sf小説・体験版・未来の出来事33

 何とも毅然とした態度のエマーニだった。性感マッサージ師として快乱が見た最初のエマーニとは別人だ。快乱は下でな態度で、
「何を体験するんでしょうか?エマーニさん。」
「ついてくれば、分かる。」
と答えたエマーニは単なる更衣室みたいな、その部屋のドアを開けると部屋を出る。快乱も続いて出たが、そこは入った時の廊下とは違った廊下だった。壁も白から茶色になっていたのだ。
しばらく二人は歩いた。快乱はエマーニの後ろを少し離れて歩く。エマーニの服装は茶色の上下で、下はズボンだ。女性らしい体型を顕わさないような服である。ピッタリと尻に、くっついているズボンでもないのでエマーニの大きな尻も感じられない位だ。
立ち止まり、右側の部屋のインターホンを押すとエマーニは、月の言葉で何かを言った。するとインターホンからも月の言葉が年配の男性の声で聞こえる。ドアが自動ドアのように横滑りに開いたのでエマーニは中に入ると顔と右手を出して快乱を部屋の中に入るように手招きした。
快乱が急いで中に入る。自分の服装もエマーニと同じの茶色の上下だったのだ、と快乱は気づいた。部屋の奥の窓際の近くに机を前にして座っているのは月の人間だ。というのは雰囲気として地球の人間とは違う。ただ軍人ではないか、と思われる風貌だ。彼は快乱を見ると、
「ようこそ!地球から、」
と日本語で話したのだ。快乱は、
「初めまして。快乱と言います。」
と話すと頭を下げた。
軍人は椅子から立ち上がると、
「快乱君。まあ、そこの椅子に掛けなさい。」
と明瞭な日本語で話す。
簡素な木の椅子に快乱は座った。軍人は胸を張ると、
「月政府も軍隊を持っている。規模も、かなりのものだが地球人は知らない。アポロ15号などを攻撃したのは月政府軍によるものだ。特に我々は有人でロケットを月に飛ばしているのは探知している。アメリカ人が、いい気になって行っていたものだな。それで、その頃に我々の諜報部隊から何人もの人間、月の人間だがアメリカを探りに行った。」・・・・
 アメリカの首都、ワシントンに降り立った月政府軍の諜報部隊員、マルノ・ゲッティーは自分の顔にアメリカ人らしく見せる特殊メイクを施している。それで彼は月からのスパイと誰からも気づかれずにワシントンで生活を始めた。
マルノ・ゲッティーは二十代後半に見える青年で、実年齢は二十代ではないのだが地球では、彼は二十九歳と称している。
ワシントンの新聞社に入社した彼の履歴書はイギリスの名もないビジネス専門学校だったが筆記試験と面接ではハーバード大学を首席で卒業した入社希望者よりも実力があったのでアメリカの習慣として実力主義による判定としてマルノ・ゲッティーは採用された。ハーバード大学首席卒業者は採用されなかったのである。日本の新聞社では、あり得ない話だろう。世界的にも紙による新聞は部数が毎年、減り続けている。ワシントンの新聞社としても新規採用は少なめにしか採用できない。
 マルノ・ゲッティーも下働きから見習いを経て、一人で取材に行くようになった。宇宙開発に関する機関に彼は出入りするようになった。その機関が宇宙に関するアメリカの公式声明に関与しているらしい。
その機関に取材に行くマルノ・ゲッティーは報道担当の部屋で広報担当の女性、アイラン・メリットン(27)と今日は二人きりになっていた。マルノは、
「ワシントン・タイムズのマルノです。よろしく、お願いします。」
と挨拶する。アイラン・メリットンは高学歴(大学院修士課程修了)の女性らしく理知的な目でマルノを見ると、
「前に一度、取材に来ましたよね、ゲッティーさん。」
と確認した。マルノは右斜め上を見上げて、
「そうでしたか?すみません、記憶になくなってしまって。」
と顔をメリットンに向けて答えた。アイラン・メリットンは、
「いいえ。構いませんのよ、ご多忙なんでしょ?」
「ええ、それは新人ですから忙しいのです。最近、又、UFOが多く目撃されていますが、月にUFOは存在しますか?」
と切り出したマルノにメリットンは、
「いえ、月には生物は存在しませんので、未確認飛行物体も存在しないと思います。」
「それは、こちらの見解ですか?メリットンさん。」
平静で動じないアイラン・メリットンは、
「ええ、ここの見解です。」
「メリットンさん個人の見解は如何でしょう?」
そう聞かれたメリットンは髪を後ろに揺らせて、
「わたし個人には、そうね、見解を持っていないとしか、お答えできませんわ。」
「月には生物がいない、というのもメリットンさんは、どうですか?(おれは月から来た人間なんだ、と心の中でマルノは思った)」
「そうですね、わたしは大学で物理学を学びましたから、月に就いても勉強しましたし、一般的に云われているような考えしか持っていませんわ。」
と余裕のある発言だ。マルノは(この無智女が!)と思いつつも顔には出さずに、
「私だって社から命じられて取材に来ています。新聞社としてはUFOを、まともに取り上げられないらしいので。こちらの意見を聞いてこい、という事だったんです。」
メリットンは、あら?そう?という顔をした。彼女は、
「UFOも自然現象だと思います。中に誰かが乗っているなんて考えるのは、どうかと思います。」
と理路見ろ整然という返事だ。マルノは、
「メリットンさん昼は、どちらで御食事をされますか?」
と話を変えて聞く。
メリットンは左斜め上を見上げて、
「外でランチは取りますけど。」
顔をマルノに向けて短く答えた。
マルノの顔は月光のように輝き、
「行きつけの店なんか、ありますか?」
「それは、ありますけど・・・。あなたに関係あるのかしら、マルノさん?」
大きな窓の外には緑の樹木が数本と芝生が見えている。室内にはアメリカ国旗が置いてあるし、メリットンの背後にはズラリと並んだ資料のファイルが並んでいる。マルノは、それらを眺めると、
「ええ、よろしければメリットンさんのランチ代を差し上げます。」
「ワーオ、素敵だわ。ご馳走になろうかしら。」
「ええ、喜んで。どんな店でも構いません。」
室内の壁の丸い掛け時計は昼の十二時を指していた。

 アメリカの首都であるワシントンDCにも安いレストランやハンバーガーショップが、ある。マルノは安い店は混むので、その反対に高級な店を選んだ。個室のあるレストランだ。メリットンは、いつも行く店は安い方のレストランやハンバーガー店なので、室内にシャンデリアがある個室にはマルノと入って新鮮な衝撃を感じたのだ。マルノはドアを閉めると四人が座れるテーブルの椅子をメリットンに右手で示して、
「どうぞ。おかけください。」
室内の壁には大型のディスプレイがある。マルノは、そこへ行くとボタンを押した。すると料理場、厨房が画面に出る。白い服と帽子を被った料理人が数人画面に映る。そこへボーイみたいな男が現れて、
「いらっしゃいませ。本日は、ようこそ、おいで下さいました。ご注文を承ります。」
と白い歯を見せて喋った。マルノは立ったまま、
「スペシャル・コースを頼む。」
「畏まりました。フルコースタイプで御座いますね。」
「そうだよ。会計はスマートフォンで、しておいたよ。」
ボーイは、そこにあるパソコンの画面を見ると、
「お支払い済みの御予約のマルノ・ゲッティ様で御座いますね。有難う御座います。丁寧にウチのチーフ・シェフが手をかけて料理を作りますので、しばらくの間、お待ちくださいませ。」
マルノはボタンを又、押すと大型ディスプレイの画面は消えた。
 アイラン・メリットンは初めて見た個室内のディスプレイを通しての注文に感嘆と関心を持って眺めていた。マルノ・ゲッティは席に戻りアイランと差し向かいに座った。マルノは両手を広げると、
「先端的な注文方法でしょ?メリットンさん。」
アイランは、
「驚きました。注目すべき店ですね、ここは。」
それから運ばれてきた豪勢な料理の数々、フランス料理のフルコースに似ていたが、大きな海老に様々なソースをかけ、ホイップクリームを最後に載せた皿が出ると、マルノはメリットンに、
「月の海老という料理名なんですよ、これは。」
と朗らかに話した。メリットンは皿を注視すると、
「風変りな料理名ですね。」
「月で食べているような趣きが、あるんですよ。僕は既に食していますから。どうぞ、ミス・メリットンさん、味わえますよ。」
銀色のナイフとフォークを巧みに動かすとメリットンは可愛い口の中に付きの海老を入れる。喉の下に飲下したメリットンは、
「本当だわ。月にいる気分に、なります。」
二人が食べるのを終了したのはメリットンの昼の休憩時間が終わりそうな時刻だった。
 店の外に出た二人、冬の寒い風も気にならない程に体の中は熱い料理と飲み物で発熱している。マルノは右手を上げると、
「それではメリットンさん。又、取材に来ますよ。」
「ご馳走様でした、ゲッティさん。次の取材を、お待ちしていますわ。」
メリットンが帰る方向とは逆の方向にマルノ・ゲッティは黒のズボンで歩いていった。

一日の業務を終えたアイラン・メリットンはオフィスを出ると、誰かが待っているのに気付いた。(誰?あっ!)そこには蛇の頭をした男が立っていた。と思ったのは一瞬で、それは今朝に取材に訪れてランチを御馳走してくれたワシントン・タイムズの記者であるマルノ・ゲッティが笑顔で立っていたのだ。彼は、
「お待ちしていました、メリットンさん。今日は今から空いていますか?」
メリットンは同意の顔をして、
「空いていますよ、ゲッティさん。仕事以外に趣味もないし。」
と即座に答えてくれる。マルノは、
「よかった、もしメリットンさんが予定があったら、とか考えていました。夕食は早いですね?」
「そうね、昼に御馳走になりましたから。」
背広のままのマルノ・ゲッティは、
「ティー・ルームというのが開店したんですよ。紅茶を主に出しています。そこへ行きましょう、メリットンさん。」
「ええ、喜んで。楽しみだわ、それは。」
マルノに連れられてティールームへ行くアイラン・メリットン。一階にあるティールームはホテルのラウンジ内にあった。マルノは店の中の入り口付近に立っていたボーイの青年が近づいてきたので、
「一番、いい席を頼むよ。」
と話すと白い服装に黒の帽子を被った青年は、
「承諾いたしました。ご案内します。」
と答えると店の奥に二人を連れていく。
そこにはエレベーターがあり、ボーイは最上階のボタンに指で触れる。すぐに店の奥まで降りて来たエレベーターだ。
それが開いたのでボーイは、
「さあ、どうぞ。お乗りください。」
とマルノとメリットンを先にエレベーターに乗せた。それからボーイは乗り込むとエレベーターは最上階へと向かう。
到達したのは数十秒後。
扉が開くと、そこはティールームではないホテルの中の外観だ。ボーイは、「ご案内します。」
と云い、エレベーターを出た。この最上階にもティールームが、あるのだろう、と歩きながらメリットンは思っていた。
ボーイが或る部屋の前に来ると円筒形のガラスのキーホルダーの付いた鍵をマルノに渡し、
「ごゆっくりと、お過ごしください。」
マルノがカギでドアを開けると、そこは部屋の中央にテーブルがあり喫茶店風の内装である壁紙も落ち着いた色調の色合いで、ティールームのようだ。メリットンは、もしかしたら、という思いが打ち消されて、
「個室のティールームなのね。エレベーターで最上階まで来た甲斐が、あるわ。でも、すごく高そう。予算が・・必要なのでは?マルノさん。」
と室内を見渡しつつ話した。マルノは背広の上着の襟の下を両手で整えると、
「予算は、あります。充分にね。座りましょう。メリットンさん。」
「ええ、それでは。」
テーブルの上にはメニュー表が立ててある。マルノはメリットンに、それを手渡した。彼女はメニューを見て、
「ふうん、紅茶の他にビーフステーキまで、あるのね。ディナーとしても食べられるものが並んでいるわ。」
と感心する。マルノは、
「少し早いけど食事を注文してもいいですよ。」
と誘う。メリットンはメニューから顔を上げて、
「それよりスペシャル・ティーを頼んでも、いいかしら?」
「ええ、もちろんです。」
テーブルにはインターホンがあった。それを押すとマルノは、
「スペシャル・ティーを二つね。」
と手軽な感じで注文した。メリットンは、
「最上階まで持ってくるわけ?スペシャル・ティーを。」
「いいえ、最上階にも店の厨房が、あるんですよ。」
とマルノは、説明したのだ。
それで三分もすると玄関チャイムのようにベルが二人のいる室内に鳴り響いた。出入り口のドアの上にはモニターカメラがあり、それには白い服に白い帽子の料理長のような男が手にした銀皿にティーカップを二つ載せて笑顔を浮かべている。マルノはドアを開けた。
「御機嫌如何です?スペシャルティーを、お持ちしました。」
マルノは、
「御機嫌いいから部屋の中に置いてね、それ。」
料理長は椅子に座っているメリットンを見ると、
「おや、これは奥様。失礼いたします。」
とスペシャルティーをテーブルに並べる。
それから深く一礼して料理長は立ち去った。部屋のドアが自動施錠で閉まる。
マルノは椅子に座り、メリットンに、
「どうぞ、飲んでください。メリットンさん。」
メリットンはマルノの顔を見て、
「わたしたち、夫婦に見えたのかしら?」
「そうですかね?別に貴女が誰かの奥さんに見えたとしても、料理長は奥様と呼ぶはずですよ。」
メリットンは、ふふ、という絵顔(笑顔ではなく)を浮かべると、
「そういう見方も、確かにあるわ。いただきます。」
アッサム紅茶に似ているが、別の味わいもある。メリットンにしてみると、
「初めて飲んだ高級な紅茶ね。深い味に異国どころか異星の味わいまで感じるわ。」
マルノも手に取って飲みつつ、
「うまいですね、例えるなら月の味も入っている・・・。」
メリットンは同意の顔をして、
「そうだわ、うまい形容です。」
「ついでにディナーも、どうですか?」
「まだ空腹でないもの。」
「運動すれば空腹になりますよ。」
「そうね。でも、この部屋で走り回る訳にも行かないでしょ。」
「逆立ちなら出来ますよ。」
「まあ、わたしスカートを履いているのよ。」
「誰も、いないじゃありませんか。」
「貴方が見ているわ、マルノさん。」
「私などに気にしないで下さい。」
「そうは行きませんよ、マルノさん。」
マルノは椅子から立ち上がると、
「それでは別の部屋に行きましょう。」
メリットンも立ち上がると、
「ええ、ついて行きますよ、マルノさん。」
部屋の奥にはドアがあった。二人は、その部屋に入る。
二人が入ると同時に照明が点いたようだ。
ドアはオートロックで自動的に閉まった。
広い部屋だが、そこはベッドルーム、寝室なのである。
ダブルベッドに赤い布団、赤いカーテンに床は白の絨毯が
敷き詰めている。メリットンは大驚して、
「なんとベッドルーム・・・・。」
と絶句した。
 マルノは上着を脱いだ。白いカッターシャツの彼は、
「アイラン・メリットンさん。ここでは貴女はUFO関連機関の人間である事を忘れて欲しいんです。貴女は服を着ていても素晴らしい魅力のある体だ。僕の股間を見てください。」
メリットンはマルノに云われたまま、彼の股間を見ると、そこは大きく盛り上がっていた。彼女は、
「まあ!凄い!」
声を上げると自分の上着を脱ぐ。その下にも服を着ているがメリットンの乳房が形よく浮き出ている。マルノはカッターシャツも脱いでシャツ姿になる。メリットンも最後の上着を脱いでブラジャーだけの上半身になった。
薄めのブラジャーで彼女の盛り上がった大きな乳房の先にある豆のような乳首はクッキリと浮かび出ている。二人は、どちらからともなく近づいて抱き合った。そして二人の唇は重なり、長い時間の間、
離れなかった。マルノはキスしたままメリットンを横抱きに抱いてダブルベッドに優しく寝そべらせる。キスを続けつつマルノはメリットンの白い薄めのブラジャーを外した。
揉まれるのを待っているような白い大きな乳房を見るとマルノは唇を離し、メリットンの乳首を右、左と吸う。メリットンは心地よさそうに目を細めると両脚を大きく開く。マルノは身を起こすと、メリットンのスカートを外した。白いパンティは薄くて彼女の股間の真っ黒な陰剛毛の縮れた様子をハッキリと映している。
そのパンティに食い込んだ彼女の陰部は男のモノを咥えたさそうな女陰を示していた。マルノは紐で外せる彼女のパンティを両側共に外すと、アイランの股間を隠していた薄い繊維を横に移動させる。
縦長の女のスジが少し開き、マルノの肉棒を欲しそうにしていた。
マルノは素早く自分のズボンとパンツを脱ぎ棄てる。
最大限に屹立したマルノのモノはアイランの開いた女性器の中に埋め込まれていく。アイランは気持ちよさそうに、
「アアッ、最高よっ、はーっ、奥まで来てーんっ。」
と少し自分の白い大きな臀部を持ち上げてマルノと深く身を合体させた。全裸の二人は共に腰を動かし始める。
三分間は性器をピッタリと合わせて擦り合う。アイランの白い大きな乳房は揺れて、ピンクの彼女の乳首は硬く尖っていた。
快感の波に乗っている二人だったが、マルノは腰の動きを止める。アイランは閉じていた両眼を開けると、
「どうして、止めるの?」
と意外な顔で聞く。彼女の黒髪は乱れていた。マルノは、
「気になっていたた事を思い出したよ、アイラン。」
メリットンは止まっている大きなマルノの陽肉棒を自分の中で感じつつ、
「なんなの?それは?」
「君の個人的な月への見解だ。」
押して引くという動作を止められてメリットンは快楽の波が止まったのを感じた。質問に答える彼女、
「個人的には月の見解は、ないんです。でも私の所属する機関は、月の裏側には人が住んでいる事や、月にある大気、水、酸素などの事実を捕まえている。重力も地球と、ほぼ同じらしいわ。」
「ありがとう。御褒美に快楽を一緒に味わおう。」
マルノの腰は再び動き始め、アイランの膣内を自在に往復した。アイランは長い髪を振り乱して自分の尻をマルノの腰の動きに合わせて振り続け、快楽の沼に溺れて行った・・・・。

 こちらは性感マッサージ師の快乱が座っている軍隊の部屋だ。一人の男が入って来た。彼は背広姿で軍服ではない。きりっと引き締まった顔で、両脚の踵をくっつけて背を伸ばすと部屋の中の軍人に敬礼し、
「サットン少佐、地球のアメリカから戻りましたっ。」
と報告した。
サットン少佐も立ち上がり、敬礼して、
「うむ、ご苦労だった。マルノ・ゲッティー大尉。かなり昔から活躍しておられますね。ゲッティー家は地球のアメリカで。」
と話す。マルノ・ゲッティ大尉は、
「私はマルノ・ゲッティ三世です。祖父が同じ名前のマルノ・ゲッティで、父はカルノ・ゲッティーでした。いずれも地球のアメリカのUFOに対する声明をしている公的機関の女をベッドに、いざない、
性交して動作を止める事により、彼女達の自白を引き出してきました。」
と喜び勇んで説明する。サットン少佐は椅子に座ると、
「ゲッティー大尉、座り給え。」
「はい、サットン少佐。」
ゲッティー大尉が木製の椅子に座った後、サットン少佐は自分の胸に触ると、
「一か月ほど、南の島で勤務してもらう。太陽の光は十分だ。ワシントンは寒かっただろう?」
と探りを入れるように聞く。ゲッティー大尉は思い出すように、
「寒かったですよ、アメリカの首都は。地球人って寒いのが好きなんですか。」
サットン少佐は、
「そうだな。我々は寒くなる地方に人は誰も住んでいない。地球の面積が狭いためだろう。」
「南の島の軍事施設では女もいないでしょう。」
とゲッティー大尉は云うと、うつむいた。
 サットン少佐は、
「原住民の女は、いる。それと施設内にある売店やレストラン、マッサージ室などにも若い女性が勤務している。あの施設では若い女性をハントする事が許されているんだ。ゲッティー大尉の寝室に若い女を連れ込み、セックスする事も許可されているからね。
売春施設がないだけに、腕の見せ所だよ、ゲッティー君。」
との訓示であった。サットン少佐は続けて、
「今から行ってもらう、ゲッティー大尉。コリントン中佐の部屋へ行け。」
ゲッティー大尉は立ち上がると、気を付けの姿勢に敬礼をして、
「行ってまいります。」

sf小説・体験版・未来の出来事32

 乗り物の中で官能的な描写を読んでいる貴美は頬を赤らめて、周囲を見回すと貴美を気にしている人物は、いなかった。慌てて電子書籍の画面に視線を戻す。
オレは喜悦しているアンドロイド妻の女の奥深くに男性の液体を、もう一度、放ってやった。
 こんな日々を送っているが、妻はアンドロイドなので婚姻届けは出していない。で、配偶者控除も出来ないが、そもそもオレは節税も必要ない。電子書籍のSFものを読むのがオレの趣味だ。今は*知らない星に連れられて*というものを読んでいる。それは・・・
 釣次郎はピラミッドの内部に連れていかれた。そこには水晶で出来た縦長の小屋みたいなものがあり、人間二人は入れる。二人を車に乗せて、ここへ案内してくれた僧侶は、
「その中に入ると他の惑星に瞬間的に移動できる。具体的な場所も入力すれば、そこへ行ける。一度に二人は可能だ。地球人のアンタは何処に行きたいかね?」
釣次郎は地球の時・流太郎が気になった。そこで、
「地球の日本の東京駅に行きたいです。」
と話すと、僧侶は小屋の壁にある機械に情報を入力した。僧侶は歯を見せて笑顔で、
「マリムさんと二人で一日か、その辺り地球の日本の東京に戻りなさい。これはボッダの指示だ。行く行かないは地球人のアンタが決められる。どうするかね?」
釣次郎は、いい息抜きだと思い、
「行きます、喜んで。地球も気になりますし、ぜひ行きます。」
僧侶は最後の入力を終えると、
「それでは中に入るように。マリムさん、あんたもな。」
その小屋の中に入った二人は、すぐに自分たちが何かに運ばれているのを感じた。ハッと思うと二人は東京駅の構内にいた。突然、現れたのに周囲の人達は気づかない。向こうから若い女性が歩いてくる。その女性は釣次郎に気づくと立ち止まり、
「本池釣次郎さんでしょ?もしか、しなくても。」
と呼びかけた。
「そうですが、貴女は、どなた?」
「サイバーモーメントの城川貴美と言います。時流太郎さんの会社に本池さんは、いるのでしょう?行方不明に、なったとか時さんが話していました。その時に本池さんの写真とかも見せて貰いましたから分かったんですよ。」
納得了解した釣次郎は、
「これから何処へ行かれますか、城川さん。」
と尋ねると、
「これからサイバーモーメントの東京営業所に行きますわ。」
そこで貴美は電子書籍を閉じた。東京駅に着いたからだ。ロケットカーを出て、そこからエスカレーターで一階に上がった貴美は快適に歩行していると二人の男性が自分を見ているのに気付いた。
日本人の男性と白人風の男性だ。日本人の男性は貴美に歩み寄ると、
「城川さんですね?」
と話しかけたので、貴美は立ち止まると、
「ええ、そうですが。貴方は?」
と不審げに聞く。話しかけた青年は笑顔で、
「本池と申します。時社長の会社の社員ですよ。時社長に東京駅に城川という女性がロケットカーで到着するから迎えに行って、と連絡がありました。」
貴美はホッと安堵の息をつくと、
「そうでしたの。不審な顔をしてごめんなさいね。」
釣次郎はニコニコして、
「いいえ、こちらこそ驚かせてしまって、すみません。我が社は町田市にあります。電車賃は、こちらで持ちますから。さあ、行きましょう。」
と申し出た。
 東京駅➡新宿駅➡小田急線・新宿駅➡小田急線・町田駅での移動だが夕方五時前なので座席に座れた。貴美を中央にして左右に釣次郎と白人風の男が座る。右にいる釣次郎に貴美は、
「本池さん、遠い惑星から一瞬で東京駅に着いたんじゃないのかしら?」
面食らったのは釣次郎で、
「ええっ?何故、その事を・・・・。」
と絶句した。貴美は、
「電子書籍のSFに書いてあったの。」と云うと左に座っている白人のような男性に、「あなたはマリムさん、じゃないのかしら?」
マリムと呼ばれて白人風男性は、「ぎょえっ、それも男子書籍に書いてありましたか?」貴美は「そうよ。ボッダの指示でしょ?」
釣次郎とマリムは、ほぼ・ほぼ的に同時に、
「ええ、そうです。」と併答したのだ。
電車の窓には流れていく神奈川の風景が見える。遠くに巨大な観音像が見えたりするのが新しい名所らしい。ボッダの事に話題が移った時に見えた白い観音像は偶発的な事象とは思えない。
 最近の日本は神社離れが加速している。コロナウイルスによる神社参拝を離れる人たちも増えるばかりだ。それよりも寺院は人も少ないので参詣客が増えている。ボッダは釣次郎に、これを見せたかったのか。そうではない、と思われるが未だに姿を見ていない釣次郎にとってのボッダであった。釣次郎は貴美に、
「遠い星に何故か覚者のボッダが、います。」
貴美は、どうでも良さそうに、
「ふーん、そうなの。仏教みたいで興味ないわ。」
とアッサリとアサリ貝の殻を捨てるような返答に釣次郎も、それから先を話せない。
町田に電車は到着した。三人横並びで歩けないので貴美は二人の後を追う。駅から歩いて数分の企業の缶詰のようなビルの地下に流太郎の合同会社は、ある。ドアを釣次郎が開けると中で座っていた流太郎が立ち上がり、
「やあ、いらっしゃい。城川さん。」
と待ちかねたように呼び掛ける。わずかながら来客の場合に対応できるテーブルとイスもある。そこへ貴美と釣次郎、マリムを導き、流太郎は、
「サイバーモーメントの黒沢社長から電話が入りましたよ。城川さんを出向社員として働かせて欲しい、とね。どうです?城川さん。」
それを簡素なソファに座って聞いた貴美は目をダイアモンドのように、きらめかせて、
「やりますわ、時社長。待ちに待った町田で始める仕事ですね?」
流太郎は上機嫌で、
「早速ですがホームページを作ってもらいます。あの机にパソコンも、あります。行きましょう、城川さん。」
貴美は手打ちでホームページを作れる。それを流太郎は黒沢社長に教えてもらっていた。HTML言語、CSS、さらにはブログを動かすXMLなどを駆使できる貴美である。
流太郎が大体の構想をWORDに、まとめていた。「出張ホストを手配します」というサイトを作って欲しいのか、と貴美は理解した。流太郎の声が貴美の頭の上から、
「それでは城川さん、よろしくね。早くなくていいから完成してください。」
と春風のように聞こえた。流太郎はソファにいる釣次郎とマリムの前に座ると、
「本池、こちらの方は、どなただ?」
釣次郎は改まると、
「この星の人では、ないんです。地球から遠い惑星の人ですよ。」
流太郎は左程、驚かずにマリムへ、
「ようこそ、お越しくださいました。あ、日本語でスミマセン。」
マリムは、さざ波のように笑顔を広げると、
「いやー、大丈夫ですよ。私は日本語を話せますし、日本の小説も読めますから。」
流太郎は安堵し、
「これは素晴らしい!これから色々と事業を広げたいんですけど、まずは手始めにホスト紹介業を行おうと思っています。コロナウイルス感染の一つの大きな原因がホストクラブに行く事だったりしますからね。店を構えていても女子は誰も来なくなります。
女性のデリバリーヘルスは古い昔からあるのに、デリバリーホストは多くないです。それにホストクラブではホストは酒を注いで、話を聞いたりするだけで女性客と肉体関係に陥る事は、ほとんどないし、出来ないんですね。それをデリバリーホストの場合では、女性客の望みを拡大させようという試みです。
しかし本番は、なしという設定にしなければ、いけないんですね。あ、お名前を御伺いしていませんでした。わたくし、時流太郎と申します。名刺を差し上げます。」
流太郎から名刺を貰うとマリムは、
「ぼくはマリム、といいます。地球と同じような星なんて銀河系にも幾つもありますし、宇宙は銀河系だけではないですから、その辺を地球人は自覚しないと、いけない。
身体能力も地球人は、それほど大したものではないです。僕の星にもホストクラブは、あるし、それにねー。」
マリムは両手を左右に広げると、
「地球とは規模が違うんですよ。ホストの活動のね、行動半径というか行動範囲というかね、ぼくの星のホストは遠距離出張もしますし、それに他の星にデリバリーホストとしてUFOで行きますよ。太陽系だって地球以外は、金星と火星で交流が行われています。彼らの認識では地球人は野蛮、という事で交流したがらないようですよ。
特にアメリカ人なんて地球防衛軍なんて構想するけど文明が発達している星が地球を征服するのは簡単です。彼らは武器を考えるけれど、我々の星では一つの惑星を爆発させるだけの爆弾がありますし、それに武器なんて核爆弾や水素爆弾でなくても、いい。コロナウイルスのようなものでも、いいんですからね。我々の星には生物兵器は豊富にある。それでも惑星侵略のためには使わないんです。
コロナウイルスより強力な細菌だって最近じゃなく、百年以上前から開発していますね。本当に惑星侵略をしたいのは地球人、特にアメリカ人かもしれないけど、子供の火遊びは危険ですよ。月の裏側からも攻撃されてアポロ計画は頓挫したらしいですね?」
と背広姿の流太郎に問うマリム、流太郎は、
「いえ、知りません。まあ地球の科学文明は太陽系内でも遅れているのだとは思いますけど。」
マリムは我が胃を満たしたように、昔風なら我が意を得たように、
「それ、それ、それです。アインシュタインは光速が一番早い、と考えていたし、それ以外のものを考えられなかったので宇宙での航行が進まずにいるのが地球です。他の惑星では光速を超えた移動手段を持っているという事実を認めれば地球人は特に科学者は物凄い劣等感を持たないと、いけない。その劣等意識を持ちたくないが故のUFO否定にも、なるんですよ。」
流太郎は沈思話考に及び、
「私も他の惑星の科学は理解できません。けれども、それより稼がないと生きて行けません。これは地球規模での経済構造ですし。」
マリムは静寂感を表して、
「本当に、そうだね。労働して金銭を得て税金を納める。それで自治体や国が運営されるのが地球です。我々の星では労働は必要ではないので嫌々ながら働いている人は、いませんよ。」
流太郎は簡単に感嘆して、
「素晴らしい星ですね。労働のない世界なんて、まるで見たことのない夢の世界のようです。」
突如、部屋が動き始めた。わずかな揺れが感じられる。地震か?そうでは、ないようだ。地震とは左右に揺れるものだか、これは一方向に引っ張られていく動きなのである。地下にある部屋が何処に引っ張られるのだろう。
 流太郎、貴美、釣次郎の顔は緊張感で引き締まる。マリムは平然とした様子だ。異星人のマリムには動ずるべき事態では、ないのだろうか。例えて言えば地下鉄の動きのようなものを、四人は感じている。段々、速度が上がっていくようなのだ。地下鉄に乗っても、その揺れに慣れるように三人も落ち着きを見せ始めた。マリムは変わらぬ落ち着きぶりだ。
マリムは流太郎の話しかけに答えて、
「ええ、地球とは資源の違いが凄くあります。地球とは豊かな国ではない。例えば水道水にしても日本では有料です。電気、ガスもタダでは、ないし。これが我々の星では全て無料。食べ物もレストランに行かなければ無料で貰えます。」
地下鉄に乗っている気分になった貴美はパソコンを打つ手を止めて、
「どうして無料なんですか?」
好奇の目で問いかけた。マリムは生徒に教える教師のように、
「農家に国家が収入を与えています。地球と違って悪天候が続いたり、雨が降らない事が続くような事態にも、ならないのです。つまり、常に豊作、毎年が豊作、海では大漁の日々です。漁業の人達と農業の人達は、それぞれが収穫したものを物々交換します。
要するに金が回る事が少ない。ボッダは、その超能力の凄さで人々から寄進を受け、広大な土地も彼に捧げられました。
ボッダは働く必要なく、信者の寄進により生活しています。それは地球の宗教法人も似ていますが、ボッダには個人で手に入れるものも、お金が要らないので税金も掛かりません。
 全ての国民はベーシックインカムを貰いますので、失業しても困りません。」
と鮮やかに説明した。釣次郎は、
「なんだ、本当に天国みたいですね。今の日本も格差が激しくて、その癖、公務員、特に国会議員の給料は高いですよー。」
と話す。
流太郎が右手を高く上げると下に降ろし、
「それを紅党党首の桜見党首が変えるらしい。日本の政治家なんか国民とか呼んで普通に生きている人々を見下しているだろう。特権階級とでも思っているみたいにな。それを選挙で選ぶから、こうなっているんだ!」
怒りを爆発させようとした流太郎、その時に室内の揺れは止まった。流太郎は出入り口のドアに行くと、ドアを開く。地下鉄の駅のホームのような光が室内に入って来た。マリムは流太郎の後ろに立ち、
「外に出ましょう。ビルの地下室の廊下とは違いますよ。」
マリムは何かを何故、知っているのか。
全員、外へ出た。確かに町田駅近くのビルの地下とは違う。マリムに似た男性が歩いてくると、
「ようこそ、ここは八王子市の高尾山近くにあるビルの地下です。実は町田のビルの所有主には数百億円の謝礼を払い、了解してもらっています。時さんも事前に知らされていたでしょう?」
と流太郎に念を押す。
流太郎は思い出すように、
「ええ、そういえば聞いていました。私の会社の部屋だけを家賃を下げる代わりに突然、移動する事もある、という話でした。何か分からなかったけど賃料が下がるのなら、それでいいと思っていましたが、しかし、こういう移動とは思いもよらない移動でしたね。一体、これは・・・?」
その辺りはビルの地下らしいが部屋があるのは、移動してきた流太郎達の部屋だけで白壁と白い床面の廊下がある。
マリムが流太郎の方を向くと、
「実は、このビルは我々の星が所有しています。ですので八王子の地下から町田の地下までトンネルを掘って、時さんが借りている地下室の底部の裏側にリニアモーターカーの底部にあるものを取り付けて、ここまで運べるようにしました。」
と説明した。流太郎は憤り、
「何か勝手じゃないですか。ま、部屋の賃料が下がっているから文句は・・・でも、我々も業務中ですよ。」
マリムはニヤとすると、
「ちょっと驚いて、もらいたかったのですよ。我々の星の科学および技術力の高さに、ね。業務の邪魔といっても静かに移動して、会話の妨げにも、ならなかったのではありませんか。」
流太郎は渋々、
「そういえば、そうです。そうだ、せっかくだから、こちらのビルを見学してもいいですか?」
マリムは鷹揚に、
「ええ。でも廊下と部屋だけで、部屋はロックされていますから入れませんし。それより屋上に行きましょう。」
三人は同時に、うなずく。
エレベーターで屋上に上がると、そこには中型とでもいうべき白い外観のUFOが、居座っていた。
マリムは三人に、
「私の星に来ませんか。無理には連れて行きません。。」
と誘う。
流太郎は貴美と釣次郎に、
「オレは乗ってみる。君達は、どうするかい?」
と二人の顔を見回すと、貴美は面白そうに、
「わたしも乗りますわ。」
と賛意を示し、同じように好奇の目の釣次郎も、
「僕も乗りますよ、時社長。」
と同意したのだった。
マリムに続いてUFOに乗り込んだ三人は半円形のソファをマリムが示し、
「そちらへ、おかけください。」
と教唆する。
飛び上がった感じもしないがUFOはビルの屋上から飛び上がったのだ。瞬間移動、という表現が適切だろう。
数分以内に見知らぬ惑星に到着した。外に出た四人。釣次郎は、
「ここはボッダが居る星だ!」
マリムは、
「みなさんを御案内します。地球での経済活動に興味を持たれたボッダが皆さんに会いたいそうです。」
UFOが到着したのは広い庭で枯山水のような趣きの場所も見えるが森林が半円形で建物を囲んでいる。日本の寺院というよりもインドの寺院に似ている。白い外観の建物の上部は流線形で先端は空に向けて尖っている。宝殊の形、涙滴、涙の形と形容できる。
 マリムが先導する玄関は開いていてボッダが四人を出迎えた。ボッダは背の高い筋肉質の男性で肩幅が広く、顔色は褐色で目は緑色だ。静寂に見えた顔は活火山のような動きのある容色に変化すると日本語で、
「みなさん、ようこそ!私がボッダです。」
と明るい声で話した。とても千歳の年齢には見えず、五十代にみえる外貌だ。白色の袈裟に似た服を身に纏い、身軽な動きで四人を手招きすると、
「さあ、中に入って歓談しましょう。」
開かれた扉の向こうは、広い空間でドアが多数並んでいる。その中の一つのドアを開けてボッダは四人を室内に入れた。
講義室のような部屋で黒板ではなく白いプラスチックの板があり、教壇のようなものの後ろにボッダは立ち、四人は最前列の椅子に座る。ボッダは、
「授業ではないので気楽にしてください。私は立って話をします。」
と丁寧な喋り方だ。釣次郎はボッダが予想していたよりも優しく、謙虚に見えた。緑色のボッダの瞳は静かな湖上のような趣きがあり、どこにも見ることの出来ない光がある。
それにしてもボッダが日本語を話すとは流太郎も思わなかった。ボッダは流太郎に、
「時さん、あなたは会社を作ったばかりだが、これから成功するだろう。」
と話したのだ。流太郎は横に座っているマリムを見ると、
「ボッダに話されたんですか?私の事を。」
「いいえ、話していませんよ。」
とマリムは答える。それではボッダの超能力か。流太郎は、
「ボッダ様。私の思考から読み取られたのでしょうか?」
と尋ねるとボッダは、
「君のアストラル体にある脳の部分を読めば分かる。何よりも君は事業を考えている。しかも思考というのは言語を元に行われる事が大半だからホスト・デリバリーを考えているのも分かる。色々とホストを募集すると、いいだろう。私も君のデリバリー・ホスト業を応援したい。」
と明快に答えた。貴美も釣次郎も驚きと賛美の目でボッダを仰ぎ見た。ボッダは貴美と釣次郎を見ると、
「城川さんと本池君、のアストラルの思念も私には読めるからね。貴方方の名前も分かるんだ。もちろん私も日本語を数十年は学習したから、あなた方の名前が分かるのだがね。」
とスラスラーンとの御言葉だった。
一層、驚く貴美と釣次郎。釣次郎は思わず、
「ボッダがデリバリーホストを応援してくださるなんて予想外でした。」
と目を四角にしたよう表情で云うと、ボッダは静顔小笑して、
「男女の性欲を否定しているのは地球に生まれたブッダだが、私はボッダだ。性欲を否定はしない、それどころか推奨する。禁欲をさせるのは、より性の活動に活力をもたらす為だ。私は二万人以上の女人を抱いた。というと抽象的だな。二万人以上と性交した。その多くは美女ばかりだったのだ。現在も妻は十人、愛人は五十人と昔より少ないが、毎日、性愛の相手に事欠く事はないよ。それも地球的に見て若い完熟した美人ばかりでね。もちろん、私の宗教で修行に励んでいる女性ばかりだ。釣次郎君が訪問していた、あの広い寺院内に私の妻と愛人は住んでいる。
諸君らも性欲を亢進させなさい。活力なき人間を作り出すのが地球の仏教だ。あの寺院では女性修行僧の方が多くて、禁欲の期間を満了した修行僧は寺院内で結婚する。あの寺院内には結婚した修行僧の男女が住む僧房がある。寺院内には産婦人科の病院はないが、日本の昔の産婆の資格を持った女性層がいるので、寺院の外に出て出産する必要は、ない。
という事で、なにか質問があるなら自由に挙手するように。」
と話すとボッダは長い髪を掻き揚げた。
流太郎は右手を上げる。ボッダはニンマリすると、
「時さん、どうぞ。質問しなさい。自衛隊の事か?」
図星、当たり彗星だった。流太郎は動揺を抑えると、
「そうです、さすがボッダ様。良く、お判りで。」
「それ以上は分からないから、質問を続けるように。」
「はい。こちらの星は他の惑星を攻めに行くような構想は、ないんですかねー。」

sf小説・体験版・未来の出来事31

 医師のセックスレス妻の丸代が指さす部分を見て、丸代と同じ全裸のヨガ講師、与儀は両手を腰に当てると、
「今は想像でなくて、現実に見ているし、少し前まで俺のモノを刺し込んでいたからな、そこに。君は、とても気持ちよさそうだったよ、丸代。」
と肌を重ねた男女の会話らしい遠慮のない響きで話した。丸代は頬を染めて「ええ、人生で一番、気持ちよかったわ。」
満足げな与儀は、
「次はガルーダーサナでセックスするのもいい。」
丸代は、そのポーズを思い出して、
「ワシのポーズね。片足で立って右手を上げる・・・。」
その時、広い室内の出入り口が開いて数名の男が這入り込んできた。
裸の与儀は彼らに、
「なんだ、君達は外からは入れないように鍵を掛けていたが。」
彼らは三人で横に並んでいる。肌の色は白いし金髪の男は真ん中で、
「鍵が役に立たない事を実証するために入ったんだ。強盗とかではないので安心されたし。」
と与儀と同じ180センチくらいの彼らは全員が灰色の背広の上下に身を包んでいる。
丸代は慌てて下着と服を着た。与儀は未だに全裸だ。謎の男たちの右にいる人物は与儀を見て、
「中々の股間じゃないか。そこの女性と楽しんでいたようで申し訳ない。でも、これから君達を連れていくのが俺たちの使命なんだ。」
と確信的に宣言する。与儀は混乱を余儀なくされてしまい、
「一体、何処に連れていくつもりだ?」
熊のように体格のいい左側の男は、
「屋上に上がれば分かる。服は着ないのか?」
「ああ、着るよ。どうせ抵抗しても、連れていくんだろう?」
真ん中の男は上着の内側からピストルに似たものを取り出すと、全裸の与儀に狙いを定めて、
「そうだ、抵抗すれば、この飛び道具でオタクを撃たないといけなくなるよ。」
と静かに云う。静かに脅される方が脅しは、より凄みを帯びるものだ。与儀はゾクゾクゾクッと背中の上を冷水が逆流していくような感覚がして急いで下着と服を身に着ける。真ん中の男はピストルを上着の中にしまうと、
「屋上へ案内しろ。オレ以外の二人もピストルを持っている。素手でもオタクを倒すことは容易な話だ。そこの奥さんも一緒に来るように。」
と少し震えて立っている月森丸代に誘いかける。三人の前を与儀と丸代は歩かされた。屋上に登る。平屋建ての住居なので二階はなく屋上だった。ドアノブを与儀が回すとロック解錠で、五人は屋上に出た。屋上の面積一杯に停車しているのは地球の乗り物ではなかったのだ。UFOを見るのは与儀も丸代も生まれて初めてだった。与儀と丸代は同じような事を考えている。(そうすると、この人たちは・・・)二人を見て真ん中の男は笑顔になると、
「俺たちを宇宙人だと思っているんだろう。アメリカ人だよ。NASA勤務の俺たちだ。月まで来てもらいたいんだ。」
と簡潔に話した。
与儀は幾分、落ち着いた。それは彼らが地球外生命体ではないと打ち明けたからだ。日本語も日本人と遜色を感じない明瞭な話し方なので、与儀は、
「おれだけ、ついて行こう。この女性は必要ないだろう?」
と丸代を指さして訊く。
リーダーらしい列の真ん中にいた男は、
「いや、その奥さんにも来てもらわないとイケナイよ。二人で来てもらわないと、な。目的を達成できない、俺たちのね。」
与儀は丸代に、
「という事らしいけど、どうだろう?丸代さん。」
丸代は躊躇せずに、
「行きますわ。夫は驚くだろうけど平気です、わたし。」

 円盤の内部に廊下があって、一つのドアをリーダーが開けると、そこはホテルのラウンジのような豪奢で贅沢な雰囲気のある部屋だった。リーダーは与儀に、
「腰かけたまえ。月まで揺れることなく飛んでいくよ。さあ、出発だ。Go to the moon!」
ゴートゥ、ザ・ムーンというリーダーの言葉通りに円盤は離陸したのだが、室内の与儀と丸代には円盤が垂直に飛翔したのには気が付かなかった。赤いソファが円形に並べてあって、アメリカ人と話した三人と与儀と丸代は並んで向かい合う。リーダーは、
「これから月の地球から見て裏側に行くよ。おれの名前はカッター、アメリカのテキサス生まれでね。四十五歳だ。」
と両手を広げて自己紹介した。さっきヨガ教室で一列に横に並んだ時と同じ配置で他の二人はソファに座っている。リーダーのカッターは右手を与儀達から見て左の男を示すと、その熊のような大男は、
「俺の名前はキラミン。ニューヨーク生まれさ。四十歳だ。」
カッターは右手で自分の左にいる男を示す、その男は理知的な顔立ち、
「俺の名前はトムトム。カリフォルニア州ロサンゼルス生まれダヨ。日本にも何回か来たな。親日だから日本語も、うまくなった。」
カッターは身を乗り出すと、
「君達の自己紹介も、どうぞ。」
というので与儀は、
「福岡市生まれで父親はインド人の与儀です。よろしく36。」
トムトムは、
「36てのは君の年齢か?よくわからない。」
与儀は気軽に、
「しくイコール36でしょ?」
トムトム「あー、なるほどね。ダダダン、トだじゃれだね、あはは。」
丸代は細々と、
「月森といいます。東京生まれです。医師の妻です。」
カッターは面白そうに、
「そ。なら君は不倫をしていたんだな、ああ?」
与儀は横から割り込む様に、
「ぼくらは真面目な交際ですよ。結婚する予定ですから。」
アメリカ人三人は感心して、代表するようにカッターは、
「それは、いいな。オメデトウ。月に、これから行くのはツキがいい、なーんて本当さ。」
丸代は打ち解けたように、
「わたし月森という名前です。月に森なんて、ありませんよね?」
トムトムは首を右、左にスイングすると、
「いや、あるんだよ。それがねー、だって月には人が住んでいるんだから。」
与儀と丸代は一方ならず、四方八方驚いて丸代は、
「えええっー。月に森が、あるーんですか、信じられないですわ。」
熊のようなキラミンは髭もじゃもじゃの顔を丸代に向けると、
「森も林も湖も、池も小川も大河もあるさ。俺たちは、今は月に住んでいるんだから。」
と説明口調で解説してくれた。与儀は好奇心で、
「この円盤はアメリカのモノなのですか?知りたいなあ。」
トムトムが答えて、
「知りたいとは尻に鯛を載せる事だ、なんてのはサテ置き、アメリカのモノではないね、この円盤は月の富裕層から借りているよ。」
丸代は目玉焼きが出来そうな眼をして、
「月の富裕層ってアメリカの人は既に月に住んでいるんですか、凄いわ。」
カッターが説明する、
「アメリカ人は月では富裕ではなく、それに誰も住んでいない、月にはね。これは月人の所有するもので、それを借りているという訳さ。」
月まで、そう時間が掛かる訳がない。着陸したと思えないのに、円盤は月に着陸していたのだ。それも地球から見えない月の裏側に、である。月の一日は地球の一月程度もある。であるから半月が太陽が出ていて、半月は夜となる。ルナティックとは狂気の意味があるが地球で十五日間も太陽が出ていて、残りは夜などでは、どういう精神状態になるのだろう。
生物は太陽に依存する。月の人間は半月は起きていて、半月は寝ているのだろうか。カッターは壁にある何かを見て、
「月の裏側に着いたよ。降りよう、円盤を。」
と皆を促した。
そこはビルの屋上のような場所だった。月にビルディングがある。屋上から眺めると都市でビルだらけ。空にはUFOが、あちこちに飛んでいる。月の重力も地球と、ほぼ同じだった。だったらアポロの月面着陸で軽く飛んでいる宇宙飛行士は何故、あんなに軽々と月面を飛べるのだろうか。
しばらく五人は屋上にいた。明るい太陽の下に月の裏側が五人の目に見える。与儀は歩くと、
「地球と同じような重力ですね。月は重力が少ないと教えられていましたが。」
とカッターに尋ねる。カッターは両手を左右に広げて、両肩をすくめると、
「月への最初の月面着陸の映像はフェイクだ。つまり贋物、作りものさ。映画監督のスタンリー・キューブリックが特撮の関与を認めているだろう。月には宇宙からの訪問者で一杯なんだよ。地球と同じ環境どころか地球よりも生命が住むのに良い環境は宇宙には、いくつでもあって、そういう星がいくつもあったとしても不思議ではない。この考えられない程に広大な宇宙空間に生命が地球だけにあり、地球人だけが二足歩行して思考する生物だと考える方が狂気なのでは、ないだろうか。
これは我々、アメリカ人の中にも科学と称する妄想を正しいとする人々が多い。銀河には何百億人の人類がいると私は聞いた。それは真実だと思うよ。」
それに第一、酸素があるのだ。酸素ボンベなど不要の月面である。ビルの屋上にも植物を植えている鉢が見受けられる。とすれば雨が降り、成長するので鉢植えにされている緑が並んでいる。カッターは、
「太陽系の惑星には全て酸素がある。そうでないと生命は存在できないからね。地球以外の惑星には生命は存在できないと主張しておいた方が都合がいいんだ。なぜならアメリカ以外の国は他の惑星への興味を失う。そしたらアメリカが一番乗りで他の惑星に乗り込める。そして領土も取れる算段なんだよ。これに所謂、妄想の科学で生活している大学教授らが賛同して月どころか太陽系の惑星は地球以外には生命は、いないなどと、のたまわっているんだ。あめりかとしては一番いい宣伝工作に無料で活動してくれる日本の物理学者の教授たちだ。日本の政治家は全部がアメリカの飼い犬さ。餌を貰うために何でもやるんだぜ。でもなあ、」
そこでカッターは一息つくと、
「とんでもないのが現れたよ、日本の政治に。」
と話すと、与儀と丸代を見る。与儀は、
「誰なんですか、その政治家は?」
「日本紅党党首の桜見世子。過激派共産主義の女党首でね。でも、オレ達はアメリカがどうなろうと構わない、というのは月で生活しているからね。地球に行く時には誰かを、ここに連れてこないとイケナイ。これは随分前からの習慣みたいになっているよ。そして地球に返さない場合もある。」
と静かに話すカッターの口調だが、与儀と丸代はゾッゾクゥーと背筋が寒くなる。このビルの屋上は月の地面の上に建っているので二人が逃げ出しても、ビル内も月の土地も全くの不案内なのは二人とも分かっている。カッターたちに随行するしか方法は、ないのだ。不安に怯える二人を見るとカッターは獲物を捕らえた人の目をして、
「君達は返すかもしれない。月で性活したらいい。地球人の性の活動を観察したい人たちもいるし、ぼくらは実は公務員みたいなものでね、そういう月の政府の部門に連れていってホテル暮らしを君達にしてもらい、どこにあるのか分からないカメラで撮影されているだけで生活は保障されるよ。どうかな?」
とカッターは二人の目を覗き込んだ。与儀は不承不承の顔だが、
「それしか、ないでしょう。ぼくらは、そうすると月で新婚生活ですね。」
と答えると、カッターは快速な態度で、
「ようし、決定だ。今から地球対策省の地球人生活観察庁に行こう。このビル内に実はあるんだ。だから下に降りれば、いいだけさ。エレベーターに乗ろう。屋上の端にはエレベーターがあった。地球のエレベーターと、そんなに違いはない。かなり下に降りたが何階かは分からない与儀と丸代だった。階数は月の数字で表記されているためだ。エレベーターを出るとカッターはトムトムとキラミンに、
「ここまでで、いい。トムトム、キラミン。今日の仕事は終わりだ。」と告げた。
トムトムはヒューッ、と口笛を吹くとキラミンに英語で、
「地下のバーに行こう。地球対策省のバーだから安く、飲めるぜ。」
と誘うと理知的なキラミンも楽しそうに、
「ああ、昼から酒が飲めるな。どうせ半月は昼だけど。」
と英語で答えたので与儀と丸代には二人の対話の意味が分からなかった。
 カッターが地球人生活観察庁の部屋のドアを開けると、そこは受付のような場所で金髪の男性が座っていた。一般の受付口のようだ。カッターと受付の男性の会話は月の言語で行なわれているので与儀と丸代には理解不能だ。カッターとの話を了解した受付の男性は笑顔で先へ進む様に手で示す。受付の右横には廊下があり、それを三人は歩いていくと又、いくつものドアが廊下の左右に並んでいて、カッターを追いかけるように与儀と丸代は歩いた。
カッターは一つのドアの前で立ち止まると、
「ここが日本人研究課なんだ。入ろう。」
とドアを開ける。
中に入ると数人の職員が見えたが、対応してくれたのはカウンターに座っている中年男性で、
「ようこそ。お待ちしていました。」
と浅黒い顔の男は日本語で話した。
カッターは二人を紹介する。
「日本から来た与儀さんと月森さんだ。月での性活がしたいらしい。」
受付の男は座ったまま、
「ここでは職員全てが日本語を習得しています。お気軽に話してください。右に進んで最初のドアが日本人応対室となっています。」
又しても右手に進む三人だ。
最初のドアの前に立ち、カッターが待っていると自動でドアが開いた。三人が入った部屋は広くて応接室のような場所に男の職員が歩いてきて、
「ようこそ。そこのソファに腰かけてください。」
と明確な日本語で話し、自分も三人に対面する形で座る。北欧人に似た容貌の男性だ。白さは北欧人より白い肌の色、顔の色である。職員は笑顔で、
「わたくしたち職員は全員が地球の日本に行き、語学も学びました。」
と話す。与儀は疑問に感じた事を聞く。
「どのように日本に滞在したのですか。ホテル?民泊、それとも・・?」
職員は悠然と、
「日本の東京郊外の高尾山の地下に我々が宿泊できる施設があります。自家発電の装置を据え付けていてオール電化で風呂も沸かせます。電子レンジや冷蔵庫はネット通販で買って入り口から少し離れた場所で受け取り、車で施設に運び込みます。その離れた場所のマンションは一階を借りていますけどね。水道は地下水を導き入れているので天然のものです。水道代を払う事も、ありません。
その施設は三十人は泊まれます。施設の管理者は常駐していますし、日本の紙幣や硬貨も持っているので時々、地下から出て東京だけでなく北海道から沖縄まで旅行もしますよ。パスポートは要りませんから(笑)。」
と懇切丁寧、次節は不明に説明してくれた。その室内の温度は20度くらいだろうか。
与儀は納得して、
「語学学校に行くわけですか、日本語習得のために。」
と再度、質問すると職員は、
「それでは色々と面倒ですね。近くに借りているマンションまで個人教師として来てもらうのです。朝から夕方まで教えてもらえますし、入学手続きも要りません。ネットで募集したら、すぐに面接に来ますよ。その教師も学校で教えるよりも高額な報酬を貰えるのでね。」
と即答した。なるほど彼ら月の人達は既に日本にも来ているだけでなく宿泊施設も東京郊外に持っているらしい。でも与儀には、まだ疑問がある。それで与儀は、
「そのー、語学教師を雇える資金は何処から来るのですか?」
と訊くと職員は、
「当然なる疑問ですね。実は月にはダイアモンドが豊富に採れる場所があります。月政府で管理している場所もありますから、そのダイアモンドを地球に持ち込んで換金するのですよ。この活動のための施設は地球の全世界的な場所に置いていますから、日本には逆に云うと月のダイアモンドの換金施設は、ないわけですが海外から日本の施設に送金してもらいます。タックスフリーな島とかにも拠点がありますし、日本に税金なんか払わなくていいようにね。」
と魅力的に職員は話してくれた。
与儀は理解して、
「分かりました、話は別ですがヨガとか興味ありますか?」
職員は、
「うーん、それはインドのものでしょう。我々は日本にしか興味を持ちませんので。」
と答えた。与儀は小落胆して、
「私はインド人の父親を持つハーフです。純粋な日本人では、ないんですよ。」
職員は顔色を変更せずに、
「日本に住んでいれば大丈夫です。日本国籍ですか?」
与儀は、
「日本国籍で日本生まれです。インドには修行のために五年は滞在しました。」
職員は楽しそうに、
「それなら猶、興味深いですね。我々は純粋な日本人ばかりを研究していないのですよ。そもそも純粋な日本人なんて、いないんです。縄文人と弥生人の混血ですからね、古い日本人も。四国には古くからユダヤ人が住んでいますよ。キリストの墓も青森県にあります。これはキリストの遺体を埋めた墓と考えるよりも、キリストを慕うユダヤ人が建立したと思われます。とすると青森県にもユダヤ人が辿り着いているという事実がありますね。だから青森県の人の中にはユダヤ人の血が混じっている人も、いるはずですよ。」
 月の人間が、このような事実を知っていて一般の日本人が知らないというのも変な話ではあるが、大体に於いて日本の学者というものは常識と言われる範疇の外には出たがらないし学説も発表しない。
一般の日本人は読書をしない程度は隣国の中国よりも遥かに下なのだ。士農工商の時代が長く続いたので、仕方のない事ではあるだろう。だって士族以外は読書をしないのも自由だったからだ。
 インド人の血を持つ与儀も興味の中心はヨガであったので、キリストの墓が青森にあるのは知らなかった。それで与儀は、
「キリストの墓が青森に、ですか。知りませんでした。私にはキリストより、ババジやヨガナンダの方が救世主なのです。」
というと月の職員は、
「ババジ?ヨガナンダ?知りません、私は。ここは月政府の日本人研究課で、わたしは課長のドミリンダ・ケネフと言います。申し遅れましたが、ここでの会話は録音されていますし、映像として記録されています。」
与儀と丸代は無言で、うなずいた。いつの間にかカッターは、その場から姿を消していた。横にいる人間には注意を払わないものだ。しかもソファを距離を置いて座っていたカッターだった。与儀が横を見るとカッターがいないのでドミリンダ・ケネフに顔を向け、
「カッターさんが居なくなりました。」
ケネフは動ぜずに、
「あの人の役目は終わったのです。貴方方を、ここに連れてくるのが目的でしたから。」
丸代は唐突に、
「アメリカ人なんですか、あの人は?」
と質疑するとケネフは含み笑いをして、
「どうして、どうして。あの人たちも月の住民です。」
と話したのだ。
カッターはアメリカ人ではなかった。とするとトムトムやキラミンも、そうなのだろう。二人は騙されていたのだ。与儀は、
「でも何故、アメリカ人なんて言ったんでしょう、カッターさんは。」
ケネフは、
「あなた方を不安がらせないためですよ、きっとね。」
と話すと両手を前に出して組み、テーブルの上に置くと、
「月の生活では昼が半月くらいで夜が半月ほど、ですが、我々も地球人と同じ人間ですから半月、起きて、半月、寝続ける事なんてありません。我々の先祖は地球に似た環境の星から月に飛来して住み続けています。一晩中、太陽が出ていても部屋の中を暗くする工夫や、一日中、夜の場合も通勤、通学が出来る環境づくりをしています。だから貴方方も半月起きて、半月寝なくてもいいんです。その点は安心していてください。」
と念を押すようにケネフは話した。続けてケネフは、
「何か聞いておきたい事があれば、遠慮なく聞いて下さい。」
と両手を組んだまま云った。
与儀は少し身を乗り出して、
「僕らは地球に帰れるのですか?」
ケネフは思念顔で、
「うーん、どうでしょうか、それについては今は何とも言えない。ただし地球の日本よりは住みよいのが月です。というか月の裏側ですね、地球から見たら。完全なる共産主義ですからね、月の裏側は。あなた方は性の活動を我々に見せてくれれば、いい。なにも我々の目の前で、やってもらわなくていい。それだけで月で暮らせる月の貨幣、紙幣を報酬として上げるだけでなく生涯年金も積み立てられます。老後は地球の日本よりも高額な年金を受けられます。それでも地球の日本に帰りたいですか?」
という驚きの話をした。
月の裏側は共産主義の国で年金は地球の日本よりも高いという。それなら、あんなに貧富の差、それは過去の政治が作り出してきたものだが、そんな環境で生きていかなくてもいいのだ。

sf小説・体験版・未来の出来事30

 <この星ではラクダに似た動物には乗れないのか>、と釣次郎は嘆息した。マリムは「明日、ボッダに頼めば乗れるかもしれません。ご期待下さいね。」と励ましてくれる。(そうなのか!)と期待する釣次郎だった。「期待しますよ、マリムさん。ラクディーって車の名前みたいですね。」と釣次郎。マリムは歩きながら「実際にラクディーを乗用車のように使っている地方も、この星にはあるんですよ。地球のエジプトに、よく似た地域もありますから、そこではラクディーが自動車の代わりになっています。地球のラクダの二倍の体ですからラクディーは何人もの人が乗れるんですよ。それでも飼いならすのは大変です。日本に似ている、この地域ではボッダの寺院くらいがラクディーを飼育しています。」と解説してくれたマリムは遠方を眺めつつ、「ピラミッドまで遠いので、今日は行くのを止めましょう。」と話すと、車道に近い歩道に脚の行き先を変えた。
 車も通っていないのに広い車道があるのも寺院としては珍しい。そもそも、こんなに車道が寺域にある寺院など地球では皆無である。向こうの方から車輪のない自動車が走ってきた。マリムはヒッチハイクを頼む様に右手の親指を、その自動車に向けた。
 反重力で走行していた自動車は二人のいる歩道に接近して停車した。運転席には剃髪した僧侶が乗っていた。運転席の窓ガラスを降ろすとマリムにハンドルを握ったまま、「道に迷ったのかい?後ろに乗るといい。」と話し、後部座席のドアを開けた。
二人は素早く、その車の後部に乗り込むとドアがタトンと閉まった。運転手がバックミラーを見ながら、
「何処に行きたいんだ?君達は。」
と訊くのでマリムは、
「宿舎に戻りたいんです、外来観光客が泊れる宿舎です。」
運転手は車を発進させつつ、
「ああ、すぐに戻れるよ。でも門限は、まだまだ。だから夕暮れまでは見れる場所もあるな。」
と話した。マリムは、
「見る所は余りにも多いでしょう?何処に行っていいのか、僕は未だに僧院内の見れる場所を把握していません。」
運転している僧侶は、
「それは別に可笑しなことではないさ。我々だって慣れるのに一年は、かかった。修行のために入門して五十年もして、この仕事をしているよ。寺から給料を貰う訳ではないし、朝の十時から夕方の四時まで寺院内を車で回って迷子の人達を乗せたりしている。四時で終わっても、その後は修行が平日は待っているさ。」
それでは、この僧侶の年齢は?マリムは、
「運転手、いや、お坊様の歳は何歳ですか?」
「おう、七十だよ。そう見えないかね?」
釣次郎が後ろから見ても、その僧侶は五十代にしか見えなかった。マリムは反論するかの如く、
「全然、七十歳には見えませんよ。二十歳で出家ですか。」
窓の外の景色は砂漠のように緑が無くなっている。運転手は、
「そうだよ。実家が寺院だからね。でも跡取りは兄貴がいるし、私は当本山に住み続けるしかないな。ここに居ると結婚できないけどな。」
と話してくれる。寺の事情としては地球の日本と似ているようだ。それにしても三人の目は前方に見えるピラミッドやスフィンクスが近づいてくるのを見ていた・・・。

 地球の話に戻ろう。左翼過激派の党首である桜見世子(さくらみ・よこ)を追っている時・流太郎は合同会社の部下の本池釣次郎と連絡が取れなくなり慌てていた。スマートフォンでも連絡が取れない。新宿のマンションに訪ねっていったが留守なのだ。行先も告げずに消えるなんて、そういう人間ではないと流太郎は思っていただけに巨大な不安の雲が入道雲のように彼の心を占めていった。
(もしかして何者かに連れ去られて、何処かに監禁されているとかではないか?有り得るとしたら中国共産党の公安かスパイに誘拐されたんだな。公安の指示で動くホストに感づかれたのだろう。スマートフォンも没収されて、もしかしたら拷問されているかもしれない。)と考えると流太郎は焦り始める。
流太郎は情報第三部の元海一佐にスマートフォンで連絡すると、
「はい、元海です。・・・何、本池が連絡が取れなくなった?困った事だが、こちらとしては何もしてあげられないよ。君達は正規の自衛隊員ではないし、自衛隊員でも行方不明者を追う事はないからね。」
「そんな・・・誘拐されて拷問されているかも、しれませんよ、本池は。」
「それは、ないと思う。中国の公安などが日本でする事では、ないからな。それに彼は独自にホストクラブの雇われ店長をしていただろう?だから彼の店に中国公安関係のホストがいた、とは報告は来ていない。君の方は潜入しているがね?過激左翼の桜見世子なんて自衛隊には、どうでもいい存在だからな。」
「そうでしたね。でも中国の工作員も別に危険ではないみたいですが。」
「そうだな。でも一応、見張っていないとな。仕事だからな、我々の。」
「でも軍事には関係ないような工作員ですよ。」
「それは、それ、軍事に関係ないから工作員なんだよ。」
「本池は見殺しにするのですか。」
「見殺しなんて言葉の表現は、やめたまえ。我々としては手の打ちようがない。もしかして他の惑星に連れられて行っているのなら、日本国に限らず宇宙では最先端のアメリカに頼んでも、まず無理だ。
そうじゃないのかね?時流太郎君。」
流太郎はハタリと気づいたのだ。自分にも、そういう経験、地球外に連れられて行った事がある。本池が連れ去られることは、ないとは断言できない筈だ。それにしても元海一佐の回答は、いい加減なもののような気もする。それで流太郎は、
「元海一佐は地球外に行った経験は、おありですか?」
「ないよ。ごく普通だろう、その方が。」
「それは普遍的にして一般的ですよ。」
「そうだ、な・・あ、ちょっと待て。大元帥からの電話だ。」
と通話は保留にされた。
元海一佐の部屋には大型のスクリーンがあり、それが稼働したのだ。そこに軍田大元帥の顔が大写しに映った。向こうからも元海一佐の部屋の中が見えるらしい。大元帥は、
「この度、しばらく中国人の工作員と思われる在日人の監視を規模を縮小する事にした。それで時と本池との契約を一旦、解除する。」
と呑気な顔で命令した。元海一佐は椅子の上で気を付けをすると、
「分かりました。通告しておきます。」
と素早く答えると大元帥は力なく、
「予算が削られてね。なんと極左政党が力を増大させてきている。日本紅党が議席を増しつつあるからのようだが。我々としては仕方がないね、外部委託は辞めなければ、ならない。」
「日本紅党・・・。」
「そうだ。桜見という女はカリスマらしい。BIの拡大のためには、やむを得ないだろう・・・。」
「BI、ベーシックインカムの事ですか。」
「ああ、そうだ。世界的にも平和が続くし、日本紅党が中国との政治的のみならず経済的にも軍事的にも連携を目指している。対中国への軍事的警戒は不必要になるかもしれん。日本紅党が中国との安全保障条約を結ぶという政策を掲げ出した。朝鮮民国と中国との国境に自衛隊の基地を置くという構想だ。その他、色々と発展するらしい。」
「ううん、それでは自衛隊の予算を増やす必要は、なくなりますね。」
「一応、そうだろう。でも、ひとまず、これでいい。平和な時代に自衛隊なんて災害派遣されて人命救助しか意味がないよ。本当は殺人集団なのだが。それは遠い昔に終わったんだ。時と本池にも我々に煩わされずに自由に生きてもらいたい。それでは。」
スクリーンは白い画面になった。
流太郎の耳に保留の音楽が消えて、
「やあ、待たせたな。時君、しばらくは自衛隊からの仕事は無くなるよ。もし将来的に頼む事があれば、又、連絡しよう。」
流太郎は顔色を変えて、
「突然ですね。なぜ、でしょうか。」
「うん、理由は話せないがね。ま、予算が減ったらしいよ。では、な。」
通話がプツー、と切れた。自衛隊情報第三部からの支援金は終わったのだ。流太郎は東京都町田市原町田のマンションに今、いる。窓の外には駅前の風景、外国人もコロナウイルスの再燃で日本に入国できず、新たな中国人に限らず何処の国からも訪問されないので外国人の影は少なくなったのだ。
町田市は観光地でもないから宿泊業界の打撃は少ない。しかし都心では姿を消したホテルも多い。それによる経済的な後退の波及を流太郎は感じないでは、いられないのだ。
例えば東京都内の電車の本数や鉄道関係の職員の大幅な切り捨てはハローワークへの人の殺到を産んでいる。航空業界も似た現象なのである。風俗業も衰退のやむなきに至り、失業した女性の行き場も、その道は閉ざされたのだ。流太郎の仕事は新宿のホストクラブで働く事だけになった。朝から昼までホストの仕事は、ない。ホストの仕事は副業として、やってもいい。それに例のコロナウイルス騒ぎでの自粛要請が出てホストの仕事も減っている。
元の古巣である株式会社夢春の籾山社長にスマートフォンで電話した流太郎は秋の朝の光を顔に浴びながら、「おはようございます。社長、時です。」「やあ、珍しくも久しぶりだな。時、時に何の話だ?え?あ?」ある意味で無関心さが現れる籾山社長の返答だ。流太郎は、「実は仕事が巧くいかなくなっていて、社長から仕事をいただければと思います。」
「あー、そうかー。どこも上手くいかない世相だな。今、何処に居るんだ?」「東京ですよ。住居は町田市の駅近くです。」
「ほう、いい営業があるんだ。それはサイバーセキュリティの売り込みをしてもらいたい。相手は日本紅党の党首、桜見世子というんだがね、これが中々の怪人物で電話とメールのセールスを俺がしたら、桜見さんは会って話を聞くというんだ。で、俺が直接東京に行く予定だったけどね、今、福岡の明太子の大手からサイトのサイバーセキュリティを頼まれてね。日本紅党よりも金がワンサカある企業だよ、こっちを優先したいから丁度、よかった。時、俺の代わりに日本紅党の党首の桜見様と会って交渉してくれないか。」
と機嫌のいい籾山社長の返事だった。
流太郎にしても桜見世子は会って話もしている。三空冬樹と名乗っていたと思う。それだけに、この営業は進めやすいだろう。それで、
「やりますよ。社長、是非、やらせてください、その仕事を。」
と熱を帯びて話す流太郎に籾山は、
「そうか、よかった。SMSで俺のスマートフォンに今の連絡先とか住所とか様々を送ってくれ。」
との事だった。
桜見世子にはメールを出した。
サイバーセキュリティの件で御座います
________________________________________________
 以前、お会いしました三空冬樹です。株式会社夢春の籾山の代理で、ご商談に参ります。つきましては御予定など、お知らせくださいませ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(すぐに返信は来ないだろうな)と思う流太郎であった。確かに、その通りで三時間後に流太郎のスマートフォンに紅党党首の桜見世子から返信メールが届いたのだ!
 お久しぶりです 桜見です
 確かに籾山さんと交渉予定でしたサイバーセキュリティの件で三空さんに、お越しねがいたいです。三空さんは確かホストクラブで、お会いしたような気がしますが。でも問題ありません。ホストは副業でも、やれるしね。
本日の午後三時に渋谷区代々木の日本紅党本部に来てください。
___________________________||||||||||||||||||||||||||||||
という内容だった。
桜見世子は自分を覚えていたのだ。それで籾山に電話をすると、
「なに、どうした時。桜見さんの所に行くんだろ??え??」
「ええ、メールで連絡して交渉に行けるようになりました。今日の午後三時です。でも、前に桜見さんとはホストとして会っています。僕、新宿のホストクラブで働いていましたから。」
「おう、そうか。それが何か問題でも、あるのか。」
「三空冬樹と名乗っていましてね。そこを籾山社長にも知って戴かないと思いまして、はい。」
「おー三空冬樹というホストだな。分かった、話は合わせておこう。うちは副業は自由という事に、すればいいし。でも東京の新宿でホストをしていたなんて知らなかったなあ、オレは。」
「勿論ですよ。僕は社長に連絡もしていませんし、ご存じある訳がなでしょう。」
「うーむ。ま、ホストとしての経験は女性顧客との交渉に役立つだろう。紅党はクラウドサービスなんかを利用していないからウチの、お得意さんに出来るはずだ。あまりITの事は知らない女性らしいので、その辺も心得た上で話しを進めるといい。」
「はい、そうします。紅党のサイトは今のところ単純なものです。外部からの侵入は容易に行えるようですね。」
「そうオレも思う。党首のブログも乗っ取られて書き変えられるだろうね。今の与党の共和党も狙っているかもしれないなあ。」
「自衛隊出身者が多数の共和党だから実行しかねませんね。」
流太郎も自衛隊情報第三部の外部要員として紅党党首の桜見に会ったわけであるが。籾山の顔はスマートフォンの画面に映っているし、流太郎の顔も籾山のスマートフォンに映じている。手で耳に当てないで胸の前あたりに画面を構えて、画面の顔を見ながら話が出来る。その場合、高性能の集音器に切り替わるので従来の携帯通話とは違った姿勢になるのだ。顔を見ながらのスマホ通話は相手を良く確認できるものだ。
籾山の顔も朗らかで流太郎は安心した。この通話形式は料金も高くなるので相手との同意は必要だ。日本紅党党首の桜見も、この相手の顔を見ながら話すことの出来るスマートフォンを持っているはずだが、それは推測に今のところは過ぎない。画面の籾山は右手を上げると、
「じゃあ、よろしく頼むよ。福岡にも帰って来いよ、新しいラーメン屋が開店しているからな、では。」
通話は、そこで切れる。
 丁度、正午になった。流太郎は東京の古道具屋で珍しい時計を見つけたので買って部屋に飾っている。その古道具屋には行ったことが無いがインターネットのショップサイトで見て注文したのだ。それは大きな縦長の振り子時計なのだが、振り子が何と男性器の形をしている。陰茎の方は前に垂れ下がった形だが、包皮も向けて亀頭の形も露わなのだ。振り子時計の振り子は通常はガラスの中に入っているものが多い。が、流太郎の部屋にある振り子時計の振り子の部分、それは男性器の形なのだがガラスに収納されていない。振り子として揺れる二つの睾丸も見ものである。それよりも特筆すべきなのは正時になると、例えば正午とかに時計の長針が位置すると陰茎に似た部分が勃起するのだ。
十分間経過すると、その部分は元に戻りダラリと下に垂れ下がる。どうも限定生産の希少な柱時計、ボンボン時計などと呼ばれてきたものである。その柱時計は高さが一メートル七十センチはあるし、陰茎に似た部分の長さは勃起時に二十センチになる。
ボンヤリと商談について思いを馳せていた流太郎は、ふと我に戻り目の前の柱時計を見ると勃起は収まっていた。時計の針は十二時十一分だ。(外に出るか、まだ早いとは思うけど)と流太郎は思い、玄関を出たのだった。
町田駅前の賑やかな歩道にはゲイの夫婦が自分たちの子供を連れて歩いていた。信じられない話だが流太郎はネット記事で、その実態を知っていたので左程、驚かない。
ゲイの夫婦のどちらかは人工子宮を肛門内に取り付ける。精子銀行は昔からあるが今は卵子銀行も存在する。そこで代金を払って手に入れた卵子を医師に肛門内に入れてもらう。
ゲイ夫婦は遅くとも、その日のうちに性交して夫は妻の尻の中に射精する。翌日には妻は産婦人科を訪れ受精の有無を調べてもらう。産婦人科医は、
「奥さん、おめでとう。奥さんの子宮にある卵子は受精しています。」
と祝福を述べる。ショートカットだが女性の短い髪ほどに髪を伸ばした男だった妻は両手を胸の前で組み合わせて、
「嬉しいわ。お医者様、見つけてくれて有難う。」
と話すと喜びの涙さえ目に浮かべている。産婦人科医は謙遜して、
「いえいえ、私の技術ではありませんよ。大自然の云うなれば神の御手により受精されたのですよ、奥さんは。すぐに受精卵は取り出して試験管の中に保存しなければ、なりません。」
と提言する。男だった人妻は残念そうに、
「わたしの尻の中で成長していくのは、まだ無理なんですね。先生?」
医者は憐憫の色を顔に浮かべると、
「もう少ししたら人工膣も開発されて、その中に人工子宮を埋め込む技術が開発されますよ、そうすれば自分の胎内で受精卵が生育して自分の膣から出産が可能になります。でも今はまだ無理な相談です。さあ奥さん、あそこのベッドで手術しますから、ベッドで俯せになって尻を高く上げてください。」
と指示する。
その通りに男だった妻は全裸になりベッドに、うつぶせになると大きな尻を高く突きあげて肛門の中から医師が受精卵を取り出すのを待つ。巨乳も下へ垂れ下がっている。股間には性転換手術をしていない小さな陰茎も垂れ下がっている。睾丸も小さすぎてパっと見ては見落としそうな大きさだ。もちろん陰茎は包茎だが剥ける必要は、ないだろう。女性の陰核、クリトリスにしては大きい。
産婦人科医は、その男だった、今でも小さなモノはついている妻の高く突き上げられた尻の穴から特別なピンセットで受精卵を取り出した。それを試験管の中に素早く保存する。試験管内は女性の子宮内と同じ環境を作り出している。産婦人科医は安堵した顔で、
「奥さん、成功だ。貴方方の性交は成功したんだ。これで元気な子供が生まれるよ。」
尻を高く突き上げたままにしていた夫人は尻を下げると、
「ありがとうございます、先生。後は代理母探しですか?」
医師は、それを聞いて揉み手をしながら、
「代理母の方が費用的に安くなるのだけどね、今の医学では女性の胎内に相当する巨大なフラスコがある。そこで生育する胎児は代理母よりも完璧な栄養補給を受けるんだ。へその緒が出てきたら、それを繋げてチューブの中から胎児に栄養が送られる。代理母の拡張した膣口から生まれる必要もないさ。産みの苦しみとはいうが、もしかしたら生まれてくる胎児も苦しいのかもしれないね。いくらか頭部を胎児は母親の膣口で締め付けられるしね。」
と驚異的な話をする。それを聞いた男だった夫人は、
「すごーい。でも、それは神の領域に踏み込んでいませんか、もしかして?」
揉み手を止めた医師は真顔で、
「神の領域ではなくて女性の膣内の領域だよ、子宮内のね。神様が子供を産む訳では、ないよな。」
「そういう意味ではないというか、先生、子供は女性の胎内から生まれてくるように神様が作られたのでは?という意味です。」
「あー。そんな事?何事も自然のままがいいのなら癌患者は医師を頼らなくてもいいだろう。その病気以外だって様々なものがあるよ。それらは人為的に医術で治せるさ。奥さんの出産願望だって普通の方法では子供はできない。それを貴女の尻の中で射精してもらって、その旦那の精液を受精させるのは人為的だよ。でも、それが上手くいくから貴女にも子供が授かるんだよ。医学の勝利だと思わないかね?奥さん?え?そうだろう!」
男だった夫人はベッドの上に起き上がって医師を向いて座った。白い肌に女の美巨乳が揺れた。彼女は両膝を閉じているので極小のペニスは隠れて股間の陰毛は逆三角形をしているために女の下腹部のように見える。脇腹も窪んでいるからクビレがいい、処女のような顔をしているのも処女膜を貫通されないからだろう。
処女膜を回復する手術を女性が受けたとしても過去に処女膜を貫通されたという記憶までは消し去れない。それで手術で処女膜を再生しても心理的には処女に戻れないのだ。
妙齢の処女の美女が全裸でベッドに座り、自分を見ているという状況のように医師はフト、思い込み少し勃起したが自制してみる。彼女は、
「あら?先生の股間が少し膨らみましたよ。わたしの裸に感じての勃起じゃないのかしら?」
医師は慌てて右手を横に振ると、
「男は別に女性の裸を見なくても勃起する事は、ありますよ。わたしは産婦人科医です。女性の裸には慣れていますから。」
とはいえ産婦人科に処女は来ることはない。処女を証明するために来る場合もあるとはいえ、それは極、稀で、その産婦人科には未だに処女が来院した事は皆無だった。夫人は悪戯っぽく微笑むと、
「代理母に頼むと安上がりになるけど、要は金を持っているか、いないかというのが判断の基準になりますよね。」

sf小説・体験版・未来の出来事29

 メゾモント閣下は顔色を変えて、「うむっ。」と声を上げるとメリリアンの右手の平と重ねている自分の右手を震わせた。射精したようなのだ、メゾモント閣下は。閣下が右手をメリリアンの右手から離すと、その右手の平に突出していた勃起した男根は消えていたし、メリリアンの右手の平の女性器も見えない。二人の手の平は何ら不思議なものでは、なくなっていた。メゾモント閣下は釣次郎に、
「我々が小柄でありながら社会に力を持っているのは、この手の平から性器を出せる能力があるからです。」
と話すと、感嘆の眼差しのマリムに、
「どうだ、マリム。おまえには手の平で性交は出来まい。」
マリムは気を付けの姿勢で、
「出来ません。私は鼻を伸ばして男根化できますが、手の平から勃起したモノを出す力は、ありません。」
メゾモント閣下は身長140センチの体を誇らしげに反らすと、
「であるからして我々は人口が多い、背の高い連中よりは、な。例えば公衆が乗っている乗り物の中でも我々は手の平を合わせてセックス出来るのだ。しかも避妊具を付けないから妊娠も増える。メリリアンも妊娠したら私の妻にする予定だ。秘書で採用するのは公務中でも手の平で性交できるからなんだ。それは秘書に応募する女子も理解したうえで面接に来る。な?そうだろう、メリリアン。」
 身長130センチにして張り出した尻と胸のメリリアンは顔を赤らめると、
「ええ、閣下。閣下と手の平を合わせて交われるのを思っていました。母も秘書から妻に、なったのです。」
恐るべし、異星の上流階級の人々だ。メゾモント閣下はズボンのポケットからリモコンを取り出すと、机の上に置いて、
「これは未来投影機というものです。地球のアメリカの自由の女神像を見てみましょう。」
壁がスクリーンに変わった。そこに映し出された映像はアメリカの海岸近くにある有名な自由の女神像だ。が、しかし・・・自由の女神が右手に掲げているのは聖火のようなものではなく、なんと、それは中国の国旗だった!
メゾモント閣下はリモコンを止めた。そして釣次郎に、
「今、見たものは誰にも言わないでください。特に貴方は・・・。」
そういうとメゾモント閣下は、さっき釣次郎に向けて光を放った機器を見ると、
「自衛隊に関係しているようですね。自衛隊の方にも話さないでください。」
と念を強く押す。釣次郎は自分が自衛隊に関わっていることを見破れたのに驚いて、
「ええ、それは話しません。でも、何故でしょうか。」
「それは未来については話さない方が、いいからです。これをアメリカが知ったら、どうなります?今以上に中国を警戒するでしょう。それは地球の国際的に見ても、よくないのでは、ないかな。」
とメゾモント閣下は、のたまわった。続いて、
「君のための個室も、あるから、そこへ行って休んでいいよ。マリム、連れていきなさい、釣次郎さんを。それから、これは電子書籍を読むためのもの。」
薄いタブレット型の機器を釣次郎に手渡すメゾモント閣下であった。
 長い廊下をマリムに連れられて歩いている釣次郎は、ここが空飛ぶ円盤の内部だとは思えなかった。地球の乗り物は多かれ少なかれ、揺れが来るものだ。だが、ここは静止している建物の内部のようなのだ。
個室に入った釣次郎。ベッドが目に付いたので、すぐに寝そべってみた。手にしている電子書籍リーダーを寝転んでみると、スイッチも見当たらないし操作方法が分からない。(これの扱い方を聞いておけば、よかった。)地球の電子書籍リーダーと同じようなものだろうと思っていたのだ。暗い画面を眺めているとパッと電源が入った。日本語で表示されているので画面を指で押していけば、いい。
「変顔」
という小説がある。それを指で押して釣次郎は読み始めた。

 朝、目が覚めると自分が何か違った顔になっているのを感じた。おれはベッドから起きて洗面所の鏡の処へ行き、自分の顔を見ると(ああ、これでは外に出られない)と自分で嘆息したものだ。
自分の顔とか頭部が男性器になっている。頭部の天辺から亀頭が突き出しているが、それは頭の円周の長さに等しく、河童の頭を思わせる。それと両方の頬っぺたが袋のように垂れ下がり、それは巨大な睾丸のようだ。おれは手で、両方の頬を触ったが、まるで、それは金玉だったのだ。つまり、俺の頭部は巨大な男性器が含まれてしまったのである。
外には出れないが今日は休みの日、おれは女友達にスマートフォンで電話した。
「よお、滝子。今から遊びに来ないか。おれを見て、きっと、びっくり、しゃっくりもするだろうから。」
滝子はアパレル関係、つまり衣料品の店で働いている。その店はネット通販も、やっていて、そっちの方が売り上げも増えているらしい。で滝子の声が、
「あなたを見て驚くんですって?整形手術でも、したの?」
と高音の音程で話してくる。
「いや、手術は、してないよ。それに、こんな整形の手術を受けたい人は、いないだろう。」
「あー、そうなの?なんか気になるわ。遊びに行くね、今から。」
「ああ、待ってるぜ、滝子。」
崖野滝子はオレのマンションの部屋から歩いて五分の所に住んでいる。やっぱり女は近くの方が、いい。俺の方から滝子のマンションの部屋に行ってオマンコする事も、あるし。
滝子は五分で、やってきた。カップラーメンを長く放置するような時間だ。実際に滝子とオレの分のカップラーメンに、お湯を入れていたのだ。それで滝子が玄関を開けた時は、カップラーメンは伸びかかる頃だった。滝子は玄関で俺の顔を見ると、
「きゃぁっ。何の冗談なの、それ?頭から何か、かぶっているんでしょ、それ。」
と嘲笑うような目で俺を見る。俺は、
「まあまあ。上がってくれよ、滝子。」
「うん、そうするわ。」
玄関はオートロックだ。自動で施錠する。おれは両方の頬の金玉を揺らせながら、椅子のあるテーブルに滝子を導く。そのテーブルの上にはカップラーメンが二つ、置いてある。湯気が立っている蓋をしたままのカップラーメンが。
「座れよ、滝子。」
「ええ、座るわ。おいしそうな匂いがするわね、カップラーメン。」
「ああ、食べていいよ。俺も食べるからさ、ふたは自分で取れよ。」
滝子は椅子に座ってカップラーメンの蓋を取った。割りばしも置いておいたので彼女は割りばしをペシ、と折ると又、俺の顔を見て、
「本当は何か、かぶっているんじゃないの?」
「いや、何もかぶっていないさ。朝起きたら、こんな顔と頭になっていた。まるでカフカの「変身」みたいだ。」
「カフカって誰なの、その人?」
「昔の小説家さ。変身の場合は虫みたいになったらしいが、それよりはマシだね。」
そう答えると俺はカップラーメンを、すする。カップラーメンといっても進化した贅沢版でエビ入りラーメンだ。伊勢海老みたいな大きなエビが入っているから値段も、それなりに高い。滝子は、その伊勢海老を食べると、
「おいしいわ、このエビ。カップラーメンの中に入っているものじゃないみたい。」
「ああ、そうだろ?で滝子。こんな顔の俺と、まだ付き合うか?」
滝子は視線を激しく俺の頭部に縦横に走らせると、
「整形手術で取ってもらえば、いいのよ。でも、しばらくは、そのままでもいいな。」
唇の端を吊り上げて滝子はニヤニヤした。俺は意外だったので、
「意外と気にしないんだな。女性って、そんなものなんだろうな。」
と話すと滝子は何も言わなかった。同意しているのと同じだ。伊勢海老入りカップラーメンを食べ終わった俺たちは、しばらくユッタリと休憩した。目を、ぱっちりと開けた滝子は俺に、
「今日は休みだから今からセックスしようよ。」
と、せがむ。
「ああ、そうしよう。ん?おれの頭の上に出たものは勃起するのか、どうか滝子、触ってくれ。」
「うん、触るわ。」
滝子は立ち上がると、おれに近づき、俺の頭の上の亀頭に右手で触る。細くて柔らかな滝子の指に、おれは感じた。すると頭の上のモノが伸びるのを感じた。
 滝子は驚きの声を上げた。
「勃起したけど亀頭は小さくなったわ。それでも立派。陰茎は二十センチは、ある。頭の中心から勃起しているのよ。さっきまでは亀頭は薄く広がっていたのかも。」
と云う。更に、
「あああっ、陰茎の根元から金玉が二つ出て来た。あなたの頬っぺた、普通になってるよ。」
と滝子は指摘する。おれは両頬を触ると、確かに垂れ下がっていた睾丸は二つともない。滝子は頼もしそうに、
「ねえ、ベッドに行きましょ。あんたの股間のモノより立派じゃない、頭の上から勃起しているモノの方が。」
そう言われれば、そうだ。俺の股間のモノは勃起しても十四センチだから。だから俺は答えて、
「うん、ベッドに行こう、滝子。」
広めの縦長のワンルームに食卓もベッドもあるから、ベッドまでは移動はスグだ。
おれと滝子は急いで全裸になると、俺は彼女の張りきった乳房を軽く身んでからキスをして、滝子をベッドに仰向けにして太ももを大きく開かせると、彼女の股間に俺の頭の上の猛り立っているモノを挿入していったのだ。滝子は、
「あはーん。いいっ、太すぎて気持ちいいっ、いくうーっ。」
と今までとは違った快感の声を上げる。
何しろ俺の目はベッドのシーツを見ているわけだから面白みはないとはいえ、いつもと違う滝子のマンコの締め付けが心地よいのだ。それが股間に感じるのではなく、頭の上で感じられるのも変な感じだ。頭の上に竿とタマキンがあり、おれは両手で白い滝子の太ももを抑えて頭を動かしている。シーツを見続けるのは面白くない。
「滝子。態勢を変えよう。シックスナイン、69の体位にするぜ。」
と俺は告げて、一旦、彼女から頭の上の俺の逞しいモノを抜き取って彼女の胴体を跨ぐと、両膝を着き、股間は彼女の顔に降ろして自分の頭の上の猛り狂ったものを滝子の淫穴に埋め込んでやった。
滝子は大きく白い足を広げて受け入れると、おれの股間のモノを口に咥えた。ああ、おれは股間のモノも勃起したのだ。滝子の口の中で膨張した俺のモノは、しかし十四センチ。頭の上の俺のモノは二十センチである。滝子は自分の二つの穴で俺の硬く伸びた肉棒を味わっている。おれも頭と股間で滝子の二つの穴に締められて気持ちいい。頭の上の俺のモノは前に九十度曲がっている。そうしないと挿入できない。俺の目は滝子の淫核、つまりクリトリスを眺めている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで読んだ釣次郎はベットで寝てしまった。

 朝が来たようだ。太陽の光が眩しい。結局、地球に戻ったのだろうか。あの円盤の中の個室とは違うし、けれども自分のマンションの部屋でもない。彼、釣次郎は東京都・新宿にマンションを借りている。その部屋とは違う室内だ。ドアが開くと身長が140センチのメゾモント閣下が顔を出して、
「おはよう、本池さん。ここは私の自宅ですよ。部屋が百はあります。それで半分はホテルにしています、ワッハッハ。大体、毎日が満室ですね。哄笑が止まりません。何故なら、この星には地球のようにコロナウイルスなど発生しませんから。この近くは観光地で地球のカジノのような施設もあります。わたしのホテルが常に満室なのも、そういう理由からですよ。
駐車場に小型の円盤が百機は駐円盤できます。そのうちの五十は私のホテルの客の円盤ですね、大体。」
と、朗らかに話した。
頭も大きいけど肩幅も広いメゾモント閣下だ。それで身長は140センチだから、比較するものがないと小柄には見えない。釣次郎は起き上がると、
「おはようございます。では私は円盤の中で寝たまま、ここへ移動させてもらったんですね。」
「ああ、マリムに背負わせましたよ、あなたを。原始的だけど、それが一番いいし、建物の最上階に円盤を止めて、ここまでスグですよ、ここは最上階だから。私の部屋も、この最上階にあります。洗面所で顔を洗ってね。歯ブラシも、あるよ。歯磨き粉は、つけなくていい。」
後半の部分は重々しく威厳のある声でメゾモント閣下は話すと、ドアを閉めた。釣次郎が洗面室に入ると電灯が自動で点灯した。洗面台に立てかけてあった歯ブラシが空中に浮揚すると釣次郎の口の近くに移動して停止した。まるで釣次郎が口を開けるのを待っているかのようだ。釣次郎は、まさかとは思うが口を開けた。それと同時に歯ブラシは歯磨き粉をブラシに滲ませて、釣次郎の口の中に潜り込み彼の歯を磨き始めたのだ。取っ手の部分が大きいので、その中に歯磨き粉が入っているのだろう。
その歯ブラシは釣次郎の上の歯と下の歯の表と裏側を磨いた。磨き終わると釣次郎の口の中から抜け出て、水道の蛇口の下に移動して停止している。釣次郎は水道の蛇口をひねり、水を出した。歯ブラシはブラシの部分を水で流すと、元に在った位置に戻る。コップに水を入れて口をすすぐのは地球と同じだが、ハイテクノロジーの歯ブラシだ。洗面所を出るとマリムが待っていた。彼は、
「同じ階のレストランで食事が出来ます。行きますか。」
「行きましょう。でも、ぼくは、この星のお金を持っていませんが。」
「気にしないで、いいですよ。メゾモント閣下が後で払うんです。ぼくの分も同じですよ。どの店でも僕を知っていますから、釣次郎さんの事は話しておきます。第一、今は開店前の時間ですし。」
部屋の外にマリムの後をついて出た釣次郎は地球のホテルのような廊下を歩いていくとガラスみたいな壁が左右に現れて飲食店らしい店が並んでいる。もちろん客は、見えない。
ひとつの店にマリムが入る。何故だか和風な感じのする店で、お座敷もある。店員の身長は日本人位だ。
メニュー表は、その星の言語で書かれていて釣次郎には読めない。畳に似た個室に入った二人である。マリムが、
「ここはね、うなぎ料理が安く食べられる店なんですよ。」
とメニュー表を読めないけれど熱心に眺めている釣次郎に話す。釣次郎は顔を上げて、
「うなぎ?地球の、うなぎですか?」
「そう、この星にも、地球のウナギに似た魚がいたけれど繁殖しないので、地球のウナギを持ち帰った人々が、この星の鰻と交配させるとグングンと繁殖しましてね。川に一杯、鰻が取れるようになりました。異星間での魚の養殖は成功しましたよ。そのビジネスにメゾモント閣下が乗り出して、この店も閣下の店です。
という事で私たちも安い鰻を多く食べられます。ウナギの蒲焼きの十段重ねも定番だから、それにしましょう。」
とマリムは提案した。
釣次郎には只、驚きであった。マリムの提案に異論はない。ので、
「それで、いいです。ぼくは漁師だったんですよ。ウナギは関わらなかったけど。」
「そうなんですね、釣次郎さん。では、店員を呼びますよ。」
とテーブルの呼び出しベルを押すマリム。
十秒くらいして襖があくと着物姿の日本人女性に似た女店員がリモコンのようなものを持って現れた。マリムは彼女の方を向くと、
「ウナギ十枚重ね定食を二つ。」
と日本語で注文した。
女店員はペンのようなものをリモコンの画面に立てると、磁石でもあるのか垂直にペンは附着した。驚くのは、それからで、そのペンは言われた通りの注文をリモコンの画面に書き込んでいるようなのだ!!!驚いている釣次郎に女店員は、
「人工知能ペンですよ、お客さん。」
と解説してくれた。
その言葉も日本語ではないか。釣次郎は女店員を見ると、
「地球の人から貴女も来たんですね。」
女店員は微笑みを浮かべると、
「私の母は、そうですけど私は、この星で生まれましたわ。地球と同じくらいの体積と面積を持つ惑星です。それで酸素も地球と同じ、ですから広大な宇宙空間には地球と同じ星は幾つも、あると思います。銀河系には凄い人口の人間がいるらしいですよ。でも距離が離れているために交通は、ほとんどないらしいですね。」
釣次郎は、うなずき、
「厨房に行かなくて大丈夫ですか。」
「ええ、行きます。でも注文は人工知能ペンが記述した時に厨房に届いていますから。」
「ああ、そうですね。この星では日本語は地球から来た日本人からしか習えないでしょう、貴方の場合、母親からとか。」
「そんな事、ないですよ。大学に宇宙学部太陽系学科というものもあるし、そこで地球の日本語も学べます。私は母から習いましたので大学には行っていませんけど、大学以外にも日本語を教えている語学学校がありますわ。地球へのビジネスのために速習で学ぶ必要のある人達のためにベガリック・スクールという学校が駅前にあります。」
鰻の蒲焼きの匂いがしてきた。地球とは少し違うが、よりおいしそうな匂いだ。釣次郎は円盤の中で読んだ作品を話す、
「『変顔』という電子書籍を読んでいました。面白いですね、あれは。」
着物姿の日本人というよりハーフかもしれない女性は、着物の襟の中にリモコンを入れると、
「カスガという日本人が書いたらしいですよ。こっちで結構、売れています。ポルノ小説というか官能小説しかベストセラーにならないんです、この星では。それなのに地球では、そうじゃないんですってね、そうなのですか?」
「ぼくは漁師だったけど、小説は割と読みましたよ。官能小説は減ベストセラーには、なりませんねー、うーん。」
「やっぱりね。地球の人口が爆発的に伸びたら食料問題やら何やらで、困ってしまうから性は抑えられるのですよ。この星は近くに地球と似た星があるから人口が増えたら、そっちに移住します。腰を使ってのセックスは人前では認められませんけど、手と手を合わせてする性交は街中でも認められています。でも、これは小さな背丈の知能指数が高くてIQのようなものの数値で700から800の人達が、するんです。創造知能指数みたいなものも、あります。その人たちは自分の脳内の願望から手の平に性器を突出させられるように、なったんですって。」
厨房の方から男の料理人が、
「ゆず子。出来たよー。」
と日本語で女性店員を呼んだ。彼女は厨房の方へ姿勢を変えると、
「はーい、今すぐ参りますー。」
と駆け出し、高さの高い重箱を二つ持ってきた。ゆず子と呼ばれた女子店員は、
「ごゆっくりと、お寛ぎください。」
と声を掛けて襖を閉めた。
 鰻の蒲焼が十枚も重ねられている重箱だ。高さがあるのは当たり前、何枚でも食べ続けたくなる鰻の蒲焼、それは釣次郎にとって異星である、ここでも同じだ。卵焼きの細いものも地球のモノに似ているが量が多い。マリムは箸を止めて、
「この星の鶏は地球の鶏の二倍の大きさです。それも、この星の遺伝子操作で改良したから卵も二倍になったんです。」
「あの身長140センチの人達も遺伝子操作なんですか?」
「それは、どうでしょうか。この星にも大昔の太古には巨人が、いました。身長が五メートルもあり、ペニスも60センチの男も存在したんです。それらの巨人は集団行動が出来ず、今の身長140センチの人達に指揮された我々の先祖が戦争で倒したんです。」
「集団行動の出来ない巨人・・・。」
「彼らは武器を持たずに素手で、どんな野生動物でも殺せましたからね。それで武器も発明しなかったんです。一方の我々は地球と同じように石斧とか槍などを作り始めました。それは野生動物を倒すためだけでなく巨人との戦いにも使用しました。
そんな時代を過ごし洞窟で暮らしていた我々の先祖の前に現れたのが、あの小さな人達です。それも陸地から歩いて、やってきたのではないんです。ここは地球の日本と同じく周りは海です。でも面積は日本の二倍はあります。洞穴の我々の先祖の住居の前に、あの小さな人達は空飛ぶ円盤に乗って、降りてきたんです。
我々の先祖も少なからぬ言語を持っていましたが、それは地球の日本ではないから日本語ではありません。その言語を大幅に発展させたのが、あの小さな人達で身長は当時でも男は140センチ、女は130センチぐらいだったと言います。
あの人前でも許される手交セックスで人口を増やし、すぐに我々の先祖よりも人口を多くしたのは小さな超知性を持つ人たちでした。他の惑星から、やってきたそうです。宇宙空間の歪みと宇宙に流れている自然のエネルギーで動く円盤を発明してからは宇宙のあちこちに現れて居住しやすい星を探していたら酸素も豊富な、この星を見つけたので着陸したそうですよ。」

sf小説・体験版・未来の出来事28

 元チベット仏教の修行僧、ユイマは檻の中にいる美青年チントンに、こう語る。
「ダライ・ラマが観音菩薩の生まれ変わりという証明は、できない。だから観音菩薩の生まれ変わりというのはウソだ。少し前に公安で用意してくださった何人もの美女と乱交させてもらった。彼女達もチベット仏教の尼僧だった。強くマンコを締め付けてくるし、それはもう本当の極楽だったよ。それを否定して生きるダライ・ラマこそ生き極楽を否定して生き地獄に誘う悪魔のような奴だ。公安で極楽を味わい、僕は共産主義者になった。日本にも行くことに、なっている。チントン君、一緒に僕と日本に行こう。そして日本女性のオマンコを味わうんだ。ダライ・ラマを捨てろ。」
それを聞いたチントンは檻の中で、
「いやだ!君こそ騙されている。女こそ修行を妨げる悪魔の手先だ。」
と断言した。公安の中年男性は困ったような顔をすると、
「チンチンの檻の中にも美女の元・尼僧を送ったのだが、全く動じなかった。チントンの股間にも美女に触らせたのだが変化なし。しかも美女は全裸だったんだけどねえ。それで日本製のラブドールを注文した。やっと届いたから、それを差し向けよう。おい李、運んできてくれ。」
と近くにいた部下に指示する。檻のある部屋を出た李という公安の男性は、しばらくすると服を付けているラブドールを抱えて戻って来た。李という姓は中国では多い人名だ。李から日本製のラブドールを受け取った中年男は檻の扉を鍵で開けて、ラブドールの背中にあるらしいボタンを指で押して檻の中に入れた。
 ボタンを押されたラブドールはシャキーンとした感じになり、生きた女性の動きでチントンに近づく。清楚な顔立ちでチントンに中国語で、
「おはよう。ここで何しているの?」
と尋ねたのだ。チントンは驚いて、
「何もしていないよ。君は日本人のようだが、ラブドールとも聞いたが。」
と話すとラブドールは、
「サイボーグのようなラブドールなのよ。人体を改造してもらっているわ。元々が日本人だから、日本人のよう、じゃないの。」
そう云うと、ラブドールは右手を素早くチントンの股間に持っていき、平常時の長さの彼のモノを握った。きめ細やかな肌触りを感じたチントンのモノは次第に大きくなり始める。彼は、
「ああっ、何故なんだ。勃起しない修行をしてきたのに・・おおっ、立つーっ。」
ほどなく全勃起したチントン。ラブドールはアンドロイドの目で、
「あなたは前回、ここに入った美女を元・尼僧という事で女性と思わないように、したようね。でも私はチベット人でも中国人でもない日本人女性なのよ。」
「そーかー。それで立ってしまったんだ。十年ぶりだー。僧院で尼僧と生活していても立たないように、していたのに。」
ラブドールの右手はチントンのフルエレクト・ステックを、ゆっくりとシゴキ始めた。チントンは歯を食いしばり始める。あまりの気持ちよさに出してしまいそうなのだ。檻の前には公安の人間と元・チベット仏教の修行者の男性が立っていて、自分を見ているのは分かるが、その外界の事象よりも自分の脳内の快楽の方に意識が向かい、檻の外の二人の姿は、ぼやけてしまう。
女性に自分のモノを触られた事も、かつてないチントンは、
「ズボンとパンツを脱ぐから待って。」
と美女ラブドールの動きを制止させた。ラブサイボーグドールはチントンの要請を受け入れ、右手を離す。
チントンは立ち上がって囚人服みたいなズボンを脱ぎ、パンツも捨てた。反り返ったバナナのようなチントンの巨大なものが姿を現す。ラブサイボーグは、チントンの巨大化した肉竿を右手で掴むと身を屈めて柔らかい自分の赤い唇の中に入れる。プチョ、プチョと音を立てて吸い付くラブサイボーグは、その口内の肉棒を巨大なソーセージのように味わうのだ。チントンは、
「ああっ、とめられないっ。!!!。」
と叫ぶとラブサイボーグの口の中に連続して五発も白い恋液を出したのだ。それは濃い液でも、あった。白い恋液を恋の駅に出した、とも言えよう。五発も出したためグニャリと萎えたチントンのバナナはラブサイボーグの口中からポロンと出てくる。
檻の外から公安の白いカッターシャツを着た中年男性が、
「チントン。日本に行けばサイボーグでない日本女性とセックス出来るぞ。それで給料も、もらえる。日本でホストという仕事をしてな。それに公安の方でも元でだけど給料を出すからな。成績に応じてはボーナスも上積みしよう。もちろん寝る場所は東京の新宿に分譲マンションを買ってある。同じ階に飲食店やサウナ、喫茶店もあるマンションだ。だから家賃の心配も、いらない。東京在住の政治公務員や東京都知事なんかにも献金しているから。あり得ないとは思うが、君が警察に掴まっても政治公務員に働きかければ、すぐ釈放してもらえる。金が大好きな日本の政治公務員だ。十億は、ばら撒く。共和党の議員は元・自衛隊が多いから金を受け取らないが、都議会議員は共和党員が少ない。話が長くなった。ダライ・ラマに騙されていたのが分かっただろう。」
下半身を露出しているチントンである。彼は黙思考すると、
「うーん・・・一時の快楽に心を惑わせただけだ。やはり転向は、したくない。」
と不快げに立ったまま、答えた。檻の外の中年公安は、
「よーし、ラブトール霧子。チントンの前で尻を向けて四つん這いに、なれ。その前に服を脱ぎなさい。」
ラボドール霧子は、うなずくと服をサラサラと脱いだ。パンティも取ると白い裸身に黒い股間と黒髪が色彩の対比として鮮やかにチントンの視界に点じると、ラブドール霧子はクルリと白い背中をチントンに見せて、両膝を着き、両手を着いて四つん這いになり、白い大きな量感のタップリとある巨大な桃のような尻を高く上げて自分の股間をチントンに見せつけた。
肛門の下に見える彼女の男をいざなう切れ目は割れて開いている。チントンの股間のモノは突如、上に向けて立った。上に向けて♪勃起しようよ♪精液が遠くに飛ぶよーに♪という歌詞がチントンの脳内を流れた。「上に向けて勃起しよーよ」という日本の歌だった、チントンの祖母が日本人だった。幼いチントンは祖母に抱かれて、祖母は、よく、この「上に向けて勃起しよーよ」を歌ってくれたのを思い出したチントン。(ダライ・ラマの性欲否定は詐欺だ。優しい祖母の子守歌、「上に向けて射精しよーよ」を思い出した。いや、「上に向けて勃起しよーよ」だったようだけど)入れて欲しそうなラブトール霧子の女の穴にチントンは自分の男の道具を亀頭から、のめり込ませていった。口の中より滑らかな霧子の膣内事情だった。ズイン、ズインと突きまくり始めたチントンの長竿である。
両膝をチントンも床に着いて後ろからラブトール霧子の女淫にズッポリと入れて両手は下に垂れている霧子の乳房を揉む。両手と竿に感じる女の感触にイキそうになるチントンを公安の中年男は見て、
「霧子、顔をアレに変えろ。」
と指示した。
四つん這いでチントンには見えない霧子の顔は変化していった。そして紛れもなく、あの顔になったのだ。ハリウッドメイクでも、女性の顔を、ここまで変えられないだろう。ハリウッドも中国に徐々に買収されつつある、というが。公安中年男は満足げに、
「霧子、顔をチントンに見せろ。」
と命じる。ラブトール霧子は顔だけでなく体も後ろに捻って顔をチントンに見せたのだ。嗚呼、霧子の顔はダライ・ラマの顔に変貌していたのだ!ニヤリと笑う霧子、いやダライ・ラマの顔だった。と同時に霧子は自分の女淫を強く締め付ける。あっ、と声を出したチントンはダライ・ラマの顔の霧子の柔らかな女淫穴の中に、ドクドクピュッピュッと連続射精してしまったのだ。
チントンは急いで霧子の体から離れた。霧子も立ち上がると全裸をチントンに向けたが、顔はダライ・ラマの顔のままだった。
苦々しく悔しそうな顔をするチントン。檻の外から公安中年男が、
「ダライ・ラマと、やった感想は、どうだ?え?チントン。」
と問う。チントンは両方の手を拳にして握りしめて、
「ダライ・ラマは、こうまでしてオレの性欲を嘲笑うのか、という思いです。」
「よし、そんなダライ・ラマは捨てろ。転向して日本に行き、存分に女を抱けるようにしてやるから。いいな?チントン、転向するな。」
「はい、共産主義者に転向します。ダライ・ラマは詐欺師で変態です。」
と高らかに下半身を露出したまま宣言したチントンだった。檻の外にいる公安の中年男性とユイマは笑顔でチントンを眺めるのだ。

 今、そのユイマとチントンは新宿駅に近い彼らのマンションで桜見世子と交わっている。ユイマは世子の唇を奪い、チントンは世子の片乳を揉んでいる。世子はユイマが唇を外すと、
「みんな、右手は空いてるでしょ。右手を斜め上に上げて、『ハイル!桜見!』と言いながらセックスを続けて!」
と命じた。五人の男は一斉に右手を右斜め上に上げて、
「ハイル!桜見!ハイル!桜見!」
と叫びつつ、彼女に絡み続ける。桜見世子は快感に目を細めつつ右手を右斜め上方に上げ、
「予は日本紅党を結党して総統に就任する!ああんっ、いくうぅー。」
と叫ぶとアクメに達した。フューラー桜見の誕生でもあった。アクメに達しても桜見世子は右手を右斜め上に上げ続けるのを辞めなかった。それは五人の男も同じだった。
世子が立っていられなくなったので大和とトンリンは自分たちの欲棒を世子の穴から抜いた。射精は、しなかったのだ。
ホストは全員、身を整えてユイマがバスタオルを持ってくるとアクメに達して寝そべっている桜見世子の全裸の上に掛けた。
世子の尻の穴に入れていたトンリンは彼女を見下ろして、
「総統閣下は意識を失っているようだ。ユイマさんとチントンはチベット仏教僧だったらしいけど、総統は大丈夫?」
と視線を彼らに投げて問いかける。ユイマは落ち着いて、
「もうすぐ目を覚ますだろう。日本紅党には我々も入った方が、よさそうだな。」
と答えた。チントンも同意して、
「桜見総統は見所があるよ。彼女の乳房は柔らかくて、しっとりしていた。乳首の硬直度も凄くてね。」
桜見世子の最重要穴に入れていた大和も、
「ぼくも日本紅党には入りたいです。」
と決意を披露する。

 JR東京駅からリニアモーターカーで出発したホストの大和。桜見世子が意識を取り戻す前に中国人ホストのマンションを出て来た。JR新宿駅から東京駅へ行き、リニアモーターカーに乗った。新幹線より高い料金となるがスピードは速い事は確かだ。中国では速度の遅いリニアモーターカーは随分昔に開通している。
リニアモーターカーの窓の外に見える景色は地下が多い。最初は品川駅からの出発なのだったが遂に東京駅から乗れるようになった。それでも地下に降りないと乗れない。日本の地下を通って進むリニアモーターカー、ホストの大和を乗せて何処まで走るのだろう。
三時間を切る時間で到達した駅で大和は地上に出る。そこはJR博多駅だ。駅構内の喫茶店でコーヒーを飲み、寛いだ大和は店を出て地下に降り、今度は福岡市営地下鉄で南福岡駅まで行くと、そこを出て地上に出た。その前に駅の便所で顔を洗うと、おやおや不思議、大和の顔は中国人から日本人の顔に変貌した。
誰の顔に?それは、すぐに今から分かる。線路を渡れば自衛隊の基地が見える。門まで歩いて身分証を提示して中に入ったホストの大和、いや彼は今はホストの顔とは違う、そう時・流太郎の顔になったのだ。地下へ下り、元海教官の部屋へ行く。
椅子に座ってパソコンを見ていたた元海一等陸佐は流太郎を見ると、
「おや、久しぶりだな。会社の方は、うまくいっているか。」
と話した。
「ええ、なんとか、やっています。それにしても重大な情報が手に入りました。」
と身を正して話した流太郎に、元海は、
「ほう。どういう情報だ。」
「日本紅党という共産主義の政党が結成されます。」
「なにい?それは重大事だな。共産党が政権を取ったら自衛隊はクーデターを躊躇なく起こす。」
「なにか女性の左翼活動闘士が総統になるという事で。」
「問題がありすぎるな。で、君は、どうするつもりだ、時君。」
「その紅党に入党予定です。」
「それは、よろしい。活動資金などは遠慮なく言ってくれ。で、君は東京でホストクラブに潜入して、その情報を掴んだという事だな。」
「まあ、大体、そんなものですが、正確には中国人ホストの住んでいるマンションに、その過激派左翼の最高幹部、桜見世子が来たんです。それで我々五人とセックスプレイをしました。」
それを聞いて元海一佐はニヤリとし、
「お盛んな党首だな。日本紅党か。だけど百年以上前に日本赤軍というのが、あったが、あれは警察の機動隊とかで対処したんだ。日本紅党が過激派左翼でも自衛隊は出動しないだろうな。ただ裏で関われるのは情報第三部としては行えるよ。だけど対日活動をする組織などに対処するのが最優先事項だからな。その中国人ホストも怪しげだな。」
「そうみたいですよ。だから新宿のホストクラブに入りました。」
「うむ、それを示唆したのは我々だ。中国の対日工作は多岐に渡る、とはいえ彼らの狙いは日本よりもアメリカらしいね。」
「そうでしょう。いずれ中国はアメリカを支配下に置こうと目的を持っているようです。」
「だろうな。情報第三部はアメリカの為に働く必要はないものな。だけど一応、日本とアメリカは同盟国だし・・・匙加減が難しい所だね。日本にいる中国人は日本工作が狙いだから、予算はタップリと採れる。頑張り給え。」
「はい、頑張ります、元海一佐。」
「本池釣次郎君は、どうしているかね。」
「合同会社の留守番を、させていますよ。もっとも、彼は中国の女工作員を追っていますから会社の部屋に、居続けさせても、よくないので会社の固定電話を本池のスマートフォンに転送させています。電話は、ほとんど掛かってこないようです。」
「今のところ指示する事は、何もない。君達は自由に行動して報告書をスマートフォンで送ってもらえばいい。中国人ホストは調べていくと、いいよ。ではな。また東京へ行きたまえ、福岡に今のところ中国人ホストは、いないなー。」

 という事で、流太郎は福岡駐屯地を出てJR線の鉄道の線路を渡り、会社の事務所に戻ると本池釣次郎が自分の机の前に座っていた。釣次郎は流太郎を見ると、
「社長。お帰りなさい。ホストクラブに入って、どうでした?」
「上手くいったよ。中国人ホストは中国の工作員だろうと確信している。日本紅党の女党首ともセックスした。」
「日本紅党?ですか?そういうのが、出来たんですね。」
「過激派左翼の独身女性で皇族の血を引くと自称しているのが紅党党首で総統なんだ。」
「総統って珍しい名称ですね。」
「そうだなー。左翼なら書記長とか首席とか色々呼び名は、あるのに。アドルフ・ヒトラーを意識しているのかもしれない。」
「なんですか、そのアドレナリン・ヒットラーって。」
「アドルフ、だ。随分過去に実在したドイツの政治家で、従軍経験もある。桜見世子総統は自衛隊に体験入隊も、していないと思うよ。」
「そうですか。我が社は自衛隊と関係していますよ。その桜見世子って危険ですかねー。」
「今のところ影響力は少ないな。三十歳になったか、どうかの年齢らしい。紅党の実態も掴まなければ、いけない。」
本池釣次郎の目に燃え盛る好奇心の炎が炎上し始めた。釣次郎は、
「僕も手伝いに行かなくて、いいんですか?社長。」
流太郎は立ったまま、
「今のところは、いいよ。それより、中国人の顔にするメーキャップを手伝ってくれ。自分一人では面倒だ。」
「はい、社長。いますぐ、やります。」
釣次郎は机の中を引き出して特殊化粧の道具を取り出すと、時・社長の前に行く。釣次郎は、
「ここで、やってしまいますよ。」
と云うと、手にした薄い膜を最初に流太郎の顔に貼ると、その上に中国人の顔に見えるように化粧を、していった。

 予算が豊富に取れたので流太郎は福岡空港から羽田空港まで空の移動を行なった。東京郊外の町田市に部屋を借りている流太郎だ。ホストクラブは一週間ほど休む事にした。電話をすると店長が出たので流太郎は、
「少しダルイので一週間ほど休みます。コロナウイルス感染だと大変な事になりますから。」
と話すと店長は、
「そうか。ゆっくり休んでいい。一か月休んでもいい。PCR検査は受けたのか?」
「いいえ、この程度では受けさせてもらえません。もっとヒドクならないと受けさせてくれませんよ、店長。」
「そうだな。少しのダルさ、ならスグに良くなるよ。ゆっくり休養するように。」
という事で電話は切れた。
実は流太郎、体がダルイところなど、どこにもない。例の桜見世子を探る必要があると思ったのだ。そういう予算が会社宛てに振り込まれた。ホストクラブで働くよりも高い資金が入った以上、自衛隊の別働部隊に所属している流太郎としては、元海一佐からの指示なしでも動き始める。桜見世子については緊急に調査を要する人物では、ないらしい。が、あのような人物は、そう他には居るものではない。
 調査の初めは楽なものでインターネットから調べれば、よい。桜見世子で検索すると出て来た。なんとフェイスブックとツイッターにアカウント登録していて本名で活動中だ。そこから、かなりな情報を取ることが出来る。特にフェイスブックでは自己紹介、友達、なとで桜見世子の交友関係も分かってしまう。おそらく今の探偵は、これを使って調べない事は、ないだろう。
(あ、そうだ)と流太郎は思う。フェイスブックを開設しなければ。本名なんて載せる訳に、いくものか。偽名でも調べられる事は、ない。三空冬樹(みそら・ふゆき)の仮名で登録する。顔写真は・・・すぐに載せなくても、いいや。
よし、出来た。これで桜見世子に友達申請が出来る。ただ、その前に彼女のフェイスブックページに、いいね、を押さないと友達申請は出来ないのがフェイスブックの仕組みだ。これを知らない人も結構いる。
日本紅党最高幹部、桜見世子、経済学部卒業。大学名は表記されていない。おそらくマルクス経済学を学んだのだろう。党員募集中、とフェイスブックで募集している。
まず流太郎は桜見世子のフェイスブックのページに、いいね、を押した。自分のフェイスブックのページは、ほとんど白紙状態なので果たして桜見世子が、どう思うかだ。その上で友達申請をした。メッセンジャーで日本紅党に入隊したいです、とダイレクトメッセージを送ったのだ。
すぐに返信などは、来ないであろう。今は朝の八時だ。九時ごろにマンションの部屋を出て、都心に向かう予定の流太郎、町田駅近くに部屋を借りている。人妻デリヘルの多い町田市である。
まだ一時間は、ある。ネットサーフィンというより検索して桜見世子のツイッターのアカウントを発見、クリックしてみる。フォロワーが五十人程度、この位ではアフィリエイトのASP(運営会社)などではインフルエンサーではない、と判断する。
それは正しいとは限らないが、有名人には、やはり程遠いフォロワーだ。ツィートも毎日は桜見世子は、していない。
ーすごく、おいしい飲茶の店を見つけました。
などというツィートもある。日本紅党・党首とプロフィールに記載しているが本気で受け取る人も少ないだろう。
日本を共産主義社会へ、というメッセージも寄せている。ここへのツィートを流太郎は今のところ遠慮した。それに、まだツイッターのアカウントを作っていなかったので、早速、開設した。オールモーメントという自社の会社名をアカウント名にした。商用利用と見られるだろう。そうして桜見世子のツイッターをフォローしたのだ。
 それから流太郎は町田市のデリバリーヘルスのサイトを見て回る。町田市デリバリーでは宅配の会社がズラリと出て来たので、町田市デリバリーヘルスで検索しなおした。すると、まとめサイトのようなものが出てくる。一店舗ごとのサイトを見るより色々な店舗が見れるのだ。とはいうもののデリバリーヘルスとは無店舗型の性風俗だ。店に行って、やってもらうのではなく自分の部屋に来てもらうものだ。そのサイトで見ていくと、なんと!桜見世子に似た女性がデリバリーヘルスの店に在籍しているようだ。よく似た女性は世の中に、いるものだ。ただし桜見世子よりは若い。桜見世子は自称、三十歳なので多くの性風俗店では働けない事になる。

sf小説・体験版・未来の出来事27

 天神中央公園で水馬社長がズボンのポケットから何かを落としたとしても、それは重いもの、例えば財布などではないはずだ。彼は何かを落としたことに全く気付かなかった。紙谷と水馬社長は、しばらくして天神中央公園を立ち去った。
 その日の夜、公園のベンチで寝転んだ三十代の男性失業者は、即睡眠の状態に入った。ハローワーク求人で紹介された企業に明日から働くことに、なっている。その安心感から深い睡眠に入った模様だ。ガキリ!という感触を喉に感じて目を覚ました浮浪者は目の前に髪の長い女性が立っているのを見た。彼女の口からは赤く染まった牙が二本見える。が、顔だけが人間で首の下の部分は樹木のようだ。両腕に見える二本の枝があり、その先端は人間の手のように五本ずつ指のような小枝がある。浮浪者は(化け物!植物人間だ。もしかして、おれは・・・)と思い、自分の首に手を当てると何かに噛まれたように血が滲んでいる。(うわああーっ、吸血植物!!)ベンチから立ち上がると就職が明日から決まっている浮浪者は多目散といった視線で逃げていった。人間に似た植物は足に根が生えてはいなかった。一本足の人間が移動するように、ポンポンポンと飛び上がりつつベンチから離れていく。
 公園を逃げ出した浮浪者はネットカフェに逃げ込む。朝、目が覚めると胸の辺りに異変を感じた。上着とシャツを脱いで鏡に映してみると、「うわああああっ。」と浮浪者は声を上げてしまった。自分の裸の上半身は樹木の幹に変わろうとしている。すでに人間の肌では、ない。立ち上がると両脚は、くっつきかけている。それを開こうとすると樹木の粘液のようなものが両脚を接着させようとしている。それを無理に離してズボンを履いた浮浪者は、ふくらはぎの辺りも樹木に変わりかけているのを見た。かああああっ、と泣きたい気持ちになる今日から出社する浮浪者だ。会社に行かなければ、いけない。ネットカフェの料金を精算すると重い脚を動かして、外に出た。今日から働く会社も天神にある。あのネットカフェも北天神にある。天神中央公園からは一キロほど北へ逃げた浮浪者だった。今日から通勤する会社は天神の東にある。スマートフォンで時刻を見ると出社の午前九時には、まだ時間があるので浮浪者は天神地下街のモーニングサービスをしている喫茶店でコーヒーとパンの朝食を椅子に座って取った。自分の体内は、どんどんと変わっていっているみたいだ。(二酸化炭素を吸いたい)と何故か思った浮浪者。店内で高くつく炭酸飲料を注文した。ガラスのテーブルに置かれたコップに泡立つ清涼飲料水をゴッ、ゴッと飲み干した浮浪青年はレジで会計を済ませると、外へ出て勤務を始める会社のあるビルに近い出口から地上に上がった。徒歩で階段で登り、地上の光を浴びると周囲を歩く背広姿の出勤者と違い、私服の自分は契約社員である事をメリメリと自覚したのだ。ビルに入りエレベーターに乗ると、他の人が自分が降りる階数を押してくれた。私服姿は自分だけで、大学を出たのに就職をしなかった自分を強く自覚した。新卒しか社員に迎えない会社だが頑張りようによっては正社員に雇用されるという面接官の話だった。インターネット関連の会社でレンタルサーバーを福岡市から展開している。格安が売りで業界第二位のシェアを誇っている。会社の玄関を入ると「おはようございます。」と大声で挨拶した。受付の女子社員が赤い制服姿で、
「おはようございます。新星(しんほし)さん、仕事場まで案内します。」
と云うと立ち上がり、彼女に連れられて入ったのはレンタルサーバーを監視している部屋だ。エアコン空調を入れているが、ともすると熱くなってくる。その監視などや、その他の業務を手伝う仕事だった。三十に近づいているだろう外見の女子社員が椅子に座ってサーバーを管理している。受付の女性が「契約社員の新星さんよ、優しく教えてあげてね。」
と声を掛けると管理社員はニコリとすると、
「新星さん、よろしく。わたし後場頼子(ごば・よりこ)って言います。なにか株式市場の名前みたいだけど本名です。来月、結婚する事になって寿退社するから、来月からは新星さんに仕事を任せられると思う。色々と教える事があるけど、一か月で、かなり覚えられるわ。うん?」
後場頼子は新星の両手を見ると、
「手に植物に見えるアクセサリーをしているなんて珍しいわね。あんまり派手な飾りは、しない方が、いいわ。」
と指摘した。新星はサッと自分の手を見ると、それは、いつの間にか樹木の枝のようになっているではないか!これは、一体・・・冷や汗が出る新星だが平静を装うと、
「あ、これですね。新しい手袋なんです。涼しい手袋なんですよ。サーバーが置いてある部屋は、とても暑いって聞きましたので。」
後場頼子は面白そうに笑うと、
「ほほ、そうなの。それなら座って、仕事を教えるから。まず最初に、あっ、新星君!何よ、その口は・・・・。」
新星は座った途端に唇の両側から二本の長い牙が出て来た。彼は自分で、それを右手で触ると、
「あ、これですか!(おれは変身していっているんだっ)これはジョーク・グッズを付けてみたんです、面白いでしょ、後場さん。」
「なーんだ、そうなの。ふざけすぎは、いけないわ、仕事が始まっていま・・・キャアッ!」
後場頼子は椅子に崩れ落ちるように失神した。首筋には牙で噛まれた跡があり、薄く赤い血が滲んでいる。新星は彼女の首筋を噛みたい衝動に駆られ、実行してしまったのだ。(大変な事を、してしまった・・・。もう、ここには居られない!)新星は部屋を出ると会社の玄関に向かう。受付の女性は、その場に居なかった。彼は走るとマズいと思い、平静な足取りでエレベーターに乗り、会社の雑居ビルを出た。こんな時に、コロナウイルス再燃で誰でも多くがマスクを付けているから、新星も部屋を出る前にマスクを着用して会社を出たので唇の両端から出ている二本の長い血に染まった牙は誰にも見られなかった。通りにあったコンビニで白い軍手を買い、便所で軍手を両手に嵌めると新星はコンビニを出た。レジでは軍手を右手で素早く置いて、金を払うと素早く取ったので木の枝になりつつある両手を東南アジアの留学生の女性に気づかれずに済んだ。コンビニを出て大阪以西の最大の繁華街を歩く新星は天神中央公園で昨晩、吸血植物らしき女性に襲われた事を思い出した。自分も、あんな風に変貌するのだろうか、そして自分が首を噛んだ後場さんも・・・・!
後場さんの血を少量ながら自分は吸っている。うまい、人間の血が、こんなにうまいなんて考えてもみなかった事だ。それに活力が溢れてくるんだ。人を殺しても、その肉を食べ血をすすらないなんて勿体ない事だ。宗教で、というよりユダヤ教で汝、殺すなかれという戒律を設けたのは人肉や人の血のおいしさを知った人間の更なる暴行を止めるために作ったものなんだ。コロナ再燃で失業したオレだ。高級焼き肉店で働いていた。金持ちが来店しては高価な霜降り肉を食べて行ってくれた。福岡市にも富裕者は多いし、北九州市や久留米、その他からも来店してくれる。何故、俺がそれを知っているかというと、その高級焼き肉店では会員を募集している。で、その会員になるためには住所と電話番号を申込書に書いて出さなければ、ならないからだ。大卒の俺は会員名簿の作成管理を任されていた。だがコロナウイルスの再燃で来客は、いきなりゼロになった。金持ちという人達は情報を取るのも早いらしい。一般人より迅速に行動する。営業自粛なんて要請されなくても客は来なくなるんだよ。福岡市で家賃補助なんて抜かしやがる、アホが。うちは自前の土地建物で高級焼き肉店を運営しているんだ。経営者に呼ばれたから社長室に行くと、丸々と太った禿げ頭の社長、六十代に、
「新星君、お客さんが来なくなったから給料は払えないし、仕事もあげられない。自宅待機とか在宅勤務なども、提供出来ないんだ。別の仕事を探してくれ。会員の名簿管理も会員さんが新しくできるから仕事をしてもらえていた。高級路線で走っていたウチが、いきなり低価格店舗に切り替えても誰も来ないだろうし、数か月は続くコロナウイルスの再発らしいし、従業員は全員解雇せざるを得ない。申し訳ないけどハローワーク求人で再就職を探してほしい。心ばかりの退職金は、この封筒の中に入れている。」
と社長は茶色い封書を俺に渡した。
 会社を出てビルの日陰の部分に入り茶封筒の中身を出してみた。三万円、安いソープで女を抱き、溜まっている白濁液を洗いざらい女の壺に放出できる額だ。日本経済は百五十年、物価が上がらない。
これにはコロナウイルスの活躍も、その要因だろう。ヨーロッパの人口は一億人を切り、アメリカは二億人を切る人口となっている。日本の人口は一億二千万人程度だ。物の価値とは希少価値という言葉があるように供給が需要を上回ると価格は下降する。生産が少ないものには高価な値が付く。もしも地球の砂浜の砂が全てダイアモンドならばダイアモンドの価値は、ないのだ。コロナウイルスの活動で地球上の人口が減り、生産過剰となれば物の価値は右肩下がりとなる。又、日本の人口における女の人数が男を上回れば日本人女性の価値は下落するのである。重婚を認めない、つまり一夫多妻を法的に認めない日本という国は女性の余りを救えないから、ある女性は日本人男性との結婚を諦めるしか方法はなく、それでも日本人男性の陰茎の長さ及び周囲の最大値を自らの膣内に於いて感覚的に捉え、できれば快楽を全身で堪能し性的頂点に昇り詰めつつ、しかるのちに男性に自分の女性の器官を提供した、その対価として金銭を得せしめんとする職業に従事するという方法においてのみ日本人男性の体を知るという、やり方が妥当なものである。しかるに、こういう日本人女性の急増に至り、ソープの価格も上昇しない現象を惹起せしめている日本である。加えるに草食動物化する日本の若年層の男性が風俗、ソープ離れを起こしているから値上げができないソープの価格なのである。
まだまだ日本人女性の価値が上昇しない理由があるのだ。それはインドネシアの若い女性が大量に日本に来て働き、しかも日本人男性と結婚する例も増えて来た。それで、そのインドネシアの女性は日本に帰化して自分の宗教、つまりイスラム教も捨てる場合が多いという。なにせインドネシアの女性は一億人以上いる。男性も含めての平均寿命は30代半ばであるから若い女性は多い。彼女達が五百万人、日本に来て働き、日本人男性と結婚すれば日本人女性の結婚浪人の数は急増、爆増は不可避的なものとなる。それは徐々に起こりつつあるのだ。インドネシアの女性で可愛くて胸の大きな女性は昔から多く、おとなしい日本人女性では太刀打ちできない事も多々、あるのだ。鎖国して外国人を入れないで、しかも身分制で女性の結婚先まで両親などに決めさせていた時代の名残りは益々、日本人女性を結婚不利へと導いたのだ。それで福岡市にも久留米から男を探しに若い女性が西鉄電車で天神に、やってくる。天神中央公園にも足を運ぶ久留米のOLである。占い師に見てもらったら天神中央公園で素敵な彼氏が見つかるかもしれない、と言われたりもした。
それで今、久留米から会社が終わって天神に一人で男探しに電車で来た白い服装のAさん、二十五歳、独身は仮名として有菜(ありな)と呼ぼう、その割と美人な女性というよりトテモ美人な女性、だから独身の場合もある、は肩の下まで伸びている長い黒髪を掻き揚げつつベンチに座った。そのベンチの後ろには樹木が多く酸素に溢れているから有菜には心地よかった。久留米には男性が少ない。上司の既婚男性との不倫だけは避けたい。会社で事務をして外に出ないので色白の有菜は、でも豊満な胸を持っている。福岡市は明石標準時より遅い日没のために夏は七時過ぎも明るい、でも夕暮れは確実に訪れて天神中央公園も夕闇が全てを隠そうとしていた。白い服なので有菜の胸の谷間はクッキリ、ハッキリと明示されているが昔からの心理学の実験データに出ているように男は美人を避けていく、という実例が有菜にも適用されたらしい。誰一人の男性もベンチに座っている有菜に声を掛けなかったのだ。(わたしって魅力ないのかしら?)と思う有菜、そんな彼女を一顧だにせず太陽は地平線の見えない福岡市からも姿を消した。バサッと音がした。有菜は自分のふくよかな胸に木の枝が当たっているのを見る。それも左右の乳房の上にある、もちろん服を着ているのだが。その左右の木の枝は丸で人間の手のようだ。自分の乳房に感じるものも木の枝と云うより人間の、しかも男性の手のようだ。だが木の枝らしく動かないので有菜は、その枝を手で払おうとすると、その左右の木の枝は有菜の乳房をグイッ、グイッと揉む様に掴んで動いた。(あっ、オッパイを揉まれている、でも気持ちいいっ)と有菜は感じた。有菜は枝を払おうとした手を白いミニスカートから露出している柔肌の白い太ももの上に置いた。木の枝は人間の男の手のように有菜の乳房を服の上から揉み続け、時々、一本の枝で彼女の乳首に触れるとコリコリとピンクの乳首をいじった。硬くなっていく乳首を有菜は感じるとミニスカートで露出してている太ももを少し大胆に開いてしまう。ベンチに座っている彼女の正面に立てば有菜の開いた太ももの奥の白いパンティが湿り気を帯び、縦にスジを露わにしているのが容易に見えたはずだが公園には誰もいないし太陽は完全に姿を消していたので誰も有菜の開きかけた秘部を見る事はなかった。右の乳房から枝が離れた。あ、と有菜が思っていると、その右の木の枝は有菜の股間に滑り込んでくる。すぐに木の枝は有菜の股間を覆っている白い薄い布地の割れている個所を下から上になぞるように動いた。それは男の指で自分の恥部を愛撫されているかのような動きで有菜は脳が蕩けそうな快感を覚えたので赤い唇から赤い舌を出すと自分の唇を舐める。やがて右の木の枝は有菜の股間の割れた部分にパンティの上から奥へと侵入する。まるで男の指を受け入れたような感覚に有菜は背をのけ反らせると、ああん、と耐えられないように声を出した。有菜は左右の木の枝に抱きかかえられてベンチの上に浮き上がった。快感で陶酔しているので白い両脚は広げている。後ろの木が彼女を抱えているのだ。次にベンチの後ろに有菜を立たせると左右の木の枝は彼女の白いミニスカートの中に潜り込み、彼女の白いパンティをズリ降ろしたので白い薄いナイロンの布は有菜の膝の下辺りに、とどまっている。有菜の胸と股間を抱き寄せた木の枝は後ろから樹木の中心部から突き出した男根を有菜の女性の淫窟に入れていく。(はああんっ、そんなの・・・いいっ)樹木に犯されている気分の有菜だが心の中では樹木に扮装した男に後ろから嵌められているのだろうと予測した。というのも自分の中心の穴に入った男のモノは人間の肌である陰茎の部分やキノコのような亀頭の部分を感じられたからだ。有菜は処女ではあったがローターなどで自分のモノを弄っていた事がある。ホストクラブで露出させたホストの陰茎を見るだけでなく握った事もあるから亀頭や陰茎の肌触りも覚えているのだ。誰もいないとはいえパット見ただけでは、木に背中を付けて揺れているミニスカートの女性にしか見えなくもない。膝のあたりまで白いパンティを降ろしているのも暗くて見えにくいのだ。それでも木の一番上の部分は人間の男の顔だった。女を後ろから犯して楽しむ男の顔。それは失業者の新星の顔だ!!新星は天神中央公園で木に扮して獲物を待っていたのだろうか?
新星にしても久しぶりに抱き、勃起肉を入れる女の、それも若い女の体だ。その若い柔らかな淫肉に欲棒を突き入れる快感も失業してからは味わえなかったのだ。金を出して抱く女よりもイイ感覚がする女だ。後ろから突き入れて木の枝に変わった五本の指ではなく枝で女の乳房を揉む。まだ首や頭は動くのか試しに前に頭を倒すと前傾したので女の白い首を舌を出して舐め回してやる。女は感じたらしく首を少し縮めたので、右手は乳房から話して女の股間のクリトリス(陰核)を擦りまくると、それは肥大してきたようだ。でも強姦ではなく和姦なのだ、女は逃げようとしなかった。夜になった街中の公園は誰もいないし、そこで若い豊満な結婚前のOLを後ろから嵌めて激しく、または緩慢に張りきった亀頭と陰茎を女の膣内で運動させるのが、こんなに気持ちがいいとは新星は知らなかった。張りきった男根。張りきって、いこう、とか、張り切って頑張ろうなどという言葉は実は性的な意味があるが放送禁止用語ではない。
植物というか樹木になりつつある新星だ。完全に樹木になれば陰茎も木の幹の中に消えるのだろうか、それは新星には分からない。それよりも今を楽しもう。二十分は女の秘窟を出し入れしている。ん?ついに締め付けられるのを感じた新星は耐え切れずに二発連続で発射してしまった。女も激しく白い大きな尻を揺り動かした。樹木になりつつある新星は右手で、というより右枝で女の白い右足を高く上げさせて、左手で女の腰の上あたりを支えると、女を自分の方に向けさせた。トロンとした目で女が、つまり有菜が上を見上げると、
「きゃぁぁぁぁぁっ。」
と高い声を上げたが、周辺には聞く犬とて居合わせなかった。新星は言葉を掛けようとしたが、中々、声に出せない。小さくなった男根は有菜の尻の中に入ったままだ。有菜は化け物から逃げ出したかったが、それは大脳の新皮質で思考したのであって大脳の旧皮質、つまり本能は性の快楽を楽しみ続けたいので白い両脚を有菜は動かしも、しなかった。女は子宮で考えるなどという形容は適切ではなく、子宮に影響される又は神経線維により接合された脳内に於いて思考を発生させるので、しかも、それは大脳の前頭葉か、それ以外の部分で考えるかによっても思考過程は様々な選択肢を彷徨うものであるけれども、睡眠欲や食欲と同じく考える必要のない性欲に有菜も大脳の判断に身を任せることになる。化け物でもいい、さっきの交接は気持ちよかった、それに縫いぐるみを着た青年かもしれないではないか。髪の毛の一部が木の葉になりつつあるのは縫いぐるみとして良く出来たものかもしれない。有菜はジッとしてていると植物人間に抱きしめられ顔を近づけられてキスをされた。有菜の赤い唇は割られて男の舌が這入り込み、有菜の舌と絡み合う。有菜は、その時、自分の穴の中の男のモノが勢いよく膨張し始めて、それは見る見るさっきの長さと太さを取り戻したのが分かった。二発、発射した割には回復が早い。独身男性なのだろう。それならば何ら問題は、ないではないか、と白い大きな尻を揺らせながら有菜は考えている。ぬいぐるみの若い男に福岡市の中心部の公園でガンガンと突きまくられ有菜は心地よさに意識を失っていった・・・。
新星は女が意識を失い地面に倒れたので接合していたモノも外れてしまった。新星のその部分は未だに屹立していたが、彼は慌ててズボンの中にモノをしまうとジッパーを上に上げる。
気持ちよさそうに地面に寝ている久留米の女を見ていると新星は抑えきれない衝動のままに両膝を有菜の前について顔を近づけて彼女の喉元を軽く噛む。その時には新星の口から長い牙が二本出ていたので、いとも容易に有菜の喉から血を吸えたのだ。大量に血を吸ったり出血されると女は死ぬので新星は、その辺は巧みに噛んだ。
すぐに立ち上がると新星は公園を出た。背広のポケットから軍手を出して両手に嵌めると天神駅に向かって速足で歩き、地下鉄七隈線に乗った。階段を降りつつ新星は自分の行く先を刹那的に考えていたのだ。野芥駅で降りると階段を登り地上に出た。夜なので暗いとはいえ街灯や車道の車のヘッドライトが明かりを、もたらしている。

sf小説・体験版・未来の出来事26

そこで水馬社長は聞いてみたのだ、カリスマンに。
「阿片と言うものは中毒性や何か人体によくないから世界各国で禁止されているようですが。」
「ああ、その事かい。いずれ問題になるような事は我々は最初からしないよ。その辺は安心していてくれて、いい。」
カリスマンは念を押すような顔をすると、
「せっかくだから外に出てパキナ星を見ていこうよ、水馬君。君とは永続的なビジネスパートナーシップを組みたい。パキナ星は地球の二分の一の大きさで、我々人類の他は植物だけ、とさっき話したね。それを見に行くのは植物園が、いいだろう。」
「それは是非、見せてください。地球の植物とは違うものが多いんでしょうね。」
と水馬宇摩士は関心を目に示す。
「それは違うよ。徹底的に違うものもある。自動車で行こうか。」

 オープンカーに乗ってカリスマンと水馬宇摩士は車道に出た。車輪が無くて地上より浮上し、前進する。それも半重力による推進だそうだ。だから!車道とはいっても地球のようにアスファルト舗装など、されていない。タイヤを必要としないせいだろう。水馬宇摩士は助手席で風を感じつつ、
「これでは車両税なんて要らないですね。路面も傷まないし。」
ハンドルを握っていなくて自動運転させているカリスマンは、
「ハハハ。この星には税金が、そもそも存在しないよ。」
と軽く答えた。水馬宇摩士は不思議そうに、
「では政府は、どうやって運営されるんですかねえ。」
「それがねえ、後払いになっているんだよ。」
「後払い?ですか、一体、それは・・・。」
「うん、政府は一年単位で行政を行なう。それで住民の満足度によって税金を納める額は国民で決めるのさ。」
「それでは税金を払わない人も、いるんでは?」
「いや、いないよ。税金を払わないと水道を止められる。水道代は税金の中に入っているから。」
屋根のない車の助手席での眺めは、郊外から街中に入ったらしい。建物の窓はカリスマンの家の部屋の窓のように上下の高さの幅が狭い。その代り、というか道路を走る車はオープンカーが多いようだ。地球と似た星だが植物が多いせいか酸素が多いらしい。自動車も化石燃料を燃やして走る原始的な車ではないため、二酸化炭素も出るわけがない。車道も歩道も同じような空気だ。
外に出た時は暑く感じた水馬宇摩士もオープンカーの助手席では涼しく感じる。吹いてくる風だけのせいではないようだが?水馬は、
「涼しいですね。エアコンもないのに。」
「うん、後部座席と前の座席を透明な壁で覆ったのさ。それで直射日光を、さえぎっている。ぼくらの頭の上に、その透明の防護シートみたいなものが出ているよ。それで雨が降っても上からは降らない。雨の場合には目の前まで透明な防護シートを降ろすから雨に濡れることはない。オープンカーには標準装備されているよ、この透明な防護シートはね。」
との事だった。
 飛ぶように走る、形容詞ではなく、そんな車だ。地球では考えられない車に水馬宇摩士は乗っているのだ。
 動物のいない星だから動物園はなく、植物園はあるというけれど、一般的には興味を持たれないのではないか、と水馬宇摩士は考えていた。それが植物園の前の駐車場にカリスマンの車が停まり、歩いて二分の場所に植物園の入り口があったが少し行列が出来ていた。入場料はカリスマンが水馬社長の分も払ってくれた。植物園の中に来ている人たちの肌の色は地球で言えば黄色人種のものが多い。カリスマンは室内に籠っていることが多いため、日焼けしないのだろう。パキナ星のあちこちに見られるような植物を植物園に置いていても入場料を払う価値はない。
 入り口を入ると屋根のない場所で、なんと!そこには見上げても見上げきれない高さの樹木が天を目指すかのように地に根を生やしていたのだ!高層建築物のような樹木である。表示板にはパキナ星の言語で説明しているため、水馬宇摩士には分からなかった。カリスマンは日本語で、
「この木は高さ1500メートルは、あるよ。」
と云う。地球の日本の山でも1500メートルは高い山だろう。パキナ星の植物の生命力には驚かされてしまう。カリスマンは続けて、
「この木の樹齢は千年に、なるらしい。」
パキナ星の人の寿命は五百歳らしい。水馬宇摩士にとっては晴天の驟雨だった。それから屋根付きの部屋に入っていくが、天井の高い植物園だ。
直径10メートルのスイカのようなものが展示されている。高さも十メートルは、ある。水馬社長は、それを見て、
「西瓜の和菓子が何人分作れるか分かりませんね、カリスマンさん。」
と右横のカリスマンに話す。ゆったりとした表情でカリスマンは、
「あの果物は、この植物園でだけ栽培しているんだ。いずれ市場に出るが、価格はね、普通のあれ、地球の名称は西瓜、と同じ値段だ。これを見るためにパキナ星の、あらゆる場所から見物に来るよ。
ぼくらパキナ星人が富裕なのも実は、ここにある。食べ物に不自由しないのさ。働かなくても生きていける。」
「本当ですか、夢みたいですね。」
「政府で生活費を支給してくれる。でも、それより働いた方が収入はいいから遊んでいる人間はパキナ星には、いないよ。所得税は払わなくて、いいし。」
「うわーを。それでは天国ですよ、ここは。」
「地球は地獄に近いだろ?太陽の恵みが乏しいから、それで地球には貧困が生まれるのさ。庶民から税金を取らないと政府が成り立たないものね。地球のどこででもなく確か産油国の何処かも無税だったんじゃないかな、地球の。」
「産油国は太陽の恵みが、あるんですねー。日本は石油は出ないし。」
「そうだ、だから働いて金を稼ぐしか、ない。」
小さな石油の貯蔵タンクのようにも見える緑色の巨大な果実。飽きずに眺めていたい水馬宇摩士だったが、ふと、聞いてみたいのが、
「もしかしてパキナ星の人には癌はないのでは、と思いまして。」
「ああ、いい質問だ。癌に限らずパキナ星人には病気が起こらない。千歳、いや二千歳まで生きられるのが普通だ。」
「それでは老人になって生き続けるという人生ですか。」
「いや違う。老化は死ぬ五十年前から始まる。千歳で死ぬ人もいる。」
その話に感銘を受けた水馬社長は口を閉ざした。カリスマンは歩き始めたので水馬宇摩士も随行する。
 高さ四メートルの樹木が向かい合うかのように立っている。その樹木の半分の高さ、二メートルほどの地点に一方の樹木に人間の陰茎のようなものが二十センチほどの長さで垂れ下がっていた。
もう一方の樹木の半分の高さには人間の女性の陰部に相当する割れた部分があったのだ。
だが何気なく見たのでは気づかないし、水馬宇摩士も通り過ぎようとしたのだが、カリスマンが立ち止まったので水馬も急停止して、
「カリスマンさん、どうしました?」
「あ、ああ。あの一対の樹木なんだが、夫婦木と言われているんだよ。」
「夫婦木?ですって?何でしょう、それ。」
「フウフキ、では分からないだろうね、メオトギ。と言えばいいかな。」
「めおとぎ、ですか。目を研ぐんですか?あの木に目があるんですかねえ。目を、どうやって研ぐんでしょう。」
「研磨ではないんだよ。カップルだ、男女のね、これで分かるだろう。」
「ああ夫と妻、ハズバンドとワイフですね。(水馬は目を凝らして二つの木を見ると)ああ、すごいなあ。あれは人間の男女の性器に似ていますねえ。でも、それだけでしょ?」
「いいや、違う。おい、始まるよ。」
と楽しそうに声を上げるカリスマン。
男性の陰茎のような垂れ下がったものを露出している樹木のそれが、まるで人間の男性の性器のように太くなり勃起するかのように屹立したのだ。その先端は亀頭のような形状をしているが、それは伸びに伸びて一方の向かい合わせて立っているような真ん中に女性の陰部の形状を持つ樹木の、その部分に伸びていく。すると!
その樹木の陰茎に呼応したかのように女性の陰部に似ている、その部分は少し開いたようだ。それに、そこが樹液で濡れたようになる。
男の樹木ともいえる、その陰茎に似た部分は女の樹木らしい、その陰部の穴に突入したのだ!
その瞬間、女の樹木は全身を震わせるような動きを見せた。上部にある枝葉を震わせて、それは快感を顕わしているような女性の樹木の姿だ。男の樹木の男性器は女の樹木の性器の中に出没、出る、入るを繰り返す。まるで向かい合わせて立った男女の性交のような動きだ。
来園者は少ないし、大人しかいない。木が交合するなとどは水馬宇摩士には考えたこともない現象だ。しかも、よく雌の樹木を見ると腰の辺りが横に広がって人間の女性のようなのだ。それにしても立っている樹木とは思えない程、柔軟な腰の動きを見せる夫婦木だ。男の樹木の性器のような部分は幹の方向に対して直角の角度で隆起している。やがて男木は腰を激しく連続して振り続けると、その動きを止めた。どうも人間で言えば射精したらしい。水馬は、
「果てましたね。ああいう樹木は精液のような樹液を放出するのですか。」
カリスマンは苦笑いすると、
「いや、大量の花粉を放出するんだ。その点は植物だね。女の木には、あの穴の中に雌しべが、あるんだよ。それで種子が結実したら、あの陰部が開いて夫婦木の種子がバラまかれる。この星で進化した植物として大昔より研究されてきた夫婦木だ。まるで人間のようだし、それに彼らの交わりは地球の動物のような春と秋ではない、一年中だ。神様が作ったような樹木だね。」
「そうですね、あっ!」
雌の木の股間に相当する部分の穴から雄の木の長く硬いものが柔らかく平常時の寸法に戻り、引き抜かれると以前のように男の木の股間にダラリと垂れ下がった。その亀頭に相当する部分には発射した花粉が大量に残っていた。
カリスマンは微笑むと、
「地球にはない植物は沢山、ある。あの若い美人の女性展示員に頼めば面白い事をしてくれるよ。」
と水馬に話すと、夫婦木から五メートルも離れて立っている赤い上着と赤色のスカートを履いて白いベレー帽をかぶって係員のように立っている美人にカリスマンは近づいた。カリスマンに気づいた女性展示員にパキナ星語で何かを話すカリスマン、彼女は少し頬を赤らめると、うなずき、夫婦木に近づいていった。男の木に接近すると彼女はダラリと下がっている陰茎のような部分を白い柔らかな右手で握った。すると!男の木のソレは固くなり、上に陰茎を向け始めたのだ!そして勃起角度は直角ではなく、自分の幹に近づくほど、そそり立った。美人展示員が握った手を巧みに動かして、男の木の陰茎部分を愛撫するように擦(こす)ると、二分で大量の花粉を放出した。それからダラリと垂れ下がる男の木の股間のモノだ。
展示員はパキナ星語で何かを説明した。カリスマンは、
「人間の若い女性の手で握られて、こすられて花粉を出すと男の木は次の日まで花粉を出したり勃起しないそうだよ。彼女は、この星の高等植物研究所の所員で、今は体験的に、ここで働いている。」
水馬は、その神秘的な瞳の若い美人と目が合ったので黙礼すると、彼女も少し金髪の頭を下げた。目は灰色がかった黒色の瞳の睫毛の長い美女で胸も勢いよく張り出している。
 彼女は地球人の水馬を見ても珍しい顔を見るような目をしなかった。その地点からカリスマンと水馬は先に進んで行った。パキナ星は、その星の太陽に、地球と地球の太陽との距離より短いという。その影響の成果として進化した(?)植物が生まれるのかもしれない。
 植物が展示されていない広い場所は円形のソファが、いくつもの場所にある休憩所のような所らしい。カリスマンは無人のソファに腰かけると、
「水馬君、座ってくれ。」
と話しかける。水馬宇摩士が言われた通りにカリスマンの横に座るとカリスマンは、
「こういう植物園にも展示できない危険な植物も、この星、パキナ星には、ある。吸血植物などが、そうだ。」
「吸血植物?ですか。信じられない植物ですね。」
「ああ。地球には、ないだろうからね。この星にも動物が誕生した時期は、あったらしい。四つ足の動物は化石として出土する地域もある。だが・・・。」
「どうなったんでしょうか、その動物たちは。絶滅?したんですか。」
「うん、絶滅している。それは吸血植物のカーキュラに、やられてしまったらしい。近くで寝ている動物に自分の蔓を巻き付けて、その動物の血を吸うのだ。しかも動物の首に蔓が巻き付けられて、まず、それで動物は窒息死するし、ほとんどの血を吸い取られてしまう。抵抗する暇もないまま、この星の動物は死んでいった。」
水馬は茫然として、
「そんな危険な植物は駆除されたんでしょう?この星では。」
カリスマンは首を横に振ると、
「それがね、駆除しきれていないんだよ。地球のライオンやトラでも絶滅させては、いないだろう?」
「ええ、そうですね。そういえば、そうです。」
「吸血植物カーキュラを絶滅させると、この星の生態系に良くない影響を与えると考えられている。野生の植物だし、動物みたいに移動するわけでは、ないからね。パキナ星の小学校で吸血植物カーキュラを危険なものとして図入りで教えているから、人が行かない野原に行ってもパキナ星の人間ならカーキュラを、すぐに分かるんだ。」
「教育されているほど危険な植物なんですね、カーキュラは。」
「そうだなー。だから、この星も行きたいところなら何処でも行けるわけではないんだ。ごく稀にではあるけれど幼児がカーキュラに殺されているという事も数年に一度は起こっている。その場合は、もしかしたら親が自分の子供をカーキュラのそばに置くというのも考えられるから、とはいえ、この星には警察が無いんだよ。」
「警察がないなら犯罪天国ではないですか。」
「それが犯罪なんて殆ど起こらない星だから警察はない。裁判所は、あるよ。検察庁もあるし弁護士もいる。ただ警察は、ないね。」
「それなら平和な星ですね。」
「そうだね、一つの国しかないし。それに一つの大陸しかないから過去に戦争をした事もないよ。」
「どういう大陸なんでしょうか、この星の大陸は。」
「ああ。この星も地球と似た球体なんだけれど、地球で言えば北極のあたりに広い大陸がある。その他は全て海だよ。」
「それでは魚とかは?いるんですか。」
「そうだ、魚類は動物では、ないからね。海産物は豊富すぎるよ。この星の人口は十億人程度。余った海産物は植物の、特に野菜の肥料にしている。それに魚介類も大きくてね。体長が一メートルの海老が一番小さなエビだ、というエビデンスがある。五メートルや十メートルの海老も採れる。地球の海老とは少し違うが、よく似ているし、おいしいよ。だから食べ物の値段は安いんだよ。
地球の経済格差の元は貧困な食料にあると思う。少ないから値段が上がる。宝石も、そうなんだけどね。鰻でも地球のウナギは数が少ないから、高価になるけどパキナ星のウナギは多い上に体長が五メートルはあるから、こちらの鰻丼はコメよりもウナギの方を分厚く載せているよ。地球の日本で鰻丼は、その逆と思うよ、ぼくはね。」
「その通りで、ございますよ、カリスマンさん。でもカリスマン様とは中国で、お会いしましたが。」
「ああ、そうだったね。中国のウナギ料理には、しゃぶしゃぶ、もあったな。日本では、うなぎの、しゃぶしゃぶ、は皆無だろうよ。」
「そうですな。私も知りません。それを日本で、やれば・・・。」
「成功しないだろう。君は中国に和菓子を出すのが望みなんだろ?

「ええ、ええ。左様で御座います、カリスマン様。秘密の成分を、よろしく御指導のほどを。」
「ああ。分かっているともさ。それはタダって訳には、いかない。しかしだ。地球の貨幣を貰っても仕方がない。金貨とかなら若干の価値は、あるけどパキナ星の金の埋蔵量は地球の十万倍は、あるし人口は地球の何十分の一だろう。金(かね)の価値は、それほどないし銀や銅も同じだね。それより創造的なものに価値があるからね、この星は。」
「はあ。わたくしどもの和菓子も創造的といえば創造的ですが。」
「いや、それも自然にあるものを加工しただけだからね。真に創造とはいえない。地球という星は大宇宙を作られた神様からすれば、恵の少ない星なんだよ。地球では金、すなわちゴールドが価値が高いのも埋蔵量が少ないからだ。キリストが何と叫ぼうと大宇宙を創造された創造主は地球を恵の少ないものとして作られた。我々の星、パキナ星は創造主の恵みは、もっとある。地球は寧ろ、ユダヤ人が信奉する宗教のようなものが生きるのに、ふさわしい。
すなわち、だね。物質の方が価値が高いのだよね。古い地球の世界では人が住める星は自分たちのいる所だけ、という発想だった。天動説だった。後は天国や地獄を考えた。神様は地球だけを、つまり人間が住める星として、作られたと考えたのだ。
なんという狭い発想だろうか。キリスト教は、その狭い発想の範囲内にあるのだ。大宇宙はキリストが考えたよりも遥かに、遥かに広大だ。我々の星にはキリスト教も仏教もない。地球の宗教は何もない。パキナ星は海には魚が多すぎて漁師は何時でも楽に大漁になる。雨の少ない年もないので米や小麦粉、その他の野菜が不足する事もない。野菜は例年、余っている。金(きん)が楽に取れる砂漠もある。金が豊富すぎると値段が高くならない。
ダイヤモンド。これもパキナ星には地球のガラス玉と同じくらい、ある。ルビー、サファイヤ、エメラルド、なども大量に採掘出来る星なので、それらの地球の宝石は、この星では珍しくないのだ。
では、われわれパキナ星人にとって珍しいものは、なにか。他の惑星の人間、地球人もそうだが、それも左程、珍しいものではなくなった。さっきの美人展示員が君を見ても平然としていたのを見たね。
 そういう訳で君、水馬宇摩士・君には或る所に行き、或る人に会って或る事をしてもらう。そうすれば対価が得られるので、それを私への謝礼にしてもらいたい。」
というカリスマンの話だ。
水馬宇摩士には良く分からなかったが、
「はい、そうします。それで御役に立てれば、と思います。」
と答えておいた。
カリスマンは立ち上がると、
「植物園は残りもあるけど、外に出よう。出口も入り口の近くだから。」
二人は最短の道で植物園を出た。車輪のない車でカリスマンが向かったのは企業のビルが立ち並んだようなオフィス街のような場所。
日本のオフィス街との違いはパキナ星の企業ビルには、それぞれ広い駐車場があり、そこには車輪のない車が停車している。地上に停車できない場合は地下にも駐車場がある。
カリスマンが停車させた駐車場の企業ビルは三階建てで、ガラス張りの入り口を入ると受付嬢が赤いベレー帽をかぶって受付の場所に座っていた。カリスマンは彼女の方に歩いていくと水馬も後を追った。パキナ星の言葉で話すカリスマンに対して受付嬢もパキナ星語で答える。彼女の肌の色は地球の白人より白い。氷のような肌の色だ。透明ではない氷の部分の白というべきだ。
カリスマンは後ろを振り向くと、
「最上階だ、エレベーターで昇ろう。」
エレベーターも反重力で動いているのか、瞬間的な移動だった。エレベーターを降りるとカリスマンは目の前にある部屋のドアへ行き、立ち止まった。そのドアの上部は広いパネルのような部分で、そこに何と部屋の中にいるらしい金髪で三十代らしき女性の顔が映った。その女性にはカリスマンが見えたようだ。ドアは右に移動して開いた。二人が入ると、その女性は近づいてきて、
「お待ちしていましたわ。カリスマンさん、と地球の方。ミズウマさんね?どうぞ、よろしく。」
地球の北欧の女性をさらに色白にしたような事務服を着たパキナ星の女性は右手を水馬に差し出した。握手をして感じられたのは暖かな手だ、という感触を水馬は感じた。ドアに自分の顔を映すのはパキナ星の独特の習慣だろうか。色々と不思議な思いの水馬の顔を見て、その女性は、
「アヌンと言います、私。日本に住んでいたこともあって、日本語は得意です。スウェーデン人という事でパスポートも持っていたし、コンビニでバイトをした事も、あります。地球に降りる前に日焼け機械で肌を焼いてから日本に降りたので、異星人には見られませんでした。東京に行って或る業界で仕事をしていましたけど、今は、それは言わない事にします。まずは先に水馬さんの和菓子が中国で成功してからの話です。成功しますよ、あなたは。水馬さん、又、会いましょう。」

sf小説・体験版・未来の出来事25

 徐福目が立っている部屋の中は背の高い本棚が左右の壁に並び、ドアから入ると真ん前に見える壁は大きな窓ガラスが庭の緑を見れるようにしている。庭が、とても広い。それを囲む壁も高く、壁の近くは樹木が建ち並んでいるのが兄目美瑠男の目に映った。
 中国語講師の徐福目の部屋らしい本で埋まった部屋だが何故か中央に応接のための横長のソファがガラスのテーブルを挟んで二つある。そのソファに徐福目は座ると、
「兄目さん、わたしの前に座ってね。」
と声を掛けた。兄目美瑠男は両足を少し動かし続けて、そのソファに腰かけ心地よさを感じた。その感想を、
「いい座り心地ですよ、徐さん。」
と笑顔で話した兄目美瑠男に徐福目は右手で何かを取り上げたのだ。なんと、それは拳銃だった!!
彼女は拳銃の筒先を兄目美瑠男の喉のあたりに向けて、
「気分は、どうですか?兄目さん。」
と、しかし真面目な顔で訊く。兄目美瑠男の額に冷や汗がツーっと流れると、
「どういう意味でしょう。冗談では、ないように見えます。でも、その拳銃は本物ですか?」
「本物ですよ。92式手槍QSZ-92-10です。私たちしか持てないものです現在ね。」
兄目はブルっと震えを感じた。
「もしかして僕を殺そうとしているのですか?」
「そうかもね。でも気分次第だから、分からないわ。」
「なぜ?ぼくを・・・・狙うのですか。」
拳銃を構えた徐福目の左目がキラリと光ると、
「あなたの、お兄さんが私の姉を、もてあそんで捨てたからかな?」
「そ、それは僕には兄はいますし、商社勤めで中国にも行っています。でも兄とは親しくないし、何年も電話さえしていないんだ。そんな理由で・・・銃を向けられるなんて・・。」
徐福目は右手で構えた拳銃を膝の上に降ろすと、
「それなら撃てないかな、貴方を。」
兄目の兄が原因だったとは・・・。美瑠男は、
「最初から僕を調べた上で・・・僕のラーメン店に来たのか・・・。」
「それは勿論よ。そうでなければ貴方のラーメンの店に来ていなかったかもね。結構、遠いでしょ?ここから、あのラーメンの店は。」
「ううむ、そうだね。でもラーメンを食べ歩きしている人もいる。僕も、そうだけど・・・。」
「あなたの兄さんも、そうなのよ。中国でラーメンを食べ歩いていたらしく、わたしの姉が働いているラーメン店に何度も来ては姉に声を掛けた。真剣な交際だと思った姉は数度のデートの後、ホテルで体を貴方の兄さんに捧げたのよ。それから二人は三十回はホテルで体を重ね続けた。その後の或る日、突然、貴方の兄さんは私の姉の前から姿を見えなくしてしまった。湖南省から、いなくなったの。調べようが、なかった姉は自殺してしまったのね。わたしが調べていくうちに貴方の兄さんは別の中国人女性と結婚した事が分かった。貴方の兄さんを憎んでも、相手の女性は私と同じ中国人女性。その女性を悲しませたくは、ない。その代り貴方、兄目美瑠男さん、あなたが死ねば姉も満足すると思う。」
「そ、そんな勝手な三段論法か演繹法か何かは僕には迷惑じゃないか。なぜ僕は死ななければ、ならないんだ。」
「貴方は兄さんと親しくは、ないのね。兄目槍蔵(やりぞう)と。」
「それは、さっき話しただろ。兄さんが中国で結婚していたのも知らなかった・・・。」
徐福目はフッ、と息を吐くと拳銃をソファに置き、
「それなら、やれないわね。実は本当は貴方の事を段々と好きになっていたのよ。それでも姉の敵討ちだという事は忘れられないから。それで貴方と貴方の兄さんとの関係を調べようと思って、ここまで誘ったのよ。」
兄目美瑠男はホッとした顔で、
「それなら、もう要件は終わったんだろ?帰っても、いいかなー。」
「いえ、まだ終わった事ではないの。貴方を連れていきたい場所が、あるから。」
それを聞いた兄目美瑠男は再び背筋にドライアイスを載せられた気がして、
「どこに行けば、いいのかな。そんな場所が、あるとはね。」
冷たく光っていた徐福目の目は優しさを帯びた元のまなざしに代わると、
「そこへ行く前にチョット、わたしの日本についての考えなんか話すわ。それと、あの拳銃には弾丸は入っていないの、実弾は実装されていないわけ。」
それを聞いた兄目は平常心に帰り、
「それなら単なる脅しだったわけだ。」
「いいえ、脅しじゃないわ。実は拳銃にはウイルスカプセルを装填できるの。コロナウイルスとかも、ね。」
再び兄目美瑠男は恐怖を覚えた。
「そ、それなら細菌兵器だ。でも、見かけは、その拳銃は・・・。」
徐福目は、ふ、と息を吐くと、
「警察が調べても、おもちゃの拳銃でしかないから銃の不法所持には、ならないわ。でもウイルスカプセルは十分な衝撃力で撃てる。人体に当たっても危険のないカプセル。でも、そのカプセルが割れると中からウイルスが飛び出すのよ。」
兄目美瑠男は恐れ入った、という顔をした。だが聞いてみる兄目、
「ウイルスなんて何処に保管しているのかな。」
「それは、この屋敷の中にある部屋で細菌を培養、保存が出来るから。ウイルスを氷点下で凍結しておけば人間の冷凍保存と同じように、いつでも蘇生できるの。」
「君は中国語講師にしては、そんな事まで関与している・・・。」
徐福目は豊満な胸を張ると、
「個人で、そんな事は出来ないわよ。それに、この家は私の祖父のもので祖父は先月、死んだわ。父は中国にいる。さっきの話は冗談よ。わたしに姉は、いないもの。昔の中国人らしく一人っ子だから。」
そうだ、そうだった一人っ子政策、と兄目は納得する。だが自分には本当に兄はいるし、音信不通といってもいい。仲が悪いというより兄は仕事熱心すぎてラーメン屋の弟には電話でさえ話をしないのだ。では、あれは・・・と兄目は、
「それなら、さっきのあれは演技だったのか。」
「そうね、貴方の反応を見てみたかったのよ。きっと驚くだろうと思ってね。」
「それでは日本人が憎い、という事もないわけだ。」
「そういう事よ。日本人が憎くて日本に来るわけないじゃない。」
それならウイルスカプセルも・・・。兄目は、
「ウイルスカプセルなんてのも冗談だ、ね?」
徐福目は軽くホ、ホ、と笑い、
「好きに考えてね。祖父は細菌学者だった。その前の私の先祖が旧日本軍の731部隊で実験に使われたことが、あったらしいわ。」
「731部隊・・・。」
「もう忘れられた事かも知れない。でも、それは日本で忘れられた存在で、わたしの祖父は731部隊の影響で細菌研究に一生を捧げたのよ。たった一人の孫娘の私は祖父に、とても寵愛された。だから私は幼い頃から色んなウイルスを・・・、その話は今は中断して私は日本の文化論を貴方に展開したいと思う。その前に飲茶(ヤムチャ)に、しましょう。」
と徐福目は話すとテーブルの上にある拳銃を手にした。あ、やはりオレを殺すつもりだ!と兄目美瑠男は即断即決してしまった。が徐福目は、その拳銃を耳に当てると「小小(シャンシャン)、ウチの定番飲茶を二人前、私の部屋にね。お客さんだから。」
と通話する。
話し終わると拳銃の何処かにある通話切断の箇所を押して通話を切った、そして拳銃を又、テーブルに置き、
「すぐ持ってくるわ。近い部屋で作らせているから。」
と温かみのある声で話した。
拳銃はスマートフォンにもなるらしい。兄目美瑠男は好奇心で、
「そのピストルはインターネットの動画も見れるのかな?」
と尋ねると徐福目は、
「もちろん見れるわよ。銃把の部分でね。スライド式に銃把のその部分を外せばいいだけ。そこに画面が現れるから。」
その拳銃の携帯電話が鳴る。徐福目は拳銃を取ると耳に当て、
「あ、小小(シャンシャン)、ドアを開けてお入り。」
ドアが開いた。ホテルの部屋に届けるような台車の上には飲茶が載せられていた。それを押してきたのは小学校高学年の男子の身長の男だった。小人の男、小小。
小小は二人前の飲茶をテーブルの上に並べた。小小は黒のチョッキに白いズボンの制服のようなものを着て、頭は耳の辺りを刈り上げた短髪の姿で懸命に働いた。飲茶を並べ終えた小小は気を付けの姿勢をして頭を下げると部屋を出ていく。
ドアが閉まってから兄目美瑠男は、
「あの人は成人なんでしょう?今来た給仕の人は。」
と烏龍茶のいい匂いを鼻で嗅ぎながら訪ねると徐福目は茶碗を取り上げて、
「そうですよ。四十歳かな、あの小人は。うん、おいしいな。小小はウチの料理人です。さあ飲茶を召し上がれ。」
ウーロン茶の他には餃子、焼き小籠包、焼売(シュウマイ)、胡麻団子、焼きリンゴなどが兄目美瑠男の口の中に入るべく待ち望んでいるようだ。
ラーメン店を出している男、兄目美瑠男の味覚は舌太鼓を連打したので、「いやあ、こういう飲茶は初めて食べました。とても、おいしい、ネット通販に出せば大嵐が吹くように売れますよ。」
と舌太鼓判を押す。徐福目は餃子を食べつつ、
「経済的に困っていないから、ネットで商売する必要は今のところ、ないわ。わたしの日本文学論、それは日本の明治の文学は江戸時代より貧相なもの、というものよ。兄目さんはアニメが好きなので退屈かしら?」
「いえ、どうぞ。是が非でも非が是でも、拝聴しますから。」
「そう?それでは飲茶を食べながらでいいので聞いてね。」
「はい、おいしい、食べます、聞きます、どうぞ続けて。」
「明治時代は文語体から口語体への文学の移行期だった。でも彼らの文学作品は大したものではなかった。それを長く日本の学校教育の国語の狂果書、教えるではない狂った成果の本に載せて只でさえ文盲の多い日本人を奈落の底へ落したのよ。ソーセキ、ダトカ、オーガイ、トイウ奴ラノ詰マラナイ作品ヲ立派ナモノニ、シタテタ。ソレデ日本人(リーベンレン)ハ、オモシロクナイモノヲ文学ダト思ウヨウニナッタ。森鴎外や幸田露伴も江戸時代の馬琴の「里見八犬伝」を激賞しています。つまり日本が軍事大国化していくのと反比例して文化は貧弱になったけども口語化や西洋画へ移ったので目新しく見えただけ。絵画も浮世絵の方が評価が高い。
つまり明治の日本の文学なんて漢字が多いだけで中身は取るに足らないものばかり。漢字なら私たち中国人の本は全て漢字だけ。幸田露伴も中国信者なのよ。彼の造詣は中国の本からが殆ど。
漢字に弱い日本人は操りやすいし、金の亡者の自民党も簡単に操作できたけど今の日本は共和党になって金で動かせなくなった感はあるわね。それと本を読まなくなった日本人は漢字を知らなくても平然としているし。日本のマスメディアというのは中国で簡単に操れる。だ、か、ら。アニメも中国は目を付けているのよ。」
徐福目の目は不気味な光を放っている。兄目美瑠男は、しかし酔いが全身に少し回るのを感じた。それでも言ってみたいことは、
「もしかして徐さんは中国の工作員か何かですか。」
「そうではないけど知り合いに、その方面の友人がいるから教えてもらう事はある。日本人なんて殆ど馬鹿ばかりに近くなってきているから、中国で操るのは簡単になりつつあるのよ。お笑い、これは馬鹿が見るものなのよ。それを見る奴らに日本の企業は投資している訳。この馬鹿日本企業を中国で操るのは簡単なのね。
中国では、お笑いなんて全然、はやらない。成長する国家が笑われるのかしら、豊かになっていく国民は可笑しくはないわけでしょう。でも日本は世界の笑われ者なのよ。だからバカ企業も笑われても商品を売りたいって事にまで、なっている。もう自衛隊が、どうであれ日本なんて簡単に沈没させられる。それは日本の陸地ではない形容詞的表現としての沈没の事。
もともと日本のテレビ局は日本の新聞社が出資した形で出来たもの。その日本の新聞には赤が多かったから、わたしたちが操るのは簡単。日本人は、お笑いでも、やっていなさいと命じれば、はい、やりますって我々のいう事を聞いたのよ。日本の大学、防衛大学を除けば、これも赤だらけだから毛主席に勧められて全て赤になる、貧乏大好き人間を日本で大学で教育していった。財務省の人間も全て東大を出た赤。税金を取りまくり国民を貧乏にして国家を強大にする、これは共産主義の考えだけど原始共産主義で、わたしたちの国では、もうそんな事は開放政策でやめてしまっているから中国は頑張る国民は豊かになれる。相続税も取らないの、中国は。日本は、どうですか?豊かな家の財産は相続税で巻き上げる。もっとも、日本のそのやり方は明治の西郷隆盛の「子孫に美田を残さず」という下級士族の思想が反映されているのかもしれないわ。
日本こそ共産主義なのよ、それも原始共産主義の。わたしたたちは修正共産主義だから日本を操れるんです。原始人をね、思想の原始人で国家のお金を預かる連中が日本では、その原始思想だからねー。
中国とアメリカは消費税を取らない、だから国家は逆に強大になっていくんです。その我々のチャイナマネーが欲しくてたまらない日本。それは可笑しくて笑えるんだわ。だって共産主義、正確に言えば修正共産主義の国のお金を資本主義、建前だけは資本主義、けれども官僚というか財務省が原始共産思想の国が欲しがる。インバウンド、中国さん来てくださーい、あなたがたのお金を待っています、ホテル、旅館、ソープもありますよーって呼んでくれ続けた。そんな国自体が、お笑いなのよ。
だから日本のテレビは必然的に、お笑い抜きでは存在できなくなり、われわれの足の下に踏みにじられても、我々の靴の底を喜んで舐めるようになるバカ国家日本なのよ、と知りなさい兄目さん。」
「そ、それならGHQが弱体化したのではない、と。」
「よく知っているわね、ラーメン屋にしては。GHQの財務方面、昔の日本の大蔵省を指導したのが崩壊して消えたソ連だった。その計画経済を死守しているのが日本の財務省。アメリカとかは関係ありません。日本は世界一の共産国家、一億総中流なんて昔に言っていたのは、まさにそれ。今は一億総貧乏、われわれは十三億総富裕の国家になるのよ。日本は大昔、武力で我が国を完全制圧寸前にまで出来たけど、今からは経済で日本を完全制圧するところまで行けると思う。兄目さん、中国にラーメン店を開きたいんだったわよね、わたし明日からでも動くから、そのために。」
「大学の方は、いいんですか?」
「コロナ再燃で、しばらく閉校だから。それでも給料はもらえる、九州大学、国立だからね。」
「それでは、御願いします。」と言うと、兄目美瑠男は両手を座っている両膝に置くと頭を下げた。
「頭を下げなくても、いいわよ。わたしの名義を使うし、経営者は私だから。」
「そうですねーえ、けれども徐さんなしではできない中国での会社設立です。」
「クイーンエリザベス号に乗った気持ちで、いたら、いいわ。」
「はい、そのつもりで、おります。徐福目様。」
「そんなに下に出なくても、いいのよ。わたしは女王様では、ないんだから。飲茶を食べ終わったら連れて行くところがあるから。」
「へ?そうなんですか。楽しみですねー。」
「お笑いが、はやる国は亡国への段階にあるわ。イギリスでチャップリンが流行った頃に大英帝国は多くの領土を失っていった。日本も似たようになる、経済で勃興した日本も、それを失っていく・・・。わたしたちの国が覇権を握れるのよ。中国もアメリカも、お笑いというのは流行らないから。それは二つの超大国の象徴だわ。
 われわれの国は経済で日本を制圧できる。白物家電は、その第一歩。松・・・なんとかいう家電メーカーは積極的に大昔に支援してくれた。低学歴で運が良かっただけの人物が社長の時だったから、すべて中国は漁夫の利を得られるのよ。それに、その人物は論語が好きだったそうだし。孔子という中国遺産でも日本人は、どうにでも出来る程度の低い奴らは多いのね。
ま、わたしは日本人を心配してやる必要はないのだけど、兄目さんが日本人だし、それで少し喋りすぎたのかな。食べ終わったわね、兄目さん。餃子、もっと食べてもいいわよ。」
「いえ、もう満腹です。」
「それなら今から庭に行きましょう。ね?」

 徐福目の外観は古い民家の庭は広い。南の方を向けば田園風景に連山が、それから先の視界を遮(さえぎ)っている。
縁側から降りると言っても二人は土足で降りた。先に降りるのは徐福目だ。そこからも見えるのは掘っ立て小屋のような小さな建物で、徐福目はズボンのポケットからカギを出して、その小屋の戸を開けた。このドアは顔認証や指紋認証のない昔からある鍵で開ける方式のもの、兄目が入ると徐福目は中からカギを掛ける。そんなに重要なものが、おんぼろにも見える小屋の中にあるのだろうか。中は十畳ほどの広さで、床は板張りでも畳でもない土だったのだ。つまり庭の土と同じものが小屋の床にもある。その土の床面の中央部に床柱にしては横幅の広いものが立っている。それは、入り口らしいところから見るとエレベーターではないか。徐福目は兄目の目が奇妙な色を宿しているのを見て、
「地下に行くためのエレベーターよ。乗りましょう。」
と話すと、そのエレベーターの開くボタンを押す。何処のビルにもあるようなエレベーターの内部で地下は何と五階まである。そのBF5、地下五階でエレベーターは停まった。そして何と、そこは地下鉄の駅のような場所だったのだ。駅のような、ではなく一車両のみの電車が停止していた。やはり地下鉄の駅であろう。ただ、これは福岡市営地下鉄とは違うはずだ。
この辺りには、まだ福岡市営地下鉄は開通していない。このような設備を作るのには物凄い費用と人の手が必要なはずだ。もちろん、その人の手が動かす機械も、なければならない。駅舎らしいものが見えた。ホームに降りたために切符を買う必要は、ないはずだ。徐福目が駅舎に歩み寄るので兄目美瑠男も徐福目の影のように、駅舎についていく。
駅舎の中には退屈そうな老駅員が一人、椅子に座っていたが駅舎内のガラス窓から徐福目を見ると、
「お久しぶりです。徐様。すぐに発車させますよ。」
と富裕な令嬢の御機嫌を取るような話し方で老駅員は迎えた。徐福目は老駅員を真っすぐに見ると、
「ご苦労様。燃料の方は、まだ大丈夫だね?」
「ええ、フルスピード、急発進、なんでも耐えられます、地下鉄としてね。」
「いや、おまえの燃料の方だよ、大丈夫かい?」
「ええ、原子力は随分、持つものです。おかげで今年、百歳になります。」
「ここへ来て、三十年だね?」
「ええ、その頃にサイボーグに改良していただいて、ここの仕事まで戴いたのは御嬢様のおじいさまの、おかげです、はい、日本語もなんとか話せるようになりました。」
「お前は湖南省の出身だったね?」
「はい、観光地が多い場所での駅員でした。新型のウイルスで全身が壊疽だったのを、おじいさまに助けてもらいました。」
「そうだった。祖父は医師でも、ありました。もう他界しましたよ。」
「へい、ご冥福は、いつも、お祈りしています。いつもの場所で、よろしいのですね?車両の目的地は?」
「ああ、いつもの場所へ出しておくれ。」
「はい、かしこまりました。乗車されてください。」
丁寧な老駅員は実はサイボーグらしい。
 二人が乗車すると扉が閉まり、車両は発車した。一体、どこへ行くのか、それが兄目美瑠男には気になって仕方がない。右に座っている徐福目に、
「これから何処へいくんですか?なんだか、とても不安になります。」
窓の外を楽し気に見るともなく見ている徐福目は、
「歴史的な場所ですよ。だけど日本人は意外と知らない所だけど。兄目さんは行ったことのある場所。」
「ええっ、こんな地下鉄は何処に行くんですか?」
「上海まで行くかもしれないわ。」
「上海まで行けたら楽しいな。上海のラーメンを食べたいですよ。」
「ここから地下鉄で上海なんて現実的ではない。糸島の港に漁船を装った中国船が停泊しています。それに乗れば上海まで行くのは簡単です。」
「あ、そうか。そういう方法も、ありますね。では、今回は糸島の港まで?」

sf小説・体験版・未来の出来事24

 福岡市東公園のベンチで寝ていた浮浪者は飛行機で香港に運ばれていた。香港の空港で楽団員の楽器の箱の中から係員に別の場所に浮浪者の入った箱は移動させられて空港の関係者だけが出入りする通用口から外に出された。そこへトラックが到着。浮浪者の入った箱は、そのトラックで空港から別の場所へと移動を始めたのだった。
 トラックは医療施設のような建物の敷地に入っていくと、その大きな箱はトラックから降ろされ、箱ごと建物の中に数人の医療施設の男たちが運び入れる。病院のような廊下を通って浮浪者の入った箱は一番奥の部屋に入れられた。中国語で「関係者以外立ち入り禁止」と大きくドアに表示されている。その広いドアが開かれると、大形の箱は広い部屋の中央に運ばれて停止した。箱の下部には小さな車輪が幾つも、つけられているので押せば楽に動く。その部屋には白い服を着た医者らしき人物と公務に従事しているような背広の男性が立って、その停止した箱を見ると医者は箱を運んできた男たちに中国語で、
「ありがとう。お疲れ様。今晩は君達専用の女を好きにしていい。金での報酬とは別に高級ホテルに用意しているからね。このホテルに、今晩、行くといい。」
と声を掛けると、それぞれの男にホテルの名刺のようなものを渡した。男たちは、それを受け取ると、
「謝射(ありがとう)、謝謝。」
と口々に礼を云うと部屋を出ていく。白衣の医者は大きな楽器の箱を開けた。中には青いビニールに包まれたものが転がっていた。医者は深々と、その青のビニールに顔を近づけると二か所、ビニールに丸い穴が開いている。大きな青のビニールは少し動いている。
 医者がビニールを破り広げると中には日本人の浮浪者らしき男、四十代か、が深く眠っている。中国の公務員風の男、四十代に見える人物も箱に近づき中を見て、
「ほ!これは上物だ。健康そうだし生きたまま臓器を摘出できますな、先生。」
と不気味な笑みを浮かべる。黒縁眼鏡を掛けた医者は、
「一応レントゲン検査や、その他の検査をした後で、この日本人が健康なのを確かめますよ。ここ最近、世界各国の金持ち連中から臓器移植の手術の依頼が世界中に来ています。しかし、新鮮な臓器は簡単に手に入るものでは、ありません。」
と冷徹的確に話す。課長クラスの役人は左手で右手の肘を支え、右手を顎の下に当てると、
「うん、中国国家の独占市場ですよ。まだ、この事は何処の国にもバレてないから。日本は特に日中友好を柱として政治活動を、してくる。これは我々国家からすると、やりやすいのです。随分大昔にコロナウイルス感染が武漢で大流行した時に日本人はマスクを大量に送ってくれました。まさに日本でいうカモネギですよ。小日本人は中国人の心の中まで知らないのです。日本の田中という奴が日中友好を掲げて来た時に、こちら側はシメタ、と思ったんだから。」
医師は、うなずくと、
「それから日本の有名な電機メーカーが我が国を支援したりと、これも鴨葱ですよね、園さん。」
「そうですよ。こちらが有利になることを進んで、してくれた日本人。そもそも、ね、共産党軍が中国国民政府軍に勝てたのも日本の陸軍が国民政府軍を壊滅に近い所まで追い込んでくれたからだね。
今では公園で寝ていて我々の利益になってくれる日本の浮浪者に感謝しようよ。医師の貴方にも高額な手術料を提供できる。まずは腎臓、そして肺、これは片方は切り取っても生きていけるから、まずは、いつも通りに手術してください、シーフ(先生)。」
「トエ(はい)。これで又、フランスの高級ワインが買えるというものです。日本人て公園で寝るような貧乏人も多いでしょう。家電メーカーの奴らも公園のベンチで寝ているかもね、しれません。中国の方が日本人より金持ちが多いのに、うはは、マスクを大昔、送ってくれましたから小日本人達は。」
園と呼ばれた官吏は笑顔で、
「自分たちのマスクもない小日本人がね。欧州から美国、そして日本に感染が増えたのに。あの頃でも我々の方が金持ちだった。貧乏人が多い小日本人が我が国に寄付なんて驚きですよ。ふふ、今は浮浪者を大量に寄付してくれていますから。小日本人は。あ、この浮浪人は冷凍保存した方が、いいのなら先生、今すぐに。」
医師は落ち着いて、
「冷凍したら解凍しないと、いけませんから。目が覚めたら、この小日本人に・・・してやる事は、あるでしょう園さん。」
と話すとニヤリとした。園は思い出したように、
「ああ、そうでした。準備は、こっちでします。日本の浮浪者への小さな投資です。よっし、ちょっと行ってきます。」
「はい、どうぞ。待ってますから。」
園という官吏は部屋を出て行った。
 医師は注射器を持ってきて箱の中に寝そべった浮浪者の腕に静脈注射した。十秒もすると浮浪者は目を覚まし、天井を見ると、
「おお、天井がある。おれは公園に寝ていたのになあ。」
と口を開いて話した。
浮浪者は視界に医師の顔が自分を覗き込んでいるのを認めて、
「ん、おや?あんた医者だろう、ここは病院かな、ね?そうだろー、先生。」
中国の医師は優しく微笑み日本語で、
「そうです、ここは病院ですよ。あなたは救急車で運ばれたんです。軽い貧血を起こしていただけなので、今は大丈夫。ただ、すぐに動くのは、やめてください。」
「ああ、そうなんですか。ここは国立病院ですか?」
「国立病院です。」
中国の国立病院である。浮浪者は納得して、
「先生、おれ何ともないよ。動けそうだけど。」
「いえ、だめです。医者のいう事は聴いてください。それに貴方の財布では出来ない事も、ここでは出来るから。」
「ええっ?なんなんでしょう?それ。」
「もうすぐ分かるよ。ああ、園さん、いらっしゃい。」
ドアが開いて官吏の園が戻って来た。その後ろに可動式電動台車が誰も押していないのに園の後ろに、移動してきたらしい。園が室内に立ち止まると、その台車も停止した。その台車の上には一流ホテルのルームサービスのような豪華な食事とバナナ、りんごなどの果物が小山のように載っていた。
 園は浮浪者に日本語で、
「やあ、お目覚めですか。元気そうですね、腹は減りませんか?」
とニコニコとして聞く。浮浪者は上半身を起こすと、豪華な食べ物が並んでいる台車を見て、
「あ、腹減ったなー。実は三日も水だけで過ごして公園で寝ていたんです。あなた方が助けてくれたんですね?」
園と医師は、うなずく。浮浪者は安堵したように、
「助かりました。ここは九大病院ですか?」
官吏の園は日本語で、
「いえ違うのですよ。それと似たような場所ですけどね。それより、あそこのソファに座ってください。私が台車を運びます。」
浮浪者は立ち上がるとフラフラっ、とした。よろよろと示された白い長椅子に歩くと腰かける。ふかふかとした座り心地で浮浪者は気持ちよくなった。園が浮浪者の目の前に台車を運んだ。すぐに台車の上の食べ物、果物を手に取って浮浪者は食べられる。赤茶色の長い箸も据えてある。浮浪者は両手を合わせると、
「いただきます。」
それから彼は絶え間なく食べた。中華料理ばかり並んでいる。餃子、シューマイ、中華丼に麻婆豆腐、スーパイコ、ふかひれスープに烏龍茶、りんご、梨、みかん、杏仁豆腐・・・。三日間も空いていた彼の胃袋は貪欲に美味な料理を平らげた。浮浪者は満足げに、
「あー、食べた。食べた。満腹ですよ、うーん眠くなってきました・・。」
と話す。白衣の医師は浮浪者に近づくと、
「食後の眠りは価値が高いですよ。どうぞ眠ってください。」
「はい、それでは・・。」
浮浪者は再び眠る。後ろにいた官吏の園は、いつの間にか右手にハンカチを持っていて、それを浮浪者の鼻に当てる。医師は中国語で、
「それで一日は寝てしまいますよ。起こす時は私が、やります。」
園は満足そうに中国語で、
「それでは腎臓から切り取ろうよ。一つ取っても死なないんだろ。」
「ええ、大丈夫です。ここで手術しますから園さんも、こいつを手術代に乗せるのを手伝ってください。」
二人で話す時は日本語で話す必要はない。園は浮浪者の両肩を医師は浮浪者の両足を持つと、手術台に浮浪者を運んだ。
手慣れた手術で医師は浮浪者の腎臓の一つを切除した。部屋の奥のドアが開いて若い男の看護師が出てくると手袋をした手で医師から浮浪者の腎臓を受け取り、出て来た部屋に引っ込んだ。腎臓を冷凍保存するのだろう。医師は落ち着いて、
「世界には腎移植を希望する人達は数多くいます。日本でも一万人はいる。でも一番高く買ってくれるのは小日本人ではないから。」
官吏の園は、
「そうだね、日本人はケチなのだから仕方ない。欧米の富豪なら幾らでも出すからなあ。我が党の隠れ元箱なんだ、臓器提供は。」
と恐るべきことを平然と中国語で語った。
 白衣の医師は園の機嫌を伺うように、
「臓器関係だけでなく私はウイルスの方も詳しいんですが。」
園は苦く笑みを浮かべつつ、
「そっちの方は何十年に一度、という割合で検討されている。我が国は世界に安い労働を提供したのだから多くの人間が細菌で死んだって当たり前のことだ。君には即金が手に入る方で活躍してもらいたい。」
医師は少し心配そうに、
「世界にバレませんか、この臓器売買は。」
園は自信ありげに、
「なーに、マスバカを抑えておけば、いい。美国なんてのも金を掴ませれば何でもするよ。小日本のマスバカは勿論だけど。欧州も貧乏だから簡単。アヘン戦争を仕掛けたイギリスも薄のろ。コロナで大騒ぎした奴らだ。超後進国のイタリアは我々の言うなり。我が国の世界進出は続くよ。小日本は女工作員で、というところかな。」
医師は思い出すように、
「それにしてもコロナの頃の小日本は傑作でしたね。大量にマスクを送ってくれて。」
園は思い出し笑いして、
「我が党の幹部が『日本のみなさんに感謝します』という会見をするのに有名女優を呼んで演技の練習をしたそうだ。本当は小日本人を笑いたいのを演技で感謝するのは難しいらしいよ。その後、コロナは日本にも行っているからな。」
「ま、小日本人は扱いやすいですよ。軍部を解体された後は。自衛隊は侵攻してきませんからね。日本の陸軍は世界一だったが、海の方が弱かったんで我が国も助かったんですよ、ね?園さん。」
「私は軍部じゃないから詳しくは知らないが、神風特攻隊なんて精神異常者の末期症状のようなものだな。あれで終わったんだよ。大日本が小日本になったのさ。」
医師は満足げに、うなずくと、
「小日本人の腎臓の方は看護師が冷凍保存状態で業者に手渡しますよ。もう手渡しているでしょう。浮浪者だったんだから、これで人の為に働いたことになるし、我々が豪華な食事もさせていますから極めて人道的ですよ。」
「そうそう。小日本の電機メーカーにしたって古い昔に、ホテル住まいで運転手付きの生活と高給を与えて技術を教えてもらった。日本にいてもリストラされた人物だったからな。関西の電気メーカーだったと思う。日本のリストラブームも我が国の為になった。すべて小日本人は中国の為に働いてくれている。リストラ促進は日本政府主導でもあったそうだ。国会議員には中国美女を、あてがっておけばいい。中国の美女が間に合わない時は・・。」
そこで園は言葉を止めた。
医師は好奇心旺盛に、
「間に合わない時は?どうしますか。」
園は改めて医師の顔を見て、
「興味津々そうだな。考えてみれば分かると思うけど、日本の芸能プロダクションに手を回して若い美人タレントを議員に回す。芸能事務所に居るような女は百万円でも、すぐ寝てくれるのは多いんだ。
金で大抵の日本人は、どうにでもなる。私も一時期、日本の芸能事務所を担当していたからね。大体、日本の芸能人と言う奴らが欲しいものは、たった一つ、金だけだよ。それを小日本国民は憧れたり、好きだったりするからな。それをさ、そういう奴らを民間人だけなら、ともかく公務員とかなんかも、役所なんか他は警察でさえポスターに使っているんだから。」
医師は愉快そうに、
「はっははははは。程度の低い奴らですね。今や収入は、とうの昔に我が国の方が小日本より高いのに。相変わらず小日本の芸能とかいう、あの馬鹿どもを?」
「そうだ、使っている。一億は皆、白痴の小日本人。勉強だって我が国の方が若者も、しているし本も読んでいる。日本は年寄りまでが漫画。圧倒的に我が国の勝ちだよ。手ごわいのは、でも、やはり自衛隊だろう。」
「うーむ。そうですね。でも戦争の時代は終わっているのでは?」
「まあ、そうだろうけど。自衛隊とは過去に交流もしているから、いくらか盗み出せたのかもしれない。その辺は軍部の経験がないから分からないな。私はダークサイドの仕事が多いけど国家に奉仕しているのは変わりないよ。日本の方で過去に中国を親戚のように思ってなんて、あったろう?」
「ありましたねー、何党だったか忘れましたけど。マスクで、でしたか。」
「ああ、そうだ、マスク、マスクをねー。それで一帯一路でなくて、日本には親戚一路にしようかなんて笑い話でなく、実行可能だよ。」
「本当に小日本人なんて自衛官以外は危機意識を持ってないようですね。それだけに我が国としても、やりやすいんじゃないですか、園さん。」
「やりやすいなー。日中友好なんて我々の為に、あるようなものだ。田中なんて田舎出のオッサンは操りやすかった。あの当時の我が国の指導部は色紙にサインして日本から来た議員に手渡したんだよ。わたしたちのファンなんでしょ、という意味さ。」
「なーるほど。昔から日本人は孔子が好きですもんね。論語なんてものに敬意を払っていた。松下電器産業なんていう会社は朝礼で論語の一節を声を出して社員一同、唱えていたんだそうです。」
園は初耳とばかりに、
「そうか。まさに、それは中国の為に、その松下とやらいう会社が働きますと毎朝、宣言しているようなものだ。」
「しかも、その松下という会社は日本の電機メーカーとしてはエリートだったそうです。」
「おやおや、小日本の電機メーカーなんて、ちょろいわ。その松下の創業者は中国の崇拝者だったんだな、いや、これは、いい。他にも、あるんだろ?孔子のファン、孫子のファン、老子、孟子、荘子、墨子、荀子、色々、いるよ。あ、それでね、日本の大学の教員に中国の崇拝者が多い。老荘思想なんて我々でも知らなくていいものを一生懸命やっているのが、いる。それに日本人は漢字を書けるほど尊敬されやすいらしいな。漢字なんて我々には平仮名は、ないからな。小日本人と我々の、どっちが漢字を多く知っているか、だよ。」
医師は誇らしげに白衣の胸を張り、
「それは、もう我々ですよ。もともと小日本人は遣唐使、遣隋使などを我が国に送っていましたからね。」
園も誇らしそうに、
「日本の仏教は中国仏教さ。それに経文は全部、漢字だからな。」
「小日本の東京にも中国崇拝者は沢山いる。日本の大学の学長は全て中国崇拝者として我々が最も操りやすい連中だ。こいつらに共産思想、修正共産思想ではない古い共産思想を吹き込んだので、大学出の多数を古い共産思想の持ち主にした。それで小日本は失われた何十年もの経済停滞があり、我が国は修正共産思想により大躍進した。美国なんて問題にもならない程にな。」
医師は目を細めると、
「小日本の大学出が古い共産思想では金は要らない、て事になり経済発展なんて、ありえません。それで我が国は小日本より経済大国になったんです。ダッチワイフ、というかラブドールでさえ小日本のラブドールメーカーより先に人工知能AIをつけて販売しました。
もはや、そういう産業でさえ小日本を見下せます。」
園はニヤニヤすると、
「ラブドールも我が国の方が進歩し始めたね。小日本の国会議員はハニートラップか大金で簡単に操れるから、そうそう、私もマカオに別荘を建てられたのも小日本の国会議員を操作したからなんだよ。田舎者だし、そいつはね、でも小日本の国会議員なんて大抵は田舎者だろ。女と金をやれば、何でもするよ。中国崇拝者にも、すぐになる。もともと孔子様なんてのも多いしな、小日本人には。」
「水戸拷問でしたっけ?あれは・・・。」
園は、それを正して、
「水戸黄門だろう、それは。」
「ええ、印籠を出すと平伏するんです、あれは。我々なら孔子とか出せば平伏しますよね、一部の日本人は。」
「するよ、特に大学の学長あたりでも。小日本の大学のな。」
「小日本の大学出は御しやすし、ですか。」
「まあ、そうだろう。でも防衛大学は、そうではない。が、君は医師だし気にするな。」
「気に島専太郎、でしょう。小日本風に云うと。」
「そういう事だ。界深淵君、臓器摘出の医療に励みたまえ。」
「はい、園凱旋さん。励みます。」

 中国人留学生の李芽が女工作員であることは本池釣次郎によって明らかにされたが、彼女は本当に日本の学校に行っているのか。というのは気になるところだ。一日中、働いているかもしれない。釣次郎が中国人留学生・叛英果に変装して李芽と知り合ったコンビニでは李芽は一日中、働いてはいない。その時間帯以外では別の場所でも働けるだろう。そのコンビニの店主はアルバイトに来た李芽に、
「今日は叛君は休み、というか、しばらく休むそうだ。丁度、別の留学生がウチにアルバイト希望で志望して来てくれたよ。やっぱり、君と同じ中国からの留学生で上海から来た刻クンだ。おーい、刻クーン。」
広めの控室の奥の方に座っていた中国人男性が立ち上がると店主と李芽の近くに歩いてきた。良く日焼けした顔で、日本に初めて来たような顔をしている。店主は彼を右手で示すと、
「刻クンだ。刻クン、こちらは李芽さん。同じ国だから仲良く、やれるよね、うん、仲良くやってほしい。刻クンは別のコンビニで働いていたことがあるそうだけどウチと競合している他社のコンビニだから見習のやり直し、みたいになるけど李さん、よろしく頼むよ。」
と励ます。李芽は気軽に刻という留学生に近づくと、
「よろしくね、刻さん。」
と呼びかける。刻は浅黒い顔を李芽に向けて、
「よろしく、お願いをします。」
と変な日本語で答えた。店の裏側で飲料水を並べて入れたり、手書きで商品説明を書いたりする研修を李芽は刻にしながら、前に居た叛とどこか似たとこがあると感じていた。それで休憩時間に向かい合って座ると李芽は刻に、
「前に叛さんっていう留学生がいたけど、なんか雰囲気が、よく似ているわね。叛さんも中国からの留学生。わたしも、そうだけど。刻さん、叛さんっていう人、知りませんか?」
刻は首をかしげると、
「叛さん?知りませんよ。僕の言っている学校には叛という名前の人は、いない。」
李芽は、
「そうだろうね。わたしの学校にも叛さんは、いないもの。なんか貴方にはAV男優の雰囲気があるわ。気のせいかしら。」
「AVには東京で出た事、あります。顔に目線を入れてもらいましたから分からないと思っていましたけど、李さんAVとか見るんですか。」
「ええ、少しよ。それもパソコンから見るからレンタルの店に行かなくていい。女性で若くてAVなんて借りにくいもの。それにレンタルの店なんて少ないでしょ。大昔のコロナウイルスで店舗自粛とか、そうしなくても人が来ないとかで大半が潰れたそうよ、日本でも。スマホで見たりするほどマニアじゃないもの。でも・・・。」
刻は訝し気に李芽を見て、
「でも・・・?デモってデモストライキのデモですか。」
目を伏せた李芽は再び、目を上げると瞳を輝かせて、
「うちのオーナーさん、実は昔、AVの監督を東京で、していたんですって。だからメーカーとかレーベルとか、その業界のつながりを知っていて何処に出せば売れるかとか知っているそう。AVなんてスマホで撮影して編集して出来上がりに出来るらしいわ。それでオーナーさんもコンビニは人に任せて他の場所でAV作ってるそうよ。刻さんの雰囲気、AV向きだと思うのね。」
と話すと李芽は刻の顔から上半身、股間、足までジロジロと見た。