキスもできなかった。高校生だったというのもある。清い交際はしていたが、空手の練習を大事にする彼女だった。
高校三年生の夏休みに三二郎は、
「映画にでも行こう。」
と誘ったが、
「今度、ムエタイの道場ができたの。空手とムエタイの二つの練習で忙しいから。」
と断られてしまった。そんな彼女がアダルトビデオに出ているなんて。
許斐色々はラーメンを大きく口に頬張ると、男の顔に顔を近づけていく。男は口を大きく開いた。その中に許斐は口の中のラーメンを吐き出した。男の口の中にラーメンが流れ込み、男はうまそうに口を動かした。
二人のいる部屋は個室なので誰からも見られない。許斐は男の股間に手を伸ばすと、そこは少し硬くなっていた。彼女は、
「もっと大きくしてあげるわ。」
と破廉恥な笑みを浮かべつつ喋ると、ジッパーを下げてパンツの中から男のシンボルをひねくり出した。
当然、モザイクだが薄いものだ。出てきたものに許斐は顔を近づけていった。
(やめろ、泉森!)
三二郎は心の中で叫んだ。が、その叫びは届くはずもないのだ。
右手の長い指で許斐は男のシンボルを、柔らかくしごきはじめた。ぐい、ぐいと。するとモザイク越しにもそれは、大きくなっていくのが分かる。硬直したそれは許斐の顔の前に向って立っていた。
許斐は口を開けると、ムシャ、という感じでそれを頬張る。それから自分の頭を上下に振るのだ。
(あー、キスさえしてくれなかった泉森武子が・・・)
情けない思いで、三二郎は画面を見つめる。
今や男優のモノは完全勃起したらしい。許斐は口からそれを外すと、
「おいしかったわ。今度は、これをわたしの下にある口に入れてね。」
と云うと、自分で服を脱ぎだす。
さすがは空手家、全裸になるのに時間はかからなかった。見事なプロポーション、丸い大きな胸、横に張った尻、長い足。股間にはモザイクが、かかっている。それでも、三二郎は泉森武子の全裸を見た。
お、と三二郎は感じると、自分の息子は充実してきている。
(あー、こんな形で武子のヌードを見るなんて。完全勃起しそうだ・・・)
男優は許斐の豊満な乳房を吸い始めた。彼女は顔を反らせて、
「あはん、いい。」
と悶え声を上げる。男優は激しく舌を動かして彼女の乳首を攻めると、ピンクの乳首は硬く尖り始めていった。椅子に座った男優に跨る格好で、許斐色々は座ると右手で男優の勃起ちんこを握り、自分の秘密のトンネルへと、いざないだ。男優のモノは、許斐のトンネルへ入っていく。
「ああっ、大きいのね。こわれるー。」
嬉しそうな声で、許斐は叫ぶと、白い大きな尻をぶるんぶるんと色っぽく前後に振った。
三二郎のモノは、はちきれんばかりになっている。(武子の尻は、あんなに色っぽかったのか。といっても、おれは高校生までの彼女しか知らないから・・・)
仕事とはいえ、おいしそうに武子の乳房を吸っている男優に三二郎は、成り代わりたかった。公務員よりAV男優になっていれば、武子とセックスできたのだ。そのためには、
上京しなければいけないという状況もある。
だけど・・・と三二郎は考える。職業は今の方がいい。武子は、あきらめればいい。というより自分の中で武子は行方不明だったのだ。そう思いながらも、三二郎の眼は男優とディープキスをし、舌を出して絡めあう武子の姿を見ている。
次第に許斐色々の腰を前後に振る動きが早まっていった。それに応じて男優が眉間にしわを寄せ始める。
男優が、
「ああっ。」
という声を出すと、許斐はチンポをトンネルから抜けさせて、すっと立ち上がると急に屈んで、顔を男優の銃口に向ける。
「おっ、おっ。ああー。」
と男優が声を出す度に、射精された白い液体は許斐色々の顔面に浴びせられた。
三二郎は、
(うーわー、こういう顔射も初めて見た。)と思う。公務員でもAVは見る。中には勤務中に見て、減給などの処分を受ける人もいる。
顔に沢山の精液を浴びたまま、許斐色々はカメラに向って、
「今日はどうも、許斐色々の映像を見てくれて、ありがとう。次回の作品を少しだけ、放映します。」
画面は次回作の予告になった。
林の中の小さな遊歩道を歩く許斐色々に後ろから小柄な男が近づいてきて、抱きつくと、薄着の上着の上に見事に半円を描いている許斐のたわわな乳房を両手で両方掴み、満足そうに揉み始めた。
男の顔がクローズアップされる。それは、なんと、三二郎の顔ではないか。
三二郎は、右手は許斐の乳房から外してミニスカートの中に忍び込ませた。許斐のショーツの上から縦の溝を右手の人差し指が感じた時、許斐は、
「助けてー、誰かー。」
と叫んだ。
すると、許斐の後ろ数メートルのところで若い男の声が、
「やめろ、ちびでぶ男。」
と鋭い声で言い放った。
三二郎の顔をしたその痴漢男は、
「やめられるかい。この女は、おれと幼馴染だ。」
と声を出して、許斐のショーツに浮かんでいる見れば勃起しそうな縦スジを愛撫し始めた。
許斐は顔を真っ赤にして、
「いやん、濡れちゃうわ。ああっ、ショーツの上から指がのめり込んでいく・・。公然わいせつ罪よ、やめて。」
と身悶えしながら口に出した。
若い男は背が高くスラリとして、ハンサムだった。三二郎に近づくと、軽く足を上げて三二郎の股間のキンタマを蹴り上げた。三二郎は、
「ごえっ。」
と声を上げて、その場に崩れこむ。
悶え狂っていた許斐は自由になり、後ろを振り向くとハンサムな青年が立っていた。背も自分と同じ位だ。
爽やかに成年は口を開くと、
「大丈夫ですか。」
と尋ねる。
「ええ、彼の指は第二関節まで、わたしのマンコ、いえ、大事なところに入りましたけど、心配はいりませんわ。」
「それは、よかった。それじゃ、失礼します。」
青年は、踵を返して背中を向けた。
「待ってください。お礼もしないで、このままあなたが立ち去っては、わたしの気がすみません。」
青年は背中を向けたまま、
「いや、気になさらずに。ぼくも、大した事はしてません。その男のキンタマを蹴ったくらいですから。」
と声に出す。
「置いていかないでね。」
許斐はハンサム青年に近づくと、後ろから抱きしめた。夏みかんのような乳房が青年の背中で、押しつぶされた。
許斐は右手を前に回して、青年の股間に手を伸ばして、剛直しているものを握ってしまった。
許斐は青年の首の後ろにチュッとキスをすると、
「もう、こんなになってますわ。わたしの今のおっぱいで、感じたのかしら。」
「いや、実はあなたが歩道で悶えている姿を見て・・・立ちました。」
「まあ、じゃあ、あの蹴った時は・・・。」
「ええ、完全勃起したままです。」
「それから、ずっと・・・?」
「ええ、ぼくの身体は正直です。」
「好きよ。」
許斐は青年の正面に回ると、激しいキスをする。すると青年は、
「ああ、もう出そうです。あなたの中に発射したい。」
「いいわ。林の中に低木が沢山ある陰に行けば、誰にも見えないわよ。」
「行きましょう。そこに。」
二人は手を繋いで遊歩道から、低木の陰に入った。そこで青年はズボンを下ろし、パンツから雄大なシンボルを出した。大きな松茸のようなそれは、その辺に生えていそうだった。
許斐もミニスカートとショーツを同時に下ろした。剛毛の密生した彼女の股間は、ふっくらとして剛毛のすぐ下にピンクのスジが見えている。青年は屈むと、許斐の可愛い形のまんこを舐め捲くった。彼女は、足を開いて立つと、
「あああっ、早く入れて。」
と腰を揺らせて促す。青年は巨大な自分のキノコを許斐のピンクの裂け目に焦ったように埋めていった。上は洋服の二人は、しっかりと抱き合って、許斐は、
「こんなに太いのは、初めてよーっ。」
と喜びの声を上げると、
「ああっ、いい。ああっ、ああっ。」
と、よがりながら腰を自分で振り続けた。
遊歩道で倒れている三二郎の顔の男は、
「ああん、ああん。天国にいるのねっ。」
という許斐の声で失神から醒めた。彼は立ち上がると、声のする方へよろよろと歩いて行く。低木のかたまった裏から、
「ああっ、あっ、あっ。」
という許斐の色っぽい喘ぎがするので、裏に顔を入れて三二郎の顔の男が見ると、
あの青年と許斐色々は駅弁ファックしていた。許斐のミニスカートとショーツは膝の下あたりまで、ずり下げられていて、青年が許斐の両膝の上辺りを抱え込んで、二人とも尻を振っているのだ!
許斐の口はダランと開いて、赤い舌が出ている。青年は眉を寄せると、
「もう、出そうです。いきます。」
「いやっ、もっと続けてっ。」
「よし、それなら。」
青年は歯を食いしばって、腰を振った。許斐の淫乱な動く白い臀部は、見ていても男を勃起させるものだった。三二郎の顔をした男も勃起したらしく、ジッパーを降ろして、パンツの切れ目から小さいながらも立ち上がったモノを右手に持つと、たまらないように自分で擦り始めた。
青年と許斐色々の尻の動きが同時に早くなった。青年は、
「もう、我慢できないっ。それに昼から会社の会議です。」
水瓶座の太陽は中空に昇ろうとしていた。
「何の会社なの、あなたの会社。あん。」
「インターネット関連です。」
「すごいわ。いって!」
「いくー。」
男は射精したらしく、腰の動きは止まった。それを受け入れている許斐の豊満な臀部はびくん、びくんと淫猥に震えた。彼女のマンコは、しっかりとインターネット関連会社社長のペニスを締め上げて、最後の一滴まで受け入れているように見えた。
それを見た三二郎の顔の男も、許斐色々の豊かな臀部の震えを見て射精した。
画面は精液を浴びたままの許斐色々の顔に戻った。
「はい、予告はここまでです。小柄な男性の顔は、モンタージュで作りました。わたしの高校までの同級生に、あんな顔の人がいたからです。わたしが記憶で話した通りに作ってもらったけど、よく似てました。
三ちゃん、よかったら連絡ちょうだいね。会いたいな。」
ここで、そのアダルトDVDは終わった。
三二郎は武子に三ちゃんと呼ばれて、びっくりしたが、隣のリリは、
「もしかして、三ちゃんって、あなた?」
と聞いてきた。
「違うんじゃないかな。世の中に似た人なんて、いくらでもいるしね。」
「でも、あなたは過剰に反応していたけど。」
「それは、あれだけ自分に似ていると、びっくりするよ。」
「あなたの名前を教えてよ。撮太郎さん。」
「それは、今は云えない。」
「どうして云えないのかしら。わたし、浜風涼子(はまかぜ・りょうこ)っていうの。教えてよね、あなたの名前。」
三二郎は戸惑った。教えていいものか、と。でも、涼子の目は真剣に脅迫してくる。それを味わうのもMな感覚で、よかったが、
「男らしくないわね。自分の名前ぐらい、どうってこと、ないでしょ。」
と眼より強く強要された。
「友花三二郎と、いいます。」
涼子は得心のいった表情になると、
「やっぱり三ちゃん、じゃない。あなた、あの子と同級生だったんでしょう?男らしく、認めたら?」
「あんな子いたかと、記憶を探っているけどね。ぼく、三十歳なんだ。十年以上も前の話だから。」
涼子は三二郎の股間に手を当てた。そこは、著しく盛り上がっていた。涼子はクスリと笑って、
「全勃起してるの?今。」
涼子の手は三二郎のズボンのジッパーを下げていた。
「してるかな、わからない。」
「あの子のセックスで、勃起したのね。わたしが、処理してあげようか。」
三二郎は、答えられなかった。涼子の指はスベスベとして、滑らかで気持ちいい。その指はもう三二郎の全勃起ペニスの竿を握っている。涼子の目は三二郎の瞳を見つめると、
「どうも、あなたはMな人のようね。それなら、それで、やり方はあるわ。それに、あの許斐色々さんと、どの位までやったのかしら。キスくらいしてるんでしょう。そうじゃないと、あんなに映像の中からアピールはしないわよ。どうなのかな。」
「キスも何もしてないんだ。」
涼子は快心の笑みを浮かべた。
「認めたわね、今。やっぱり、三ちゃんは、あなただった。さっきのは、なんだったのかしら。」
「自分でない気もするんだ。百パーセント、そうだとは今でもいえない。」
涼子の右手は三二郎の竿を上下に擦り始めた。
三往復すると、三二郎は顔を強張らせた。
それを見た涼子は、左手で三二郎の睾丸を下に押し下げたのである。すると、三二郎は、
「あれ?出そうだったけど、収まった。不思議だ。」
「わたしね、ファッションヘルスで働いていた事もあるの。それで、その時に男性の射精を引き伸ばす方法を調べて勉強したことが、あったのね。今のも、その方法の一つよ。」
「きんたま、いや睾丸を下に下げること?」
「ええ。伸びたでしょ、又、やるから。」
涼子は再び、手を動かし始めた。
快感の速度が高まって来た時、涼子は手を止めた。三二郎は眼を剥くと、
「とめないでくれよ、涼子さん。」

